2020年東京オリンピック5競技追加「新種目」に込められたIOCの想いとは?

先月末に観戦チケットの抽選結果が発表された東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に、より一層の注目が集まっています。スポンサーによる聖火ランナーの募集や、競技大会組織委員会によるSNSアカウントの開設など、盛り上がりを演出する仕掛けが続々と展開されています。

今回のオリンピックの見どころの一つに、新たに採用された5つの種目があります。当記事ではオリンピック新種目に関する内容や選定条件について解説します。


東京2020オリンピック競技大会の新種目は5競技!

2020年に開催される東京オリンピックでの正式種目は、28競技321種目、公開競技が5競技18種目の、合計33競技339種目です。

今回初めて採用された競技は、野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの計5競技です。なお、野球は2008年以来の復活となります。

新種目のルールや特徴について紹介します。

1. 野球・ソフトボール

野球は、9名ずつの2チームが対戦し、3つのアウトを取ることによって攻撃側と守備側をチェンジしながら得点を重ねて勝敗を競う競技です。攻守の交代を9回繰り返し、より多く得点しているチームが勝者となり、同点の場合は延長戦になります。北京2008大会では、延長11回からの同点の試合に決着をつけるタイブレークが導入されました。

複雑なルールと様々な戦術により、日本国内ではトップレベルの人気を誇るスポーツです。特に、ピッチャーとバッターとの駆け引きが人々を魅了します。

野球と似ているソフトボールは、野球と同様各9名(指名選手を活用する場合は10名)の2チームが攻撃と守備を交互に行う競技です。同点の場合は延長戦に突入しますが、8回以降はノーアウトで二塁にランナーを置く「タイブレーカー」のルールが採用されました。

ソフトボールは、野球と比べ、投手・捕手間あるいは各種塁間の距離が短く、自ずとフィールドもコンパクトになります。そのため、スピード感のある展開が魅力的なスポーツです。

2. 空手

空手は沖縄で発祥した武術・格闘技です。突き・蹴り・打ちを早く正確に相手にきめ、ポイントを取った方が勝つ「組手」と、技の正確さや力強さ、速さ・リズム・バランスなどを競う「形」の2つの種目があります。

世界空手連盟(WKF)の加盟国・地域は192を数え、ヨーロッパでの競技人口が多くとても人気の高いスポーツです。

3. スケートボード

スケートボードは、曲がったレーンを組み合わせたコースを使用する「パーク」と、街中にある階段や縁石、斜面などに似せて作られたコースを使用する「ストリート」の2種に分けて行われます。

審査方法としては技の難易度やスピード、オリジナリティなどを評価され点数が決まります。スピード感あふれる技は多くの人々を魅了しています

4. スポーツクライミング

スポーツクライミングは、12メートルを以上の壁の決められたコースを登り、制限時間内でどれほどの高さを登ることができたかを競う「リード」と、高さ5メートル以下の壁の複数のコースを制限時間内にいくつ登れたかを競う「ボルダリング」と、高さ15メートルの壁の同一条件のルートを駆け登り、タイムを競う「スピード」という種目の3種目の合計で順位を競います。

選手は道具を一切使わずに、クライミングシューズと素手でのみで壁を登ります。壁を登るためには瞬時の判断力や体力が必要となります。

5. サーフィン

サーフィンはハワイで人気のある、サーフボードという板を使って波にのり、テクニックを競う競技です。サーフィンのサーフボードは大きく分けてショートボード(約183cm)、ロングボード(約274cm)の2種類があり、東京2020大会はショートボードで行います。

波に乗り、技の難易度やオリジナリティ、一本のライディングの中で、どれほど多くの技を繰り出すかなどを総合して採点します。創造性と細かい技術が求められるスポーツです。

スポーツの選定条件や選定方法

続いて、オリンピックの種目はどのように選定されているのか、選ばれる競技の条件について説明します。

以前は上限28種目と定められていた

長年、夏のオリンピックで定められていた「28競技」という上限が撤廃されることになりました。その結果、選手数が1万500人以内、310種目という上限の中であれば、開催都市が実施競技や種目の追加提案ができるようになりました。

この変更により、実地競技・種目が多種多様に変化していきました。

競技数が増えた原因に、商業主義の影

競技数が次第に増えていった背景には「オリンピックの商業化」があります。オリンピックは競技数を増やすことで、スポンサー企業を募り、利益を生んできました。

しかし、オリンピックの開催規模が膨らんでいくにつれて、開催都市の負担は拡大していきました。開催都市にとってオリンピックは、経済効果を生むチャンスであると同時に、リスクも負うことが注目されるようになりました。今では開催都市は、大会終了後に残された施設をどのように活用するかまで、考慮する必要に迫られています。

IOCが決定「オリンピック憲章」がルール

オリンピックの競技・種目の選定方法は、IOCによるオリンピック憲章で定められています。

オリンピック憲章では、競技の選定方法として、夏季は「男性は少なくとも75か国、4大陸で、女性は少なくとも40か国3大陸で広く行われている競技のみ」冬季は「少なくとも25か国3大陸で広く行われている競技のみ」としています。

つまり、競技として世界的に広く親しまれているか否かが、基準の一つです。一部の国で人気があったとしても、世界的にマイナーなスポーツであればオリンピック競技として採用されません。

また、種目の選定方法は、「人口数、地理の両方で公式に認められた国際的な地位をもち、少なくとも2度は世界選手権大会もしくは大陸選手権大会に含められた実績をもっていなければならない」や「男性は少なくとも50か国3大陸で、女性は少なくとも35か国3大陸で行われている『種目』のみ」としています。

つまり、競技よりも狭いエリアで浸透している場合でも、採用される可能性はあります。

新種目はなぜ選ばれた?

IOCにより厳粛に精査された後、新種目が選ばれましたが、決定の背景には社会的な理由があると考えられています。その理由について紹介します。

若者へのアピール

今回新種目として選ばれたスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンなどはレジャーとしても楽しまれています。レジャーとしても人気の競技を採用した理由として、若者へのアピールに繋げたいという想いがあると言われています。

例えばスケートボードは競技者の年齢も若く、10代で活躍している選手も少なくありません。また、スポーツクライミングは、若者を中心に競技人口が急増している競技の一つです。ボルタリングの施設は日本国内でも増えています。サーフィンも長年、若者から親しまれてきたスポーツです。

他にもバスケットボールの3人制や自転車競技のBMXフリースタイルなど、若者に人気のスポーツが採用されたようです。

若者へのアピールだけが採用の理由ではないとは思いますが、こういった事情も少なからず影響しているのではないでしょうか。

わかりやすさ

当時のIOC会長であるジャック・ロゲ氏は、増え続けた競技数に対し、「大きくなりすぎた五輪をスリム化したい」という考えの元、競技の減少や実施種目の合理化が進められていました。

そしてシンプルで、わかりやすい競技が台頭してきました。

例えば、バスケットボールの3人制種目は、『3x3』(スリー・バイ・スリー)と呼ばれ、ハーフコートで行われるため、攻守の交代も頻繁で5人制のバスケットボールに比べ、シンプルでわかりやすい競技です。また、7人制ラグビーも同様にテンポでよくサクサク進む競技が魅力的なスポーツです。

わかりやすさを重視することで、新競技やルールが続々と生まれています。わかりやすい競技を採用することで、普段スポーツともあまり関わりがない幅広い人々にもスポーツを受け入れてもらいやすい体制を整えているといえるでしょう。

男女平等

野球とソフトボールは、東京五輪で3大会ぶりの採用となりましたが、それまでオリンピック競技として外された理由として、女性向けの競技がなかったことが挙げられます。今回の東京オリンピックでは、野球は男子・ソフトボールは女子というように分けることで採用されました。

その他の競技でも、女性種目が増えています。結果として、全選手に対する女性の割合は、48.8%と、過去最高の割合となっています。

オリンピックを通じて、世界中へ男女平等に向けた取り組みが期待されます。

オリンピックに向けたインバウンド対応を

東京オリンピックの新種目の新種目追加には男女平等や若者へのアピールなど様々な背景がありました。今回のオリンピックは、日本の魅力を世界にアピールするチャンスでもあります。

オリンピックにより、2020は多くの外国人が日本を訪れることが予想されます。オリンピックに向けてしっかりとしたインバウンド対応をしていきましょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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