中国向けマーケティングには欠かせない「WeChat」は、ご存知「中国版LINE」とも言われるメッセージングアプリです。その中に生活のほぼすべての領域をカバーする機能があるため、中国での生活に密着していると言われています。日々、さまざまな機能のバージョンアップや、新たなサードパーティとの提携も行われており、今年の3月にはアカウントが10億を超えたことが注目を集めました。
このような中、メッセージングアプリを新たにリリースした企業があります。スマートフォンメーカーのSmartisan(锤子科技)が提供するBullet Messenger(子弹短信)です。ローンチから1か月、そのユーザーの拡大の仕方とサービスの特徴を紹介します。
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運営するSmartisan(锤子科技)は四川に本社を移転した朝鮮族LUO CEOの三度目の挑戦
Smartisan(锤子科技)とはどのような企業なのでしょうか? 英語名のSmartisanとは、「smart」と「artisan」を組み合わせた造語で、「スマートフォン時代の職人」を意味し、アンドロイドスマホにおいて他社製品よりも優れたUXとGUI(グラフィカルユーザインタフェース)が特徴です。
2012年に5月に創業したSmartisanの本社は、百度のある北京でもテンセントのある深センでも、アリババのある杭州でもなく、四川省の成都に存在します。実はSmartisanは、2017年に北京からこの地への移転を果たしています。
創業者でCEOの罗永浩(LUO Yonghao)は吉林省出身の朝鮮族で、SmartisanのスマートフォンブランドのSmartisanT1を2014年5月に発表しました。実はそれ以前にもLUO氏はBullog(牛博网)という名称のブログサービスや、英語教室などを創業しており、Smartisanは三度目の起業となります。

Bullet Messenger(子弹短信)のローンチ後のユーザーの増え方は? App Storeでトップに
このSmartisanが今年2018年の8月に提供を開始したのがメッセージングアプリの「Bullet Messenger」です。8月20日にローンチしたBullet Messengerは、25日にはApp Storeのランキングトップに上り詰めたことが報道されています。また総合ランキングでのトップは9日間連続を記録、SNSカテゴリでは13日間トップを記録しています。
また、製品の発表から9日後の29日には、1日の新規ユーザー増加が100万を超え、その翌日にはアクティブユーザーが400万を超えたそうです。9月20日には約750万ユーザーとなったことが伝えられています。ユーザーは広東省に多く、続いて北京、江蘇となっています。
3年と待たずにサービスを終了してしまったBullogと異なり、Smartisanは創業から4年間のスマートフォンの設計、製造、販売に成功しています。2012年には新型のSmartisan T2を発表、2016年には上海のメルセデスベンツ文化センターでプレス向けの発表会を開催、第三世代の製品を発表するなど、順調に成長を遂げ、市場の注目を集めていきます。
資金調達の面では、2013年には上海の投資会社他から7000万人民元(約12億円)の投資を受けています。続く2014年にはラウンドBの資金調達を達成し、融資額は1.8億人民元(約30億円)に上りました。当時の企業評価額で10億元(約170億円)を超えると言われています。※1人民元=17円で計算
2015年には3000万人民元(5億1000万円)の増資を受け、この増資を行った迅游科技はSmartisanの全株式の1.13%を取得しています。ちなみに迅游科技のCEOである袁旭(YUAN Xu)は北京大学在学中に休学して故郷の四川に戻り同社を創業した80後(バーリンホウ、1980年代生まれ)。
同年に深センの証券取引所のベンチャー部門に上場しており、フォーブス中国版の「注目のアンダー30歳アントプレナー30人」に選ばれるなど起業家として有名です。さらに2017年には、LUO CEOは9~10億人民元の資金調達に成功したと語っています。
子弹短信(Bullet Messenger)のユニークさ、スレッドをひらかずにできる返信&音声メッセージはテキストメッセージを同時に送信
同サービスの特徴は、アプリのチャットのスレッドをひらくことなく、通知から直接返信を作成・送信できることで、操作上でWeChatにはない簡便さがあります。

もう1点の大きな特徴は、音声入力したメッセージが、音声と自動で文字起こしされたテキストで届けられる点です。WeChatでも音声メッセージを送ることが可能ですが、その場合受け取り手は必ず音声再生をしなければなりません。
そのため、たとえばそういった再生がはばかられるシチュエーション(たとえば地下鉄の中など)では即時に内容を確認できないデメリットが存在します。Bullet Messengerはこういった不都合を解消しながら、音声入力の利便性を提供するだけでなく、音声メッセージが含有する心理的距離感の近さを届けることにも成功しています。この文字起こしの機能は非常に精度が高いとの報道もあります。

引用返信はどの環境でも可能であり、メッセージの誤読の可能性が減少されています。またアイコン画像を変更しても以前のデータが表示可能になっているので、ユーザー同士のコミュニケーションにかかわるストレスも軽減しています。
Bullet Messengerはこのようにコミュニケーションの円滑さを徹底的に追求しています。まだユーザーでない相手に、Bullet Messengerのアプリを通じてメッセージを作成し招待を送ることができる機能も備わっています。
アプリを起動した画面にはチャット、連絡先、ニュースフィード、お気に入り、個人のページのメニューが存在します。ニュースフィードは、Smartisanのニュースと、ナスダック上場のネットイースが提供するニュースのタブが存在します。

まとめ ~WeChat運営のテンセントも危機感? 新たな商標登録はBullet Messengerへの対抗馬との見方も~
実は四川の言葉では「锤子」はあまりいい意味でないため、今後企業名を変更することも検討しているというLUO CEO。8月25日には自身のWeiboで、今後Bullet MessengerにAlipayの機能を追加することを述べています。
Bullet Messengerの発表後にはWeChatを運営するテンセントの投資部門がSmartisanにコンタクトを取ってきたという話もあります。SmartisanのLUO CEOは、さしあたっての協業の可能性を否定するような内容のWeiboを更新していますが、テンセント側の目論見は明かされていません。ただし、最近テンセントが新たな商標を登録したことがわかっており、この商標がBullet Messengerに対抗する製品となるのではないかとみられています。
WeChatの誕生した2011年1月からすでに7年がたちますが、この間、シャオミやネットイースといった数々の企業が打ち出した競合製品はその強大な壁を打ち崩すことはできませんでした。ご紹介したように、メッセージ送信の利便性の高さを実現しているBullet Messengerは、WeChatとは異なる優位性を保持しているようにも見えます。今後の動向に要注目です。
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<参考>
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