こんにちは、TUMOCA Expressです。
近頃よく、オーバーツーリズムという言葉を耳にするようになりました。これは、観光客(とりわけインバウンド訪日客)が急激に増えたことによってさまざまな弊害が起きる事態を意味します。
これまでの連載記事でお話ししたインバウンド訪日客の荷物問題というのはまさにその一つであり、さらにこのような荷物は観光地において混雑にもつながっています。例えば京都市では、インバウンド訪日客が大きなスーツケースを市バスに持ち込むため、混雑に拍車をかけている事態が起きています。(※1)
そこで、このような荷物による混雑問題への解決策の一つとして手ぶら観光が推進されているのですが、今回の記事では、国際配送サービスを展開する立場から、これからの手ぶら観光についてお話ししたいと思います。
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インバウンド訪日客の需要から見る、手ぶら観光サービスの次なる展開とは?
上記は、国土交通省が過去に実施した手ぶら観光に関するアンケート調査の結果です。これを見ると、空港と宿泊施設間での荷物輸送、ホテル間での荷物輸送、そして荷物の一時預かりが主としてインバウンド訪日客(以下、ゲスト)から求められていることがわかります。
このような需要に応じて、手荷物の当日配送サービスや、手ぶら観光カウンターの設置が国によって推進されてきました。そして今やゲストの手荷物を対象とした国内配送サービスが一般的になりつつあることを考えれば、この次の展開として、「日本国内から海外の自宅までの手荷物配送サービス」の登場が予想されます。
需要の面からも、上記アンケートの利用意向度が50%を超えていることから考えて申し分ありません。このサービスが実現されると、ゲストにとっては、初日に空港に到着した後、国内移動から海外の自宅まで完全なる手ぶら観光が可能となり、ゲストの利便性が大幅に向上するのはもちろん、日本にとっても究極のおもてなしサービスとなるでしょう。
また、最終の配送先が空港ではなく自宅となるため、国内の空港で現在問題となっているスーツケースの混雑問題及び捨て去り問題(※2)の解消にも貢献することから、メリットは十分大きいように感じられます。
国が進める手ぶら観光サービスの現状と問題点
上記のように多くのメリットがある国際配送サービスですが、手ぶら観光サービスを手掛ける大手宅配会社や郵便局では実現されていません。それぞれ、ゲストの手荷物を国内の出発空港まで配送するのが限界です。
実際、とある大手宅配会社は、HP上で、特定の国における個人の荷物の国際配送は取り扱っていないとまで公表しています。この理由は一体何なのでしょうか?
大きな原因として、個人の手荷物は中身が雑多で正確に内容品を把握しきれないこと、そしてもう一つ、国際配送というものが少なくとも3つ又は4つの省庁が関係する業務であることが挙げられます。
国内輸送は国土交通省(郵便局を使う場合は、総務省)、安全検査は国土交通省、税関検査は財務省、輸出申請については経済産業省がそれぞれ管轄しています。国際配送では、これらの省庁、そして相手国の上記に相当する部門を経て荷物が海外の宛先に届けられます。
そのため、総務省管轄の郵便局や、国土交通省からの許認可を得て業務を行う大手宅配会社が単独では、「非居住者」個人の手荷物の国際配送途中に起きうる問題に対応できないのです。
連載第一回目にもお話ししましたが、国際宅配というのは、荷物の受付後に安全検査や税関検査が行われ、その際問題があれば荷物は送り主のもとへ返される仕組みになっており、その中でも特に、受付時に中身を正確に把握しづらい個人の手荷物においては、返送に至る割合が高い傾向にあります。
意外な社会問題!? インバウンド「忘れ物」の対応がホテル・旅館を圧迫し始めている
こんにちは、TUMOCA Expressです。弊社は、全国各地で発生するインバウンド訪日客の忘れ物を海外のご自宅までお届けしております。今回は、そんなインバウンド訪日客の忘れ物が、ホテルや旅館の大きな負担となりつつある現状についてお話したいと思います。目次ホテルと旅館に立ちはだかる2つの大きな問題① 料金決済の問題② 郵便局や宅配業者が受付できない問題料金についての折衝から口座確認まで。。。ホテルの現場では上記以外にもまだまだすることがたくさん。非常に手間のかかる忘れ物は何?まとめホテルと...
しかし、ゲストが日本の住所を持っているはずがないため、郵便局やその他の宅配業者は、このような返送される危険性が比較的高い、かつ返還先の住所がない荷物を受け付けしようとはしません。
もし仮に、そのような荷物を引き受けてしまって、危険物が入っていたもしくは税関への書類内容に不備等があった場合、差出人であるゲストからの指示がない限りすぐに処分することもできず、どうすることもできなくなってしまうからです。
受け付けたはいいものの、お届け先まで配送できない可能性がある荷物は彼らにとってリスクでしかありません。したがって、現在国が進める手ぶら観光サービスは、手荷物の一時預かり及び国内配送が限界なのです。
まとめ:国として国際配送サービスを実現させるには
上述したように、手ぶら観光において国内から海外の自宅までの配送サービスを行う意義は大変大きいものでしょう。ゲストの快適性向上はもちろん、手荷物による混雑緩和や空港でのスーツケース問題を解消することが可能となります。
しかし、その実現のためには、国際配送に関係する省庁全てが連携して取り組む必要があります。以前北海道で実施された、北海道運輸局と郵便局だけの共同実験ではなく、関係省庁全てを巻き込んだ実証試験が不可欠でしょう。
もしくは、弊社TUMOCA Expressのように、個人の手荷物の国際配送において全ての関門をクリアできる民間業者が独自に推し進めていくことになります。TUMOCA Expressは、「非居住者」の荷物を扱うことを得意としており、現在独自に手荷物国際配送サービスを全国で展開しております。興味のある方・協業をご希望の方は是非お問い合わせください。
<参考>
※1:https://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20171201000178
※2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35674100S8A920C1CC0000/
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