2018年の訪日外国人数は3,000万人を突破しました。国が掲げる2020年までの目標4,000万人は確実に射程に入りつつあります。外国人観光客を誘致し、全国津々浦々で消費してもらうことで、地方経済を活性化させようというのが政府の目論見です。
今後、外国人旅行者は都市部から地方へさらに関心を移していくことが予想されます。地方では早急にインバウンド対策を講じ、来るべき時に備えておく必要があります。そのためにインバウンド受け入れ体制整備としての決済対応はどのようなものがあるのでしょうか?クレジットカード、スマホ決済などキャッシュレス対応はどのようになっているのでしょうか?見てみましょう。
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訪日外国人のおよそ85%はアジアの人々

平成30年度の観光白書によると、訪日外国人旅行者のうち最も多いのは中国からの観光客で、全体の25.6%を占めています。2位以下は韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシアと続きます。実に全体の84.8%はアジアからの旅行者です。
訪日外国人観光客の関心は有名観光地を巡る団体ツアーから、それぞれが自由に国内を旅する個人旅行へシフトしています。日本人にもあまり知られていないような場所がSNSで拡散され、世界的な観光名所になる例も出ているため、今は外国人観光客と無縁の土地でもインバウンド対応を行っておいた方が安心です。
世界では日常的に現金を使わない国が増えている

日本人にとっては当たり前の現金払い。しかし海外ではキャッシュレス決済が主流です。経済産業省が発表したキャッシュレス・ビジョンでは、海外のキャッシュレス決済比率が紹介されています。
2015年時点の日本のキャッシュレス比率18.4%に対し、アメリカは45.0%、イギリスは54.9%、中国は60.0%、韓国に至っては89.1%と非常に高い割合を占めています。
国を挙げてクレジットカード決済を推奨した韓国
韓国は1997 年に発生した東南アジア通貨危機の影響を打開し、実店舗などの脱税防止や消費の活性化を促す目的で、政府がクレジットカードの利用促進策を行いました。クレジットカード利用者に対して年間のクレジット決済額の20%を所得控除したり、宝くじの参加権を付与したりする一方で、店舗にはクレジットカードの取り扱いを義務づけた結果、国内のクレジットカード利用金額は約7倍に拡大しました。
スマホ決済が爆発的に普及した中国
中国ではスマホの普及に伴い、QRコードを利用したスマホ決済が急速に拡大しました。中国のスマホ決済をけん引するアリペイは、公共料金の支払いやタクシーやホテルの予約、資産運用などのサービスも展開しています。決済だけでなく、人々の日常を支える生活密着アプリに成長することで、多くの人に利用される決済アプリになっています。
外国人にとって他国の通貨は使いづらい
日本人にとって、クレジットカードや電子マネーは使える場所が限られているため、現金が最も使い勝手の良い支払方法です。しかし外国人にとって円という通貨単位はなじみが薄く、日本での1000円が自国ではどの程度の価値を示すものなのか考える時間が必要です。さらに瞬時に紙幣や硬貨を見分けて店員に差し出すのは至難の業です。ここに現金払いのストレスが生じます。
その点キャッシュレス決済なら、カード1枚で支払いができ、自国の通貨に自動で換算されて引き落としがかかります。両替の手間もなく、多額の現金を持ち歩くリスクも軽減できます。
お店に用意しておきたい決済手段
外国人旅行者にストレスなく買い物を楽しんでもらうため、店舗にはキャッシュレス決済への対応が必要です。日本にはさまざまなキャッシュレス決済が利用できますが、どのような決済手段を用意すればよいのでしょうか。
クレジットカード…韓国および欧米からの観光客向け
クレジットカードは世界中で利用されているメジャーなキャッシュレス手段です。VISAやmasterなど主要な国際ブランドに対応していれば、デビットカードやプリペイドカードにも対応できるため、お客様の幅広いニーズに対応できます。
交通系電子マネー…公共交通機関の利用者向け
個人旅行が増えたことにより、電車やバスといった公共交通機関を利用する外国人も増加しています。ガイドブックでも乗車券として使える交通系電子マネーの購入を推奨していることが多く、SuicaやPASMOを持ち歩いている外国人観光客が大半です。そのため、電子マネーで支払いができるようになっていると外国人の利便性を高めることができます。
QR決済…中国からの観光客
訪日外国人の4分の1を占める中国人は購買意欲が非常に高く、旅行消費額は全体約4割にのぼります。中国人が普段自国で使っているアリペイやWeChat Payに対応するだけで集客効果があり、1回あたりの決済額の増加も見込めます。
中国のQR決済アプリはSNSとしての機能を搭載しており、越境ECへの対応も可能です。帰国後のユーザーにメッセージを送り、ECサイトを通じて継続購入を促すこともできるので、顧客との関係を長期的に維持できます。
まとめ:導入するならマルチ決済サービスがベスト!
一口に外国人観光客と言っても、出身国によって好まれる支払方法はまちまちです。とはいえ複数の決済手段を準備するのは手間がかかりますし、入金管理も大変です。
例えばコイニーを契約すればクレジットカードと電子マネーとWeChat Payが使えます。またリクルートが運営するAirペイを導入すれば、クレジットカード、電子マネー、QR決済をAirレジアプリで一括管理できるので便利です。
外国人観光客を受け入れるためには多言語対応なども必要です。決済についてはなるべく工数を減らし、おもてなしに注力できる環境の構築がインバウンド需要を取りこぼさない秘訣と言えるでしょう。
<参考>
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
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- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
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- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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