訪日外国人の「今買いたい」に応える!7月スタート「臨時免税店制度」概要とそのインパクトを考察

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7月1日、政府は外国人旅行者による消費拡大を狙った「臨時免税店制度」をスタートさせました。近年のインバウンド客増加に伴い、日本国内の免税店も年々増加しています。

開催まで1か月を切ったラグビーW杯や来年の東京オリンピック・パラリンピック、その後の2025年には大阪万博も控え、これらのビックイベントに向けて免税店の許可を申請する事業者も増えてくるのではないでしょうか。

この新制度では、7月1日から始まった臨時免税店について紹介します。この新制度により、地域のお祭りや商店街のイベント等に出店する際、以前よりも簡素な手続きで免税販売が可能になります。これにより、対インバウンド客への販売機会が増え、さらなる消費拡大が期待されています。


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免税店とは

免税店とは、外国人旅行者や非居住者を対象に、関税や消費税など税金を免除して商品を販売できる店舗のことです。

免税店には①国際空港内にある「空港型免税店(Duty Free Shop)」②繁華街などにある「市中免税店・消費税免税店(Tax Free Shop)」の2種類があります。

①空港型免税店(Duty Free Shop)の場合、消費税に加え、関税・酒税・たばこ税が免除されます。

②市中免税店・消費税免税店(Tax Free Shop)は、消費税のみ免税対象となります。

インバウンド客の増加とともに数を増やしているのは、主に後者の②市中免税店・消費税免税店(Tax Free Shop)です。こちらの免税店は、納税地を所轄する税務署長の許可を受ければ開設可能です。

免税対象となる物品は、一般物品については、同一の非居住者に対する同一店舗における1日の販売額の合計が5,000円以上のもの、そして消耗品においては、同一の非居住者に対する同一店舗における1日の販売額の合計が5,000円以上50万円以下の範囲内のものとされています。

臨時免税店とは

平成31年度税制改正で決定した新制度「臨時免税店制度」が7月1日より開始されました。

地方を含めた免税店数の更なる増加を狙った施策で、外国人旅行による消費額アップが期待されています。

これまでイベントに免税店を臨時出店することは可能でしたが、臨時出店かそうでないかに関わらず税務省からの許可を得る手続きが必要で、数週間にも及びました。

しかし今回の新制度では、消費免税店の許可を受けて運営している小売り事業者らが、本来の店舗とは別に、7ヶ月以内に期間を限定して、イベント等に臨時免税店を設置する場合において、出店日前日までの届出で免税販売可能という簡素な手続きで済むようになりました。

5月1日から各地の税務省で受付をスタートさせており、観光庁を中心に関係省庁らは、地方含む各地の百貨店協会などに対して新制度の周知を進めているようです。

ショッピングが大事なインバウンド、中国に人気のカテゴリも

観光庁によると、2018年の訪日外国人旅行者の消費額は4兆5,189億円と推計され、毎年過去最高額を更新しています。

国別にみると、中国1兆5,450億円がトップで、次いで韓国5,881億円、台湾5,817億円、香港3,358億円、米国2,893億円と続きます。

費目別に訪日外国人旅行消費額の構成比では、買い物代の34.9%で最も多い割合を占めています。訪日外国人旅行者にとって、ショッピングは欠かせない目的のひとつです。

また、最も購入率が高い費目を国籍・地域別にみてみると、韓国と台湾、香港、米国で「菓子類」(それぞれ 82.5%、73.6%、63.6%、39.6%)、中国で「化粧品・香水」(79.5%)と国によって購入するものに特徴があります。

中国は「時計・フィルムカメラ」、「靴・かばん・革製品」、「化粧品・香水」の購入者単価が他の国と比較して特に高い結果となっています。

免税が消費意欲を左右する

観光庁の「訪日外国人消費動向調査(2018)」では、実際に日本滞在中の消費税免税手続きを行なった人の割合は全体の52%を占め、国別では中国や台湾で7割以上と高い割合を占めています。

また訪日外国人旅行者が買い物した場所についても、コンビニエンスストア(59.2%)や空港の免税店(57.2%)、百貨店・デパート(55.8%)の順で高く、免税ができる店舗に多くの人が足を運んでいることが分かります。

旅行目的3割以上を占める「買い物」を、外国人旅行者としての特権「免税制度」を利用して、よりお得に買い物したいと思う旅行者は多いはずです。免税店舗が増えることは、彼らの消費活動を拡大させる施策の一つとして期待できるでしょう。

まとめ:今後は免税以上の付加価値が勝負に

日本政府や各インバウンド関連企業はこれまで、ビザ緩和や新規航空路線の拡充、積極的なPR活動などにより、訪日客数の伸長を実現し、同時に消費額全体も押し上げてきました。

しかし、政府が目標に掲げている「2020年に旅行消費額8兆円」の実現までには、まだまだ距離があるというのが現実です。今回の新制度は、こうした課題意識を背景に、観光を通じた地方創生と、訪日客の利便性向上、消費拡大を狙った一つの取り組みです。

イベント開催等に合わせた免税店の出店のハードルが格段に下がり、結果として訪日客の購入意欲の高いタイミングを狙って商品を展開することも可能になります。免税という条件が整えば、あとは商品の質での勝負となります。免税で買いやすくなった商品であっても、そのものに魅力がなければ消費者は手に取ることはないでしょう。

ラグビーW杯やオリンピック・パラリンピックなどの大規模な国際イベントが続き、多数の訪日客が来ると考えられる今年以降の日本のインバウンド市場で、今後は「何を」「いつ」「どのように」売るかといった点がより重要になってくるのではないでしょうか。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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