「JAPAN HOUSE」は、外務省によって2017年に開始された、日本の魅力を発信する海外拠点事業です。現在はロサンゼルス、サンパウロ、ロンドンの3都市に拠点を構え、「世界を豊かにする日本」といった表現で、日本の魅力を多様な視点から発信しています。政府が戦略的対外発信の強化に向けた取り組みの1つとして力を入れている「JAPAN HOUSE」の具体的な狙いと提供サービス内容から、日本の魅力発信の海外拠点としての役割を見ていきましょう。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
日本の「正しい姿」を海外で発信

世界3都市に開設された対外発信拠点「JAPAN HOUSE」は、展示スペース、シアター機能付きの多目的スペース、ライブラリー、物販、飲食などの多種多様な手段を活用し、日本の魅力を発信中です。
日本の「正しい姿」の発信・日本の多様な魅力の発信・親日派と知日派の育成の3つの目的を掲げ運営しています。外国から見た「スシ」「ゲイシャ」などのステレオタイプを排除し、ハイカルチャーやサブカルチャーといった新しい文化や地方の魅力も含め、あらゆる角度から日本をPRすることが狙いです。日本の強みとして、自然景観や食、建築、最新テクノロジーなど、圧倒的な独自性を持った文化を挙げています。
日本に関心のある人はもちろん、これまで興味のなかった人々に対しても「いかに日本を知らなかったか」といった気づきから「さらに日本の奥深い魅力について知りたい」と感じてもらい、日本のファンを増やすきっかけ作りも目指しています。
世界3都市に構える戦略的対外発信の拠点

「JAPAN HOUSE」は、レストランやカフェ、ショップなどを通して、日本のアートやテクノロジー、地方の魅力といった、日本に関する情報がまとめて入手できる仕組みとなっています。設計やデザインは、日本人の有名建築家やデザイナーが手がけているのも特徴の1つです。
外務省による新しい対外発信プロジェクトとして、ロサンゼルス・サンパウロ・ロンドンの3都市に拠点を構える「JAPAN HOUSE」の特徴をそれぞれ見ていきましょう。
本格的な日本茶が飲める:「JAPAN HOUSE LOS ANGELES」

「JAPAN HOUSE LOS ANGELES」は、ハリウッド&ハイランドセンターという現地で人気の高いエンターテイメントの複合施設の2階と5階を拠点としています。
2階は560平米もの空間に、ギャラリー・ショップ・カフェを設けています。ギャラリーでは、日本の最先端アートを紹介する展示会などを定期的に開催中です。ショップには、伝統技術や文化を伝える工芸品や食品、雑貨類、書籍を取り揃えています。ポップアップストアやイベントも随時開催予定とのことです。本格的なお茶を注文が入ってから提供するカフェも併設されています。
5階にはレストラン・サロン・ライブラリーがあります。日本食レストラン「隠庵」では、日本各地の知られざる食文化の価値を発掘・発信することをコンセプトとしています。レストランに隣接するサロンでは、日本とアメリカの料理人のコラボレーション企画や特定の食材と日本酒のペアリングの紹介など、さまざまなイベントを開催しています。
シアターでは上映会や講演会も実施され、日本の文化をより深く知るための重要な役割を果たしています。
建物に日本産ヒノキ・和紙を使用:「JAPAN HOUSE São Paulo」

「JAPAN HOUSE São Paulo」は、サンパウロの目抜き通りとされるパウリスタ大通りにオープンしました。
建築の一部には樹齢100年を超えた国産檜や、新潟県の伝統的な和紙を使用することで、日本の伝統技術を存分に感じられる空間となっています。日本文化だけでなくビジネスや教育など、幅広い分野から交流の拡大を狙っており、2017年の春に開館して以来1年間で約77万人が来館しました。
館内のショップでは、日本各地の地方の魅力に触れられる伝統的な物はもちろん、モダンアートの工芸品も取り扱っています。風呂敷専門のショップでは、バッグとして普段使いできるようなパーツも取り揃えており、日本文化を日常へ取り入れてもらう良いきっかけの場と言えるでしょう。
マルチメディアスペースでは、本・漫画・電子コンテンツを通じて幅広い日本文化を発信しています。明治大学から200冊の日本語の中古漫画が寄付されたとのことで、教育の観点からも重要な役割を果たしている場所です。
展示会も定期的に開催しており、最新アートを披露することでより日本を身近に感じてもらえるような機会を提供します。これまでは無印良品のポップアップストアも開催されました。
ヨーロッパの日本文化発信拠点:「JAPAN HOUSE LONDON」

「JAPAN HOUSE LONDON」は、ロンドン中心部のケンジントン通りの好立地に位置しています。日本文化への関心が高まるヨーロッパの拠点として2018年にオープンしました。
館内は3つのフロアで構成されています。入り口を抜けてまず目に入る、抹茶や和菓子を提供する開放的なカフェスタンドが印象的です。奥には、日本各地の名産品や伝統工芸品、書籍類が展示・販売されています。
日本の観光パンフレットも豊富に取り揃えられており、書籍とあわせてソファでゆっくり閲覧できるスペースも完備されています。日本人アーティストによる現代アートの展示スペースは、日本をあまりよく知らない人でも自然と惹きつけられるような空間です。
2階には「料理・器・プレゼンテーション」がコンセプトの日本食レストラン「AKIRA」が併設されており、炉端焼の旬の食材を利用した繊細かつアーティスティックな唯一無二の食体験を提供しています。
地下では、アートイベントや展示会、ワークショップを実施する多目的スペースと、ライブラリーを利用できます。
British Business Awardsの”Best UK-Japan Partnership”を受賞

日本とイギリスの間に永続的なパートナーシップを構築する上で重要な役割を果たす場所だと評価されています。
2018年6月にオープンして以来、4ヶ月で19万人もの来場者を迎え、50以上のイベントを開催しました。ロンドンの新たな日本の魅力発信拠点として、ビジネス・教育・文化の観点から日英の関係性をより強固にする機会を提供し、今後も重要な役割を担うと期待されています。
まとめ:日本の魅力を多角的にPRする海外拠点「JAPAN HOUSE」
「JAPAN HOUSE」は「日本といえばこれ」と1つの定義で決めつけるのではなく、日本の文化の強みである独自性を生かすことで、多角的に日本の魅力をPRする場と言えます。
海外に拠点を置く日本の魅力発信地であることから、日本に対して深い関心がない人も気軽に日本文化に触れることができ、新たな日本の魅力に気づくきっかけになります。「もっと知りたい」「実際に訪れてみたい」と訪日意欲を掻き立てインバウンド誘致に繋げることにも効果的でしょう。
特に、日本各地の工芸品を幅広く取り扱っていることから、インバウンドの地方誘致への効果も期待されます。インバウンド対策に力を入れていきたい企業も「JAPAN HOUSE」だからこそ得られる現地の生の声や反応から、有益な情報を得ることが可能です。
常に進化を続ける日本文化を1つの枠にとらわれず、さまざまな切り口から発信していく「JAPAN HOUSE」から、今後も目が離せません。
<参考>
- 「JAPAN HOUSE」
- 「JAPAN HOUSE LOS ANGELES」
- 「JAPAN HOUSE São Paulo 」
- 「JAPAN HOUSE LONDON」
- 外務省:海外広報 ジャパンハウス
- 「JAPAN HOUSE LONDON」:Japan House London Wins British Business Award
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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