新幹線をはじめとした日本各地の列車は、便利な移動手段として訪日外国人にも広く利用されています。ところが、よく訪日外国人が利用する駅では、危険な事態が起きていることも珍しくありません。
今回は、全国を飛び回る全国通訳案内士にリアルな現場の様子をお聞きしました。
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
訪日外国人が利用する新幹線ホーム、そこに迫る危機
小田原駅や三島駅、熱海駅などでは、富士箱根方面の観光を終えて関西方面へ向かう訪日外国人でいっぱいになる時間帯があります。のぞみ号が停車しない駅では、特に乗客が集中します。
こうした中、日本の交通機関に慣れない乗客への注意喚起が必要駅シーンも多々ありますが、鉄道会社の従業員だけでは注意喚起がうまくなされないこともあります。例えば、新幹線が駅を通過するという放送があるにもかかわらず、そのスピードのすごさを知らない外国人は、ホーム柵にもたれかかっての写真撮影を続行してしまうのです。
ピーッと笛を鳴らして注意してもイタチごっこ
ホーム柵にもたれかかっている人がいれば、列車の通過時刻であってもなくても、駅員が遠くから笛を鳴らして注意をするのが通例です。
近寄って直接案内しない理由は、広いプラットフォームでその場所から離れられないという事情もあります。しかしこうした笛を鳴らすだけの対応、あるいは日本語での注意喚起を伴ったとしても、日本語のわからない訪日外国人からしたら、その意図は伝わっていません。反対に、どうしてあんなに怒っているのだろうか、と不思議に思っているかもしれません。「なぜ柵にもたれかかると危険なのか」についての説明があれば行動もあらためるはずですが、この部分の理解は笛一つでは達成されるはずがないのです。
セルフィー禁止のステッカーが貼ってあっても「見ていない」
セルフィースティック(自撮り棒)の利用の禁止についても同じです。新幹線ホームでセルフィースティックを使うとなぜ危ないのか、説明すればその行為は止められるでしょう。
自撮り棒架線に触れて感電する危険もありますし、他の乗客に接触する可能性もあります。
駅構内は自撮り棒使用禁止のステッカーが貼ってある場合も少なくありませんが、訪日外国人の目は引きにくく、誰も見ていないというのが現実です。
都内の公共交通機関の場合
東京区内の新幹線ホームは常に混み合っています。こうした圧倒的な混雑を理解せずに駅構内に踏み込む訪日外国人の行動は、やはり時に大きな危険を伴います。
新幹線だけでなく、都内の公共交通機関を利用するときも困ることはよくあります。FIT(個人手配の自由旅行)ならばまだいいのですが、20名を超える団体でも公共交通機関を使ってツアーを回すことがよくあります。
地下鉄銀座線はよく混み合うため、駅ホームを警備する警備員に二手に分かれて乗車するようにと指示されることも珍しくありません。
あわや将棋倒し! 危機一髪のエスカレーター
訪日外国人グループ、その後ろに日本人団体ツアーの順にエスカレーターで新幹線ホームにあがったことがありました。ふと前方を見ますと、エスカレーターの降り口を塞ぐように団子状になって訪日外国人の団体が新幹線の写真を撮っているのが分かりました。
危険を察知してエスカレーターを駆け上がり、英語で「グループが来るから、ここを空けて!危険です!」と叫びました。すぐにどいてくれたのでよかったのですが、将棋倒しになるところで、そこには本当に大きな危険がありました。
キャリーバッグ持参で満員電車に!
都内の観光地での滞在はほとんど問題ありませんが、問題は移動日です。新幹線に乗るために東京駅に行く際も公共交通機関を利用することがよくあります。
例えば、新宿のホテルに宿泊した場合は中央線で、東京駅まで移動することになります。
朝の新宿駅のラッシュを想像してみてください。大きなスーツケースは、あらかじめ宅配で次の宿泊地に送ってあるものの、団体旅行でやってくる訪日外国人は小型のキャリーバッグを持って移動するのが常です。
ラッシュの様子を見て乗車に戸惑うものの、待っていても状況は同じなので行くしかないと乗車します。ラッシュ時には、こうした行動に苛立ちを隠せないサラリーマンもいるようです。いつか訪日外国人とのトラブルが発生するだろうと懸念しています。オーバーツーリズムについて様々な警鐘が鳴らされていますが、こうした現場に対しても早々に手を打つ必要があると感じます。
まとめ
今回のお話は、匿名の条件のもと、全国通訳案内士によりシェアいただいたものです。リアルな現場の状況と言えるでしょう。
日本は、観光バス代が高いといわれることもあるのでしょうが、公共交通機関を利用したツアーが多く見られます。もちろん安全で正確な日本の鉄道を利用していただくことはとてもよいことです。
一方で、こうした現実を見てみると、大都市の混雑や、至近距離を高速で列車が通過する環境があり、訪日外国人は基本的なマナーについて理解する必要があると言えるでしょう。団体が都内を移動する際には、専用車を利用することも検討すべきです。例えば、観光都市ローマでは、小回りの利く小型バスが重宝されています。他の観光先進国のよいところを取り入れることで、訪日外国人にとっても、一般市民にとっても、双方に快適な環境が構築されていくはずです。
【4/3開催】最新調査から読み解く!訪日中国人の消費トレンドと今後の対策
訪日中国人の消費傾向は、ここ数年で大きく変化しています。
「どんな商品・サービスが求められているのか?」
「購買行動はどのように変化しているのか?」
最新の市場データをもとに、今後の戦略に役立つインサイトをお届けします。
本セミナーでは、訪日中国人市場を熟知した専門家が、最新の消費トレンドを分析し、今後のビジネスに活かせるポイントを解説。
データを元にしたリアルな現況を知ることで、競争が激化するインバウンド市場での成功へのヒントが得られます!
<本セミナーのポイント>
- 今後のインバウンド戦略に役立つ最新情報が学べる!
- 中国市場に精通した専門家による実践的な解説!
- 最新データをもとにしたリアルな市場状況が分かる!
詳しくはこちらをご覧ください。
→【4/3開催】最新調査から読み解く!訪日中国人の消費トレンドと今後の対策
【インバウンド情報まとめ 2025年3月後編】2月の訪日外客数300万人超え / 海外で売れる日本のアニメ商品ランキング ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に3月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→2月の訪日外客数300万人超え / 海外で売れる日本のアニメ商品ランキングほか:インバウンド情報まとめ【2025年3月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!