JNTO発表の2018年1~10月までの訪日外客数によると、中国からの旅行客は10か月間累計716.3万人となりました。昨年12か月間の累計は735.5万人であり、11月の数字が出れば昨年の累計を超えることになりそうです。中国人の海外旅行行先でも、年間を通して日本はタイや香港と並ぶ人気観光地です。
しかし、実際に日本に来ている中国人は皆日本旅行に満足しているのでしょうか?本編では「日本旅行の不満」とこれからの中国インバウンドのトレンドになりうる「高級プライベートカスタマイズ旅行」ついて掘り下げていきたいと思います。
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日本旅行で不便なこと7選
中国の口コミでは、日本旅行について「英語が通じない」「ゴミ箱がない」「現金を使わないといけない」といった不便さを共有する投稿がしばしば見られます。今回はさらに詳細な意見を探るべく、中国最大の旅行記サイト『Mafengwo』で今年立てられた「日本旅行で不便だったこととは?」のスレッドなどを覗いてみました。全部で579件もの回答が付き、日本旅行への関心の高さがうかがえます。そこには以下のような意見が見られました。
1.地下鉄が複雑すぎる
東京の地下鉄の複雑さは世界でもトップクラスです。今年の春、大阪と東京を自分の計画で旅行した男性はこのように語ります。「たくさんの鉄道会社が電車を運行しているので、1日の利用券を買っても、鉄道会社が異なり利用できないという場面に出くわす。しかも、同じホームなのに異なる鉄道会社の列車が到着する。ものすごく間違えやすい。」東京在住のひとでも、普段利用市内路線ではかなり迷うものです。乗り入れの列車などは、旅行者にとっては複雑を極める存在でしょう。
2.電車の種類が複数ある
一社の列車しか走らない路線でも「普通」「快速」「特快」など複数が存在し、結局どれに乗ればいいのかわからないという意見もありました。googleを用いたところで、現在自分が利用しているのがどの種類の列車なのかはgoogleでは知ることができず、苦労する旅行者もいるようです。
3.飲食店の水に氷が入ってくる
長く言われていることですが、中国の日常生活では氷を入れた水を飲むことはほとんどありません。対照的に、日本の飲食店はチェーン店でもレストランでも、氷の入った水が出てきます。
「冬ですら氷入り!悲劇!」といったコメントもあります。氷なしや常温の水は頼めば出てくるお店も多いはずですが、言語の問題で通じないこともあるのかもしれません。メニュー表に指さしでコミュニケーションできるような表記をつけたり、google翻訳などで対応したりすることも検討しても良いではないでしょうか。
4.ショッピングセンターの閉店時間が早い
夜8時にショッピングセンターが閉まってしまうのが不便すぎるという意見も複数見られました。実際には夜9時まで開店している施設もありますので、インバウンド担当者は中国人観光客へは営業時間も訴求ポイントとして機能するということを覚えておくと良いでしょう。
5.料理が一流なのに言葉が通じない
「現地の文化」として現地の居酒屋などに興味はあるものの、メニューが文字だけ、店主が英語ができずコミュニケーションができない。料理は絶対おいしいはずなのに…という残念な体験をシェアしている人もいます。
6.エスカレーターの右寄り、左寄りが地域によって違う
日本人ならば周囲に合わせて片方に寄ることは難しくないかもしれません。中国人にとっても、一方を通行者のために開けておくことを理解するのはそんなに難しいことではありません。
しかし「(エスカレーターを空けるのが)地域によって左右の違いがある」という現象に多少の困惑を抱くようです。「京都、大阪以外にも左寄りの習慣の地域はあるのだろうか?」という不安の声が見られます。
7.朝食をとるところがない
牛丼、ハンバーガー以外の朝食が食べたい、という書き込みもありました。中国人が多く訪れる東京や大阪には、その地でしか楽しめない朝食を用意しているお店もあるはずですが、需要に供給が追い付いていなかったり、情報を求めている層に伝わっていなかったりということが考えられます。
このほか、食べ歩きしていると奇異な目で見られることやシェアサイクルが少ないこと、また荷物がたくさんあるのにタクシーが寄せられるエレベータの駅への入り口がなかった体験が挙げられていました。一人2つのスーツケースを持つことも少なくない中国人観光客にとっては、タクシーの多くがセダンタイプの車体であることや公共交通機関のエレベータの少なさには不便を覚えることでしょう。
団体旅行から個人旅行へ、そしてコンシェルジュ付きのプライベートカスタマイズプランへ
これまでの「団体旅行」からこの2年ほどで増加した「個人旅行」、最近ではさらに上質で独自の体験を求めて「高級プライベートカスタマイズ旅行」と呼ばれる形式が広まりつつあります。旅行客の1組1組のために、日程を組むこの旅行を提供する「私人定制旅行会社」も存在します。

こういった旅行社が用意するプランは、団体旅行のサービスを個人に対し提供するイメージです。すべての行程において専用車での送迎と専属の中国語通訳がつきます。
行先は中国国内から日本、タイ、フィジー、ロンドン、タンザニア、アイスランドと、世界各地にわたります。金額設定は、たとえばネパールで5日間5,000元(85,000円)や、モロッコ10日間7,500元(12万7,500円)イスラエル12日間25,000元(42万5,000円)などです。
プライベートカスタマイズプランにおいては、旅行のテーマを設定するケースが少なくありません。豪華客船、ヘリコプター、撮影、ゴルフ、また高級腕時計を巡る旅、など様々なテーマが用意されています。プライベートジェットを利用するケースもありますが、昨年2017年はこうした航空便の離着陸に対し、日本の主要空港は世界でもトップクラスの利用料を設定しているそうです。
カスタマイズのプランでサービスを提供する旅行社はいくつも存在し、中には手配や通訳のこなれていない業者もおり、SNSのWeiboには「満足いかないサービスだったのに金額が割高だった」という声も見られます。
今後は、こういったプライベートカスタマイズ旅行社のうち評判の良いところと提携し、インバウンドの売上を拡大させていくという戦略も検討に値するのではないでしょうか。
まとめ ~郷愁感じる旅行先、日本~
「新しい技術を持ちながら、同時に現金といった古い習慣を保持している。伝統を大切にする日本人の意識が現れているんだろう。そんなレトロなところも日本の良さ。」といった書き込みも見られました。
中国人旅行客の目には、よくも悪くも激しい速度で変化を起こしそれを受容し続ける中国での生活と、日本旅行で体感する日本社会のありようは対照的に映るようです。
先進国として様々な分野で高品質な一流製品を生み出しながら、生活様式には大きな変化を起こさず、郷愁すら感じるほどの世界…日本はそんな両面を持つ土地として、今後中国人観光客に愛されていくのかもしれません。見てきたウィークポイントを整備していくことで、さらに多くの中国人観光客に日本の良さを味わってもらいたいものです。
インバウンド最大の中国市場は「旅マエ」にアプローチするのが重要!おすすめのインバウンド対策を資料で詳しくみてみる 「中国向けインフルエンサープロモーション」を資料で詳しくみてみる 「中国向け広告運用」サービスを資料で詳しくみてみる 「Wechatを活用したプロモーション」を資料で詳しくみてみる 「Weiboを活用したプロモーション」を資料で詳しくみてみる<参考>
- http://www.mafengwo.cn/wenda/detail-11369437.html
- https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/since2003_tourists.pdf
- http://www.tourmade.com/
- http://www.zswxy.cn/articles/10629.html
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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