2018年11月30日に日本政策投資銀行と日本交通公社は、『アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査』を発表しました。第7回目の実施となる今年は、調査テーマにより期間を2回に分けています。1回目は、6〜7月に実施した対象地域の海外旅行経験者に対しインターネットでのアンケート調査、2回目は、夏の西日本豪雨や台風21号、北海道胆振東部地震を受け、10月初旬に追加で実施した災害にフォーカスした意向調査になります。調査地域は、韓国・中国・台湾・香港・タイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア・アメリカ・オーストラリア・イギリス・フランスの12地域です。
2つの調査結果から、訪日旅行に対する意欲の変化などの最新のインバウンド動向をふまえ、今後重要になるであろうインバウンド誘客のあり方について見ていきましょう。
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国・地域別に見た訪日旅行への意欲や関心の特徴とは?
アジア圏の訪日旅行への意欲・国と地域ごとの興味関心・ナイトライフの過ごし方について見ていきましょう。
アジアの訪日旅行意欲が成熟化?
アジア全体の訪日旅行希望者の割合は55%と、依然として高い数値を維持していますが、調査開始以来初めてわずかに低下したことが判明しました。訪日客の85%を占めるアジア圏での訪日旅行人気の勢いが、比較的落ち着いてきていることが伺えます。
さらに、すべての調査対象地域での訪日旅行の満足度は86%と高いですが、再訪意向が54%と相対的に低く、リピーター獲得に課題があると言えるでしょう。
アジアと欧米豪の訪日旅行に対する関心の違いとは?
今後は、国や地域ごとの興味関心の特徴を捉え、日本各地の観光資源に磨きをかけ発信していくことが重要となるでしょう。
ナイトライフは有名観光地よりローカル体験を重視
自然災害の訪日旅行への影響
10月に追加で実施された災害に関する意向調査によると、調査地域全体の47%が日本を「自然災害が多い国」と認識しているとの結果になりました。
直近の災害についても約7割が把握していると同時に「自然災害からの復旧が早い(44%)」「旅行先として安全(44%)」と、過去の災害から日本が復興していった過程も広く認知されていることがわかりました。
一方「自然災害時の外国人への対応が進んでいる」と回答したのは26%に留まり、訪日客に対する災害時の対応策の整備が課題として挙がっています。
「今後海外旅行で訪れたい国・地域」のランキングでは、災害後の10月の調査でも1位を維持しており、長期的な目線では訪日意欲は依然として衰えていないことがわかりました。
しかし「当面海外旅行先の候補から外している国・地域」のランキングでは、アジア全体の中で日本がトップとなっており、理由として「自然災害への懸念」と答えた割合は30%と最も高くなりました。
2012年の調査開始以来、訪日旅行の不安材料として「地震」が初めて「言葉」を上回っています。短期的には訪日旅行の検討を中止している傾向が見られたことで、風評被害の影響の長期化が懸念されるでしょう。
訪日発地国の分散化を図る重要性とは
訪日客の発地国の分散化を図る重要性は、主に2つの理由から考えられます。1つ目は、アジア圏の訪日旅行人気が成熟し、勢いが落ち着いてきている点です。
今後さらにインバウンド誘客を促進しリピーターの獲得を目指すにあたって、欧米豪なども含めた発地国の拡大こそが重要と言えます。2つ目は、アジア全体で自然災害への懸念を示す傾向にある点です。これまでインバウンド誘客のターゲットとしてアジア市場を中心に開拓してきた日本ですが、自然災害などの外的リスクに備えた開拓市場の拡大の重要性が、今回の調査結果により明らかになりました。
まとめ:アジアでの訪日旅行意欲の成熟化や外的リスクへの備えが重要
『アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査』を通して、アジアでの訪日旅行に対する意欲の成熟化と、自然災害への懸念から訪日旅行を短期的に見送る傾向が顕著になっていることが明らかになりました。今後は、自然災害などの外的リスクへの備えも含め、アジアだけでなく欧米豪などインバウンド誘客のターゲット市場を拡大していくことが期待されます。
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- DBJ日本政策投資銀行・日本交通公社:DBJ・JTBFアジア・欧米豪訪日外国人旅行者の意向調査( 2018年度版)
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