観光地のトイレ事情 | 外国人(インバウンド)誘致するなら洋式のきれいなトイレを

観光地のトイレ事情 | 外国人(インバウンド)誘致するなら洋式のきれいなトイレを

訪日外国人が急増するなか、政府は東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の訪日外国人数の目標を4000万人としています。その目標を達成する上で現在急務となっているのが、「トイレの整備」です。

TOTOが訪日外国人を対象に行ったアンケートで、訪日外国人が再度観光地を訪れたくなくなる要因として「トイレが薄暗く、臭い」が最多となりました。また訪日外国人の8割が「洋式トイレ派」であるにもかかわらず、日本の観光地の公衆トイレは4割が和式だということがわかったのです。

トイレは観光地の明暗を左右するといっても過言ではないでしょう。いまや訪日外国人を呼び込む上で必須とも言えるトイレの整備。その重要性と国の動きについて見ていきましょう。

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TOTOがアンケートを実施、7割が「観光地のきれいなトイレはイメージアップ」

水まわり機器メーカー・TOTO株式会社は、2018年7月に訪日外国人150名を対象に「外国人のトイレに関するアンケート」を実施しました。

アンケートにおいて、トイレが整備されていると「観光地のイメージがよくなる」と答えた人は7割を超え、次いで「観光地で安心して長時間過ごすことができる」と答えた人も3割を超えました。

また、観光地や周辺施設がどのように整備されているとまた訪れやすくなると思うかという問いに関しては、全12項目のうち「無料で利用できる公衆無線LANスポットが多い」が52.7%でもっとも多く、次いで「トイレが明るく、臭くない」が45.3%で2位となりました。

さらに、観光地や周辺施設がどのように整備されていないともう訪れにくくなると思うかという問いに対しては、「トイレが薄暗く、臭い」をあげた人は30.0%にのぼり、「多言語表示が少ない」(22.0%)や「無料で利用できる公衆無線LANスポットが少ない」(18.0%)など全12項目のなかでもっとも多いという結果になりました。

このアンケートのなかでも特筆すべきは、トイレが整備されていると「観光地で安心して長時間過ごすことができる」と回答した訪日外国人が3割いたということです。「長時間過ごすことができる」ということは、それだけ観光地での消費行動が増えるということです。例えば食事だけを見てもそうです。一般的に食事は6~7時間に1回程度とりますが、滞在時間が長くなればなるほどその場所で必要となる食事の回数は増えていきます。

逆に考えると、観光地に整備されたトイレがなければ訪日外国人が長居できず、観光地側からすれば獲得できたかもしれない利益を取り逃がしてしまうことになるのです。

トイレは、訪日外国人がその観光地を訪れるかどうか、またその観光地でどれだけ消費するかということを左右しているといえます。

TOTOの取り組み:宮島にだれでも使いやすい「おもてなしトイレ」

旅行予約サイトTripAdvisorによる「外国人に人気の日本の観光スポット ランキング 2018」で3位にランクインした広島県廿日市市の宮島には、毎年多くの訪日外国人が訪れています。

年々訪日外国人が大幅に増えている宮島で、現在TOTOは「おもてなしトイレ」の整備を進めています。「おもてなしトイレ」は、訪日外国人・高齢者・障がい者・乳幼児連れ・LGBT等性的マイノリティーの人などだれにでも使いやすいトイレです。

「おもてなしトイレ」の特徴は主に3つあります。

一つ目は、今まで多機能トイレ一つに集中していた乳幼児ベッド・車いす使用者やオストメイト用の設備などをトイレ全体に分散して配置するという点です。これにより、多様な利用者がスムーズにトイレを利用できるようになるということです。

二つ目は、男女別のトイレとは別に「だれでもトイレ」を設けるという点です。これは、LGBTを含む性的マイノリティーの人や、異性の介助を必要とする人などに配慮したものです。

三つ目は、利用者の多い観光地であるということにも配慮し、人々の動線を意識して設計したという点です。用を足す・手を洗う・身なりを整えるなどトイレの使用目的は複数ありますが、例えばトイレの待ち行列ができる壁に鏡を設置し、待ち時間に少し身なりを整えられるようにするなど、人が多くてもスムーズに利用できるような工夫がなされています。

TOTOによると、「おもてなしトイレ」の供用開始は2019年8月を目標に廿日市市と協力しながら整備を進めているということです。

洋式派が83%の訪日外国人、でもトイレの4割はまだ和式

訪日外国人向けのトイレの整備というと、真っ先に思い浮かぶのは和式トイレを廃止し、洋式トイレを取り入れるということではないでしょうか。

2015年にTOTOが行った在日外国人へのアンケートでは、「訪日当初、日本の公共トイレで困ったこと(複数回答)」として「和式トイレの使い方がわからなかった」をあげた外国人は26.7%で、全19項目のうち最多となりました。

また、「訪日当初、日本の公共トイレに洋式トイレと和式トイレがあったとき、主にどちらを選択しましたか?」で「洋式トイレ」「どちらかといえば洋式トイレ」を選んだ人は、合計で8割を超えました。

このアンケートは日本に居住している外国人を対象に行われたものですが、どちらの設問も「訪日当初」のことを尋ねているため、日本に短期間だけ滞在する訪日外国人観光客にもほぼ同じことがいえるのではないでしょうか。

この結果を見ると、和式トイレは訪日外国人にとってあまりなじみがなく、和式ではなく洋式トイレを使いたい人が大多数であるということがわかります。

一方で、観光庁が2016年度に観光地の公衆トイレを調査したところ、24,524基ある大便器の42%が和式だったということです。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて訪日外国人の増加が予想されるなか、このトイレ問題を放っておくわけにはいきません。政府もこの問題に対して取り組みを開始しました。

洋式化推進する国の動き

政府は2016年度から、ホテルや旅館などの宿泊施設がトイレを洋式化する際に、費用の3分の1を国で負担するという政策を始めました。

2017年以降は対象範囲を拡大し、問題となっていた観光地の公衆トイレにも、改修工事に際する助成金が与えられるようになりました。2018年度からは駅や電車、バスターミナルなどの交通施設も対象となっています。

洋式化の工事は地元の中小規模の工事事業者が請け負うことが多く、訪日外国人の増加による恩恵を今まであまり受けていなかった層の経済活性化にもつながるということも、この政府の取り組みの背景にあるようです。

まとめ:「だれでも使いやすいトイレ」が外国人対応になる

長らく訪日外国人対応ができていなかった日本のトイレですが、国の後押しもあり、現在各地で整備が進められています。

しかし、国の取り組みは主に和式トイレの洋式化に限られています。果たしてトイレの外国人対応は、洋式化だけで十分なのでしょうか?

宮島におけるTOTOの「おもてなしトイレ」に見たように、訪日外国人が使いやすいトイレというのは、同時にだれにでも使いやすいトイレです。訪日外国人にもさまざまな人がいます。訪日外国人対策として洋式化や多言語表示だけを行うのではなく、「おもてなしトイレ」の考え方を取り入れて幅広く整備を行うことが重要なのではないでしょうか。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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