温泉の常識「タトゥーお断り」が変化の兆し /国も後押し、タトゥー入浴OKの施設増加中

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先日、SNSで芸能人がタトゥーを入れたことを公開し、その投稿に非難のコメントが多数寄せられるということがありました。

以前は、タトゥーは暴力団員の象徴と考えられていました。最近はファッション感覚で入れる人が多くなってきたものの、現在もタトゥーに対して否定的なイメージを持った人がいることは確かです。

観光庁の調査によると、全国の温泉施設のうち過半数がタトゥーを入れている人の入浴を禁止しているということです。

しかし、海外ではタトゥーを入れている人は多くいます。アメリカでは、男性の4割、女性の6割が体のどこかしらにタトゥーを入れているといいます。訪日外国人の数が急増している近年、タトゥーを入れた外国人も多く日本を訪れています。そして東京オリンピックに向け、その数はさらに増えていくことが予想されます。

そんな中、タトゥーを入れた人の入浴を許可する温泉施設も出てきました。事例をまじえて見ていきましょう。

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現在は過半数がタトゥーお断り、いつから始まった?

2015年の観光庁の調査によると、タトゥーを入れている人の入浴をお断りしている温泉施設が約56%、許可している温泉施設が約31%、シール等で隠す等の条件付きで許可している温泉施設が約13%とのことでした。

なお、自治体などが運営する公共の浴場ではタトゥーを入れている人をお断りすることは差別にあたり法律に違反するため、禁止されています。この調査では公共の浴場が含まれているかどうかが不明なため、民間の温泉施設に限ると、許可している割合はこの数字より少ないということも考えられます。

現在ではごく普通に見かける「入れ墨・タトゥーお断り」ですが、これはいつから始まったのでしょうか。

この始まりは、80年代半ばから90年代にかけてだといわれています。当時は、スーパー銭湯がブームになっていました。当時は今ほど規制が厳しくなく、一般の客にまぎれて暴力団に関係のある人々が来ることもありました。

スーパー銭湯では食事やアルコールが提供され滞在時間も長くなるため、そういった人々への一般の利用者からのクレームが増え、利用者数が減ってしまうということもあったようです。

そこで施設側は対応策として、当時は暴力団の象徴と考えられていたタトゥーを入れている人の入浴を断ることにしたのです。そしてその慣習は現在まで続いています。

しかし現在は以前に比べ、タトゥーが暴力団の象徴と考えられることも少なくなりました。急増している訪日外国人の中には、タトゥーを入れている人も大勢います。もはやタトゥーをお断りすることは時代に合わないと考え、タトゥーを入れている人の入浴を許可する温泉施設も出てきました。以下でその施策を見ていきましょう。

タトゥー許可の施設も登場

タトゥーに対するイメージの改善や訪日外国人観光客の増加など時代の流れを考慮し、タトゥーを入れている人の入浴を許可する温泉施設も増えてきています。その中には、全面的に入浴を許可する施設と、条件付きで入浴を許可する施設があるようです。以下で2つの例について見ていきましょう。

入浴を許可している例:千葉・大和の湯

千葉県成田市にある大型温泉施設「大和の湯」は、タトゥーを入れている人の入浴を許可する旨を公式ウェブサイトで明示したことから、話題となりました。

Q. 刺青があるのですが利用できますか?
A. 刺青、ファッション・タトゥーがある方もご利用いただけます。
大和の湯では刺青がある方の入館を特にお断りしてはおりません。以前は刺青をしている方に対しての良くないイメージがありました。しかしここ最近、特に若い人の間でファッション・タトゥーも流行しているように、刺青そのものが問題視される時代ではなくなってきているようです。 また刺青をしていても今ではきちんと良い仕事をして社会に貢献している人もいれば、刺青をしていなくても悪いことをする人も大勢います。「大和の湯」では人を見かけによって判断することはしません。少なくともそのように努力することが、新しい世代に向けて開かれた温泉の姿であると認識しています。
出典:大和の湯Q&A

「大和の湯」は成田空港にほど近い場所にあるため、以前から訪日外国人の需要があったと考えられます。「大和の湯」は他にも、小学生未満の子ども入館禁止・全館禁煙といったルールを取り入れています。

入浴を条件付きで許可している例:株式会社温泉道場 おふろcafe utatane

埼玉県さいたま市にある温泉施設「おふろcafe utatane」は、温泉に入る以外にも本を読んだり食事をしたり、ゆったりと自由な時間を過ごすことができるということで若者を中心に人気を集めています。

温泉の新しいスタイルを提供しているこの施設では、タトゥーを入れている人の入浴を条件付きで許可しています。12.8×18.2cmのカバーシールをフロントで200円で販売し、タトゥーがそれにおさまる大きさであれば入館できるということです。

シールを切り分けて貼ることは許容しているとのことですが、1枚でおさまりきらない場合ははみ出している部分がほんの少しだったとしても入館できないことにしており、その判断は厳密に行っているようです。

「おふろcafe utatane」がタトゥーを入れている人の入浴を許可した背景には、利用客の年齢層があるようです。「おふろcafe utatane」の利用客は若い世代が多く、タトゥーへの否定的イメージも他の年代の人に比べて少ないと考えられます。

そのような利用客にはルールに従ってタトゥーを隠すことのできる人であれば問題ないと許容する意識があると考え、タトゥーを入れた人の入浴許可に踏み切ったようです。

まとめ:国も後押し、タトゥー許可の流れ

依然としてタトゥー禁止の温泉施設は多いようですが、一方でタトゥーを入れている人でも入浴できる施設は徐々に増えてきました。

観光庁の調査によると、訪日前に期待していたこととして「温泉入浴」をあげた訪日外国人は、全体の26.5%にのぼりました。温泉は日本の文化であり観光資源でもあるので、タトゥーのあるなしにかかわらず多くの外国人に体験してもらえるようになることが理想です。

とはいえまだ国内でのタトゥーへの否定的イメージは根強いので、すべての温泉施設でタトゥーを許可することは現実的ではありません。しかし今回紹介した「大和の湯」や「おふろcafe utatane」のようにタトゥー入浴OKの施設が出てくることで、他の施設もタトゥー許可に踏み切りやすくなると考えられます。観光庁もタトゥー入浴許可には積極的なので、今後はそのような流れができてくることが予想されます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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