祇園(ぎおん)は京都市東山区にある、京都の代表的な繁華街の名前です。八坂神社で行われる「祇園祭り」は京都の夏の風物詩で、7月1日から約1か月間という長い期間で行われる祭です。ただし、祇園祭という名称は、八坂神社の祭神を祀る各地の社寺祭礼の名称として使われていたり、単に夏祭りの名称としても使われており、全国各地に存在します。
京都の祇園祭の中では、様々な古典芸能が上演されます。こうした伝統芸能を、外国人でも気軽に鑑賞、体験できるようにという目的で上演しているのが、京都の「弥生会館」の中にあるギオンコーナーです。
今回は、ギオンコーナーが提供している日本の伝統芸能の体験、外国人観光客が楽しむことのできるようにほどこされた工夫について紹介します。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
ギオンコーナーとは?

ギオンコーナーは、京都・祇園の中心、祇園甲部歌舞練場の隣の「弥栄会館」の中にある劇場です。トリップアドバイザーにも多く口コミがあり、外国人観光客からも注目されています。
舞妓さんによる京舞をはじめ、茶道、華道、箏曲、雅楽、狂言、文楽、7つの伝統芸能をひとつの舞台で、ダイジェストで気軽に楽しむことができます。
また「京都五花街」の年中行事の映像をはじめ、舞妓さんの花かんざしや髪型など小物を展示する舞妓ギャラリーがロビーにあります。
約1時間で日本の伝統芸能を鑑賞できるため、様々な場所を回りたい、忙しい観光客にもぴったりの施設です。
ギオンコーナーの基本情報
公演日時は、毎日午後6時~、午後7時~ 1日2回に分けての公演です。12月から3月第2週目までは金・土・日・祝のみの営業、年末年始とその他年間に数日の休演日を設けています。行う演目は、京舞・茶道・華道・箏・雅楽・狂言・文楽の7つです。
料金は、大人3,150円、高・大学生2,200円、小・中学生1,900円です。また、京都府下の小・中学生は1,600円、未就学児は無料、団体料金(20名~)2,700円となっており、さらに外国人は一人2,500円で、日本人よりも安く楽しむことができます。
体験できる演目7つを紹介
ギオンコーナーでは京舞、茶道、華道、箏、雅楽、狂言、文楽といった7つの日本の伝統芸能が楽しめます。ダイジェストのため、すべての演目を合わせて1時間です。それでは、ギオンコーナーで楽しめるそれぞれの伝統芸能について紹介していきます。1. 京舞
京舞とは、京都発祥の舞妓や芸妓による舞のことです。少ない動きの中での豊かな表現とその美しい所作で人々を魅了してきました。舞妓や芸妓は、幼少期から厳しい稽古を乗り越えてきた、巧みな技術と美しさを兼ね備えた逸材です。ギオンコーナーでは、舞妓による京舞を楽しむことができます。2. 茶道
茶道は、江戸時代に千利休が体成したお茶を立てる作法のことです。ただ作法にしたがってお茶を飲むのではなく、工芸、生け花、詩歌など、幅広い分野にまたがる総合芸術です。現代は「さどう」と読むのが一般的になりましたが、昔は「ちゃどう」と読まれていました。茶頭(さどう)との混同を避けるためだといわれています。ギオンコーナーでは、椅子に座った作法である裏千家の立札(りゅうれい)を楽しめます。3. 華道
華道は、室町時代に池坊専応がいけ花として確立させた日本の伝統芸能です。一説によると、仏前にお花を添えたことが起源とされています。現在は様々な流派に派生し、日本だけではなく世界にも広がっています。ギオンコーナーでは、池坊と嵯峨御流を日替わりで楽しむことができます。4. 箏
箏は、奈良時代に中国から伝わったとされる日本の伝統楽器です。江戸時代に上方では生田流、江戸では山田流によって一般市民に広く親しまれるようになりました。ギオンコーナーでは、生田流の演奏を楽しめます。5. 雅楽
インド・中国・朝鮮半島から渡来、日本の古楽と合わせ伝統保存される正式な宮廷舞楽です。世界最古の音楽の一つです。ギオンコーナーでは舞楽「蘭陵王」を楽しめます。6. 狂言
狂言は、鎌倉・室町時代に確立されたせりふ劇です。能会より能と能の間に演じられた芸能になります。室町時代から発展した狂言は、笑いの要素が入っており、当時の社会が反映されたものとなります。ギオンコーナーでは、大蔵流狂言茂山社中による代表的な演目の「棒縛り」を楽しめます。
7. 文楽
文楽とは、操り人形浄瑠璃による芝居です。江戸時代から古浄瑠璃が発展し、複数の興行元がありました。しかし、明治初期になると、興行が「文楽座」のみとなりました。そこから「文楽」が人形浄瑠璃の代名詞となったと言われています。ギオンコーナーでは、世界無形文化遺産に指定されている「八百屋お七・火の見櫓の段」を楽しめます。
大阪のエンタメを世界へ!劇場型文化集客施設「COOL JAPAN PARK OSAKA」大阪城公園に開業
在阪放送局など14社で構成する「クールジャパンパーク大阪」の劇場型文化集客施設「COOL JAPAN PARK OSAKA」の「WWホール」「TTホール」「SSホール」が、2019年2月に大阪城公園で開業しました。国内外に大阪のエンターテイメントを発信する拠点として、インバウンド誘客への効果も期待され、注目が集まっています。「COOL JAPAN PARK OSAKA」の訪日外国人観光客向けコンテンツや同施設の狙いを見ていきましょう。目次訪日外国人観光客をはじめ、国内外へ大阪の新たな魅力を...
ギオンコーナーの特徴、他との違いは?
訪日外国人が日本の伝統芸能を体験できる場所は日本各地にあります。こうした場所とギオンコーナーの違いはどこにあるのでしょうか。外国人観光客にも楽しめる!
チケットの料金が日本人と外国人で異なり、外国人の方が安く入ることができます。また、外国語のアナウンスが多く、演目のそれぞれが、日本語をできるだけ使わない、視覚的・聴覚的に訴えかけるような仕様になっています。そのため日本語がわからない外国の方にもわかりやすいです。
プログラムは12カ国語(日本語、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、繁体字、簡体字、韓国語、タイ語)で用意されています。
伝統芸能の敷居を低く
通常であれば、一つ一つの演目を鑑賞するだけでも数千円はかかってしまいます。また茶道であれば、京都の伝統のあるお茶屋さんの中には料金が言い値であったり、一見さんお断りであったりする場所もあり、規則がわかりにくい、また敷居が高いといった現実があります。一方ギオンコーナーでは、手頃な料金で気軽に日本の伝統芸能を楽しんでもらうことをコンセプトにしています。日本の伝統芸能の敷居を低くすることで、初めて伝統芸能を鑑賞する日本人をはじめ、外国人観光客が気軽に楽しめるということを実現しています。
外国人観光客に今人気のアクティビティ5選
インバウンド旅行者の「爆買い」ブームも過ぎ去り、多くの訪日外国人観光客が「体験」を重視する傾向になっています。せっかく日本を訪れたなら、日本文化を肌で感じることのできるアクティビティを体験したいと思うものです。そこで今回は、日本の魅力を最大限にアピールできる訪日外国人観光客に人気のアクティビティをご紹介します。目次訪日外国人観光客に人気のアクティビティ5選1. 和太鼓体験2. 和紙づくり・藍染体験3. 茶道体験4. 華道体験5. 折り紙体験コト消費需要3大テーマ1. 日本文化の生活体験2....
顧客目線で訪日外国人にも楽しめる工夫を
日本の伝統芸能は日本人にとっても敷居が高いものです。また実際に、訪日外国人にとってもとっつきにくいと思われる面があります。しかし、実際には、国籍を問わず、せっかく京都に来たのだから伝統芸能に親しみたいと考えている人も少なくありません。
ギオンコーナーでは、専用のディスカウント料金の設定、外国語アナウンス、エンターテインメント性や気軽さなど、工夫を施しており、特に訪日外国人に対して、気軽に行ける場所としてのブランディングに成功しています。
訪日外国人向けのサービスにおいて、これらの対応は当たり前のことにも思えます。しかし、実際に訪日外国人視点で検討し、サービスの設計をできていない場合も往々にしてあります。そうした中でギオンコーナーのインバウンド対策は、参考に値する事例と言えます。ギオンサービスを参考に、自社のサービスや店舗にもインバウンド対策を施してみましょう。
<参照>
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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<本セミナーのポイント>
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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