デービッド・アトキンソンとは | 経歴・著書『新・観光立国論』・日本の観光政策への考え

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2017年6月より、日本政府観光局の特別顧問に就任したデービッド・アトキンソンは、イギリス出身、日本在住の経営者です。

著書『新・観光立国論』が複数の賞を受賞し、その発言にインバウンド業界の注目が集まるようになりました。

もともとは金融アナリストですが、大学では日本学を専攻しています。2009年には、文化財などの修理、施工を行う小西美術工藝社に入社し、2年後社長に就任しています。

デービッド・アトキンソン氏の提言を受け改善に励んだ観光関連産業も少なくありません。こうした取り組みにより、昨年の訪日外客数3,000万人突破や、2017年の日本の観光収入が世界10位にまで上昇するといった結果が出ています。

この記事では、デービッド・アトキンソン氏の分析する日本の観光政策の現状や日本の観光立国に対する提案などについて、経歴や著書の紹介も交えながら解説します。

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デービッド・アトキンソンはどんな人?

日本の観光政策や観光立国などの著書を出しているデービッド・アトキンソン氏ですが、最近彼の名前を耳にする方も少なくないでしょう。はたして、彼はどんな経歴を持つのでしょうか。ここでは、現在の活動について紹介します。

現在どのような仕事をしている?

デービッド・アトキンソン氏は、江戸時代から続く老舗企業である小西美術工藝社の社長として、日本の国宝・重要文化財を支えています。もともとは、アナリストの経歴を持ち、2009年に同社へ入社しています。2010年に会長に就任し、2011年に社長兼務となっています。

日本の文化財の専門家として、日本の文化財政策・観光政策に関する提言や著書も出しています。また、2016年より三田証券株式会社の社外取締役に就任。2017年6月より、日本政府観光局の特別顧問に就任するなど、その活躍は多岐に渡ります。

ベストセラー『新・観光立国論』他、4冊の著作

前述でも紹介しましたが、デービッド・アトキンソン氏は、日本の観光政策や観光立国などの著書を出しています。ここでは、デービッド・アトキンソン氏の著書を4冊紹介します。

1. 新・観光立国論

『新・観光立国論』は、観光立国を掲げる日本の観光産業が活かしきれていないポテンシャルを開花させ、世界有数の観光大国に肩を並べるための現実的な指針が提示されています。世界の観光客の心をつかむ「日本の観光コンテンツ」、その効果的な発信方法など、日本の文化財政策・観光政策に関する提言をもとに、説得力と多様性に富んだ内容で評価を得ています。

2015年「山本七平賞」、2016年「不動産協会賞」を受賞し、彼の書籍で最も売れている書籍のひとつです。

2. 新・生産性立国論

『新・生産性立国論』は、日本の生産年齢人口の激減や、現在のGDP規模を維持するために、生産性を向上することの大事さを提言しています。これから日本が直面する人口減少は、他の先進国が経験したことのない規模のものになり、それは移民の導入や高齢者の労働参加では補填できません。「生産性の向上」について、考えさせられる一冊です。

3. 新・所得倍増論

『新・所得倍増論』において、デービッド・アトキンソン氏は、日本は潜在能力を活かせていない「日本病」に陥っている現状にあると苦言を呈しています。

そして、まずはその原因を特定し、その潜在能力を活かした「政策」を実行することが日本の問題解決につながると指摘しています。平均給与の押し上げや、GDPの向上、貧困問題、国の借金の問題、社会保障費問題などについて論じた一冊です。

4. 世界一訪れたい日本のつくりかた

『世界一訪れたい日本のつくりかた』は、近年、「観光の後進国」から「発展途上国」になった日本の現状に対し、「世界第5位の観光大国」になれる潜在能力があると提言しています。日本が「6,000万人の外国人観光客」を招致できる真の「観光先進国」になるための施策を解説された一冊です。

デービッド・アトキンソンは観光立国をどう見るか?観光政策への提言は?

日本の観光政策や観光立国について、さまざまな提言を残しているデービッド・アトキンソン氏ですが、具体的にどのような見解を示しているのか紹介します。

「気候」「自然」「食事」「文化」観光立国に必要な4つの要素は揃っている

デービッド・アトキンソンは、日本には観光立国に必要な4つの要素「気候」「自然」「食事」「文化」が揃っていると提言しています。具体的な要素として、気候は四季があり、自然は山や海に囲まれており、北ではスキー、南ではマリンスポーツが楽しめることが挙げられます。また、食事は世界的に有名な和食、文化は古くからの歴史や建造物、アニメなどのポップカルチャーがあります。

各要素の魅力を掘り下げ、外国人のニーズをしっかりと分析をして、その観光資源の魅力を磨いたうえで発信することで、地方などを中心に更に魅力をアピールできるとしています。

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生産性の向上を図るべき

デービッド・アトキンソン氏は、前述で触れた、観光立国に必要な4つの要素が揃っているだけでは効果は発揮できず、これらを活用した生産性の向上が観光立国として必要であると提言しています。

具体的には、日本の観光スポットの多くは、30分ほどで見終わってしまう観光スポットが多いく、長時間滞在する仕掛けづくりが大事であるといいます。目的地を訪ね、ただ写真を撮るだけで終わっては、売上も上がらず生産性は高まりません。例えば、休憩所の充実や、多言語に対応したガイドを設けるなど、 滞在時間を伸ばして売上アップを図る工夫が必要です。つまり、今ある観光資源に付加価値を付け、観光客の満足度を高めることが重要としています。

106の実施地域を選定!観光庁「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」

目次観光資源の解説文や表記作成などの支援を実施昨年度には「魅力的な多言語解説作成指針」なども作成観光資源の解説文や表記作成などの支援を実施国土交通省の観光庁が、「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」で、106の実施地域を選定したと、5月7日に発表しました。観光資源の解説文や表記などに不十分な点があり、訪日外国人観光客が観光地などに、その魅力がうまく伝わらないといった課題が見受けられることから、同事業では英語のネイティブなど、専門人材のリスト作成や派遣体制を構築し、各地域の多言語解説整備を...

一方的な「おもてなし」はもう終わり!多様性でニーズに対応

政府は、「明日の日本を支える観光ビジョン」において、2020年の訪日外国人観光客数を4000万人、外国人旅行消費額を8兆円、2030年には6000万人で15兆円の消費を目指すことを目標に掲げています。この数値に対して、デービッド・アトキンソン氏は実現可能であると考えています。

とりわけ、旅行消費額において具体的な数値を示すことで、「観光客ひとりあたりの単価」を上げていく戦略が読み取れ、中国の中間層・富裕層を更に積極的に呼び込むだけでなく、欧州などの中間層・富裕層、長期滞在客なども視野に入れていることを表しているといいます。

一方で、日本の観光には「多様性」が必要であると提言しています。外国人観光客といっても、国籍や年齢、目的、滞在期間など、幅広いニーズに対応できるような施策が必要です。単に、日本の良さを一方的に世界へ発信するだけでなく、外国人のニーズを踏まえた魅力を考え対応していくことが重要とであるとしています。

デービッド・アトキンソンが掲げる観光政策「地方創生」がカギ

観光立国を掲げる政府は、2020年の訪日外国人観光客数を4,000万人、2030年には6,000万人の達成を目標に掲げています。

この目標を達成するため、日本政府は様々な方法でインバウンド市場の活性化を図っています。そうした日本の観光政策のうち、キーポイントとなるのが地方創生です。

デービッド・アトキンソン氏が指摘したように、日本には観光立国として今後進んでいくために必要な要素が揃っています。

外国人のニーズを偏見にとらわれずにデータから分析し、彼らが訪問しやすいような環境を整えたうえで、日本の地方の観光資源の魅力を発信していけば、インバウンドの集客にも徐々に効果が現れるはずです。

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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

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※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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