2018年は災害が多くインバウンドにも少なからず影響を及ぼしましたが、観光庁の調査によると10月までの訪日外国人客数は2640万人と、2017年を上回る勢いです。
訪日外国人客が日本で旅行する際、もはや欠かせないアイテムとなっているのがクレジットカードです。欧米に遅れること数年、現在日本でもキャッシュレス化が進みつつあります。しかし日本国内にはクレジットカード未対応の店も多く、訪日外国人から不満の声があるのも事実です。
さらに最近問題視されているのが、海外で発行されたクレジットカードの一部が日本で使えないということです。
この事態は商業施設や小売店からネットショップなどさまざまなシーンで起きています。JRなどの鉄道会社でも使えないことがあるということで、券売機の前で困惑する訪日外国人が後をたたないといいます。
なぜ海外発行のクレジットカードが日本で使えないということが起きるのでしょうか? また、現在クレジットカードに対応している商業施設・小売店等も、そのクレジットカード対応は大丈夫でしょうか?
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海外発行のクレジットカードが日本で使えなかった事例
日本では多くのクレジットカードが流通し、対応も徐々に進んできています。
しかし海外で発行されたクレジットカードが日本で使えないことがあり、訪日外国人や海外を生活の拠点とする日本人から不満の声があがっています。
ここでは海外発行のクレジットカードが日本国内で使えない事例について紹介していきます。
JRの券売機には「VISA」や「Master」など国際ブランドのアクセプタンスマークが表示されており、クレジットカード決済が可能です。しかしマークがある国際ブランドのカードを入れても使えないということがあるようです。

実はその場合、カードが旧式であることが原因のようです。
現在世界で発行されているクレジットカードは、ICチップ付きのものがほとんどです。ICチップはサインではなく4桁の暗証番号で認証できるタイプのもので、セキュリティ面で優れています。
ただ現在ICチップ付きカードへの移行が進められている最中であるため、ICチップの付いていないカードも存在してしまいます。
鉄道会社に限らず日本国内の自動券売機は、そういった旧式のカードに対応していません。そのためICチップのないカードを入れるとエラーになってしまうのです。
海外発行のクレジットカードは日本のATMで使えない?
ATMでも海外発行のクレジットカードが使えないということがあります。
これは日本国内のATMそのものが日本以外で発行されたカードに対応していないのが原因で、数年前までは日本国内のATMでは全く使えませんでした。
ところが近年、利用客の多い駅やコンビニなどに海外発行のクレジットカード専用のATMが設置されています。
最も有名なのがセブン銀行のATMで、VISA やMasterCardのほか8ブランドのカードが利用でき、言語も11か国語に対応しています。セブン銀行はセブンイレブンの店舗内に設置されており、24時間365日利用できるのも利点です。
ほかにはゆうちょ銀行やイオン銀行、メガバンクなども、ブランド数や対応言語数は少ないものの海外発行のクレジットカードで利用することができます。
意外と知らないクレジットカードの仕組み
日本国内でも、いまや多くの人がクレジットカードを持っています。一般社団法人日本クレジット協会の調査によると、2017年の国内でのクレジットカード発行枚数は2億7,201万枚です。同年の成人人口と比較すると2.6倍となることから、1人あたりのクレジットカード所有枚数は平均2~3枚ということがわかります。
クレジットカードを持っていれば現金の持ち合わせがなくても買い物ができ、またネットショップでの買い物では、わざわざコンビニに行って振り込んだり、着払いの料金を用意したりする必要もありません。
便利で簡単なクレジットカード決済ですが、その仕組みを考えたことはあるでしょうか?
クレジットカード決済を取り巻く 3プレーヤー
クレジットカード決済で絡んでくるのは、購入者・クレジットカード会社・事業者(販売店・ネットショップなど)の3者です。
まず「1.購入者」がクレジットカード払いを選択して、事業者から商品を購入します。
次に「2.クレジットカード会社」が商品代金の請求明細を発行し、指定された購入者名義の口座から商品代金を引き落とします。
そしてクレジットカード会社が商品代金から加盟店手数料(決済手数料)を差し引いた金額を「3.事業者」の口座に入金して、手続きが完了します。
なお2.の時点で発生する手数料は、日本では消費者に負担させることはできないと法律で決められています。
クレジットカード決済の簡単な仕組みはこのようになっているのですが、カード会社にしても事業者にしても、両者がひとつずつ契約を結ぶのは大変です。ここで新たに「決済代行会社」というものが登場します。
決済代行会社という第4のプレーヤー
1.の購入者がクレジットカードで商品を購入するところまでは同じです。
2.に違いがあり、事業者が決済代行会社と契約している場合、クレジットカードの利用情報はまず決済代行会社へ届き、その後決済代行会社からカード会社へ利用情報が届きます。事業者に対して立替払いをするのも決済代行会社となり、決済代行会社へはカード会社から立替払いが行われます。
この際、事業者から決済代行会社に対して決済手数料が発生するため、実際には購入代金から手数料を差し引いた金額が事業者へ支払われます。そして最後に、3.購入者からカード会社へ、口座引き落としなどの方法で購入代金分の金額が支払われます。
つまり決済代行会社は事業者とカード会社の間を取り持っているということです。
決済代行会社があることで、事業者は個々のカード会社と契約する必要がなくなり、決済代行会社との手続きを行うだけで済むのです。存在があまり知られていませんが、実際のクレカ決済にはこの決済代行会社をまじえた4者が関わっています。
海外発行のクレジットカードへの対応は急務、アナウンスも必要
海外発行のクレジットカードが日本国内で使えない事例について見てきました。鉄道は訪日客の足として重要な役割を果たすものであり、鉄道会社の券売機で使えないというのはかなり問題です。またATMに関しては、海外発行のカードに対応している端末も増えてきたもののまだ不十分です。
旧式のカードは減っていくことが予想されるので、カードにICチップが付いていないことに起因する利用不可の問題は、いずれなくなると考えられます。しかし一方で、それまでの数年はこの問題に対処していく必要があるでしょう。
ATMについては、日本国内の端末で海外のカードが使えないことを知らない訪日客も多くいると考えられます。そのことを知らないまま日本に来てしまったら、ATMを前にして困惑するか海外のカードが使えるATMを探してさまようことになります。せめて海外のカードは日本のATMで使えないということ、また海外カード専用のATMの設置場所はアナウンスする必要があるでしょう。
インバウンド受け入れ環境整備を資料で詳しくみてみる 「翻訳・多言語化」を資料で詳しくみてみる 「多言語サイト制作」を資料で詳しくみてみる 「多言語化表示サービス」を資料で詳しくみてみる 「テレビ電話型通訳サービス」を資料で詳しくみてみる 「訪日外国人向け道案内」を資料で詳しくみてみる<参照>
- ZEUS:クレジットカード決済とは?仕組みと特徴、決済代行会社について
- クレジットカード比較隊:クレジットカードの仕組み~“国際ブランド”と“発行会社”の違いとは?
- Mmon:海外発行 クレジットカードが使えない! 日本で使うには・手数料
- ナビナビクレジットカード:クレジットカードの「オーソリ」知っておくべき知識と注意点を解説
- origami:日本に来る前に読んで!海外発行カード対応ATMで出金する方法
- ツイナビ:海外で発行されたクレジットカードが、JRの自動券売機で使えない。なぜ「大きく」告知しないのか? 今日も海外からの旅行客が悩んでいた…
- 日本政府観光局(JNTO):訪日外客数(2018 年 10 月推計値)
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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
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