2018年の訪日外客数が3,000万人突破目前となる中、多方面でインバウンドの受け入れ体制の整備が問われています。医療現場においても、急増する訪日客の受け入れに課題を感じているのが現状です。
今回は、医療現場におけるインバウンドの受け入れ体制の現状と課題の中から3つの項目に着目し、今後求められる対策について見ていきましょう。
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医療費の未払いトラブル:旅行保険未加入の訪日客が約3割
日本の病院で治療を受けた訪日客による医療費の未払いトラブルは年々増加しています。主な原因は、①訪日客が旅行保険に加入しておらず、高額な医療費が支払えない場合、②現金対応のみだが十分な日本円を持ち合わせていない、などが例として挙げられます。
旅行保険に未加入の訪日客は約3割となっており、高額な医療費を払えず帰国してしまい、回収できなかった医療費は「未収金」として病院側が負担することになります。対策の例としては、関西の自治体や保険会社が連携し、日本へ入国後に加入できる保険の発売や医療費の未払いを防ぐマニュアルの作成を実施しました。
東京海上日動は2016年より「訪日外国人(旅行者)向け海外旅行保険」を発売しており、本来は時刻で現地の保険会社の保険に加入してくることが原則のところ、訪日客が日本に到着後にスマートフォンで手軽に申し込みができるようにしました。対応言語は英語・韓国語・中国語(繁体字・簡体字)の4つで、日本国内におけるケガや病気に対する治療費や本国等への移送費用を1,000万円まで補償する内容です。大阪観光局のホームページにバナー広告を掲出するなどして、加入の促進に取り組んでいます。医療費の未払いを防ぐマニュアル作成では、東京海上日動と大阪府・病院が連携しました。催促の仕方などをまとめ、訪日客向けだけではなく、病院向けの対策も強化しています。
現金で十分な日本円を持ち合わせていない場合や、旅行保険には加入しているが英語での支払い手続きができないため立て替えてもらうしかないといった場合まで、医療費未払いの問題にはさまざまな背景が絡んでいます。今後は、クレジットカードに対応する・海外の保険会社とのやりとりを代行会社に依頼し手続きをするなどといった対策が求められるでしょう。
医療用語を熟知した通訳の確保が課題
2017年10月に実施された「外国人患者の医療渡航促進に向けた医療コーディネート事業者のありかた等に関する研究会(第1回)」において、厚生労働省は、外国語対応可能な医療機関を前倒しで100箇所整備するという目標を発表しました。しかし現状では、まだまだ通訳の確保は医療機関が個々で行っているケースが多いのが現状です。
医療機関には患者に対し説明義務があるため、説明資料を渡すなどの工夫もなされていますが、やはり全く日本語を理解できない訪日客には、専門用語も熟知した通訳を介した的確な意思疎通が求められます。外部のサービスを利用するといっても、コスト面で難しい場合や医療用語に精通した通訳を見つけられないといった問題が発生しており、通訳の確保は難航していると言えるでしょう。
石川県では、県の医師会が電話医療通訳サービスと契約をすることで、会員の医療機関が費用を負担することなく必要なときに通訳を利用できるといった取り組みを実施中です。石川県のように一部では地域で連携した対策もありますが、民間の医療機関が個別で対応していくことには、限界があると言えます。
多様化する訪日客の異文化・習慣への対応も必要
医療現場におけるインバウンド対応で重要なのは、言葉だけではありません。訪日客を受け入れる際は、異文化や習慣がときに問題となります。例えば、ムスリムの女性患者から、宗教上の理由で家族以外には肌を見せることができないため、対応に当たるのは女性スタッフのみにしてほしいと言われた場合、要望に応えられる日本の医療機関は決して多くないでしょう。
食事においても、特定の食材や調味料が使えないといったケースから、スタッフが使用する消毒用のアルコールの使用までやめてほしいと言われる場合もあるとのことです。入院前や入院時に医療機関と患者の家族が話し合うことで解決できる場合もありますが、医療機関側も異文化や習慣への対応に備える必要性が、今後ますます高まると言えます。
まとめ:医療現場における訪日客の受け入れ体制整備は急務
医療費の未払いトラブル・通訳の確保・異文化や習慣への対応など、さまざまな課題を抱える日本の医療現場。東京オリンピックまで600日を切った今、医療機関が自ら行動に移すことはもちろん、官民一体となって取り組むなど、医療界全体で訪日客の受け入れ体制の整備を進めていくことが求められています。
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nippon.com:外国人医療の現場で起きていること
産経WEST:訪日客の医療費未払いを防げ 関西官民で対策強化 入国時加入OKの保険など
Manolin Office:東京海上日動「訪日外国人(旅行者)向け海外旅行保険」
経済産業省:外国人患者の医療渡航促進に向けた医療コーディネート事業者のあり方等に関する研究会(第1回)-配布資料5
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
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- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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