今年始め、「ハードロック・カフェ」で知られるハードロック・インターナショナルは、北海道苫小牧のIR構想模型を公開し、同地でのリゾート開発の意向を明らかにしました。その後の報道で、5,500億円以上を投資する意向であることが伝えられています。
北海道で通年型リゾートを経営するルスツリゾートもIR事業へ参加を発表し、国によるIR事業者の選考結果はまだ発表されていません。
苫小牧の自然を守りたい地元住民からは反対意見もあります。今回は、海外ですでにいくつものIR事業を成功させているハードロック・インターナショナルの北海道でのIR事業の構想を紹介します。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
ハードロックはIR事業を見込み先駆けアクション
2019年1月9日・10日に行われた「第1回北海道IRショーケース」で、ハードロック・インターナショナルは北海道におけるIR事業構想「ハードロック・エクスペリエンス」の概要を伝える特設ブースを出展しました。ハードロックカフェを象徴するギター型のエントランスを設置し、自社所蔵品のマイケルジャクソンが使用したジャケットやグローブを公開するなどで強烈な個性と音楽をイメージした「音楽をDNAに」のコンセプトを伝えています。施設名は「ハードロックエクスペリエンス」で、北海道苫小牧の広大な土地と資源を生かした体験型の施設を建設する計画を打ち出しています。またハードロック・インターナショナルは、この構想に先駆けて、また同時並行で北海道での様々な活動を展開しています。
例えば、地元サッカーチームの北海道コンサドーレ札幌のオフィシャルトップパートナー契約、2019年の北海道雪祭りでのファミリーコンサートなどです。
懸念されるギャンブル依存への対策
カジノを含めたIRリゾート開発の目的は、観光客へのサービス提供です。ギャンブルを行う施設であるカジノというと、パチンコのような依存性のある行為と思う人も多いかもしれませんが、例えば高級レストランのような、非日常感を味わう理性的な消費を想定しています。カジノの会場には入場料や入場階数の制限を設定し、ギャンブル依存の性質を引き下げるようなサービス設計が予定されています。すでにこの分野で実績のあるハードロック・インターナショナルに施設の設計や運営を任せることで、こうしたギャンブル依存の可能性を引き下げることも期待できるでしょう。
IR事業提案に含まれた5つのプラン
ハードロック・インターナショナルは、苫小牧でのIR事業において、有名アーティストのIR施設での公演、また環境を活かしたアクティビティや、提携スポーツチームによるコンテンツの創出による集客を計画しています。
1. ブロードウェイホール
世界中で魅了させる舞台が定評のあるエンターテイメント企業のネダーランダー・ワールドワイドとの日本国内専属契約を結ぶ構想があります。実現した場合に、日本国内で唯一、ブロードウェイショーが楽しめる施設となる予定です。2. 10,000人を収容できるライブ会場「Hard Rock Live」
1万人が収容できる大型ホールを建設により、鑑賞を目的とした訪日客の増加が見込まれます。3. 室内スノーアクティビティ「ウィンターワンダーランド」
安定した室内スノーアクティビティが楽しめる「ウィンターワンダーランド」で年間を通したウィンタースポーツが楽しめます。冬の魅力が存分に味わえるので、日本の四季やウィンタースポーツに関心の高い訪日客の来訪が期待できます。4. アイヌ文化展示+アメリカの「メモラビア」
ハードロック・インターナショナルはIR事業を通じて、文化の継承を実現しようとしています。北海道のアイヌ文化への認知を高めるため、アイヌの歴史と食文化の体験ができる施設を作り、またロックの有名アーティストが使用した楽器と衣装などの貴重な所蔵品を展示する「メモラピア」を施設内に建設する予定になっています。5. 協力な提携企業
ハードロック・インターナショナルは、MLBヤンキーズとパートナーシップ契約を結んでいます。北海道でIR事業を開始した場合には、北海道でも関連したコンテンツの展開が期待され、その集客力はかなり大きいと考えられます。
ホテル事業も、国際的ホテルチェーンのフォーシーズンズ・ホテルにより提供されるため、上質なサービスとなると見られています。
まとめ:これまでなかった「音楽」による集客へのフォーカス
これまですでに複数のIR事業を手掛けてきたハードロック・インターナショナルの苫小牧におけるIR事業展開には、多数のメリットがあるように見えます。カジノの運営による国や地方への納税が期待でき、雇用の創出にもつながるでしょう。
特に、ハードロック・インターナショナルの構想は「音楽」「文化」を中心に据えたもので、これは現在の訪日観光客の潮流にも合致したものです。こうした大規模で全面的な取り組みは他には見られず、北海道という広大な土地とハードロック・インターナショナルの資本によって初めて計画できる内容となっています。
IR施設建設によるギャンブル依存発生への懸念の声は絶えませんが、敷地内におけるカジノが占める面積は3パーセントと小さく、カジノ以外の施設の存在も健全な環境を守ると考えられます。今後の展開には日本全国からの注目が集まります。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!