中国には端午節と呼ばれる節句があります。端午節は日本における端午の節句のもとになっているともいわれています。
古くは戦国時代に楚国の政治家として名をはせた「屈原」の供養祭として始まった端午節の風習には、ちまき食やドラゴンボートレースなどがあり、現在もそれらの風習は行われています。
この記事では、端午節の概要、日付、日本における端午の節句との共通点や違いについて解説します。
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端午節とは?
端午節とは古代中国において成立した暦上の節目の日であり、日本における端午の節句は端午節から取られたものであるとされています。
端午節は現在の中国においても大切な節目として考えられており、端午節の日には各地で古来より伝わるさまざまな風習が残っています。
端午節は旧暦の5月5日
日本では端午の節句は現行新暦の5月5日とされていますが、中国の端午節では旧暦の5月5日に合わせて行事を執り行います。
元々端午節は旧暦(太陰暦)における午の月にあたる5月の最初に来る午の日とされていましたが、中国語において「午」と「五」の発音が同じであることから、徐々に5日に祝うようになりました。
旧暦と新暦の対応は年によって異なります。旧暦5月5日は、2019年6月7日、2020年は6月25日、2021年は6月14日になります。
端午節の由来は?
端午節は古代中国の政治家である屈原(くつげん)の供養祭であるとされています。
屈原は、紀元前4世紀頃に楚の国の政治家、詩人です。人々の支持を集めていましたが、陰謀によって失脚し国外追放されてしまいます。最期には汨羅(べきら)という川に身投げしたという、悲劇の人物でした。
この入水自殺をした日が旧暦の5月5日であったと伝えられています。
屈原の死後も彼の厚い人望や文才を高く評価する声は止まず、5月5日の端午節は屈原の命日として供養祭を行う日として認知されるようになりました。
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端午節に行われる行事は?
中国の端午節は国民にとっても重要な意味合いを持つ日であり、毎年端午節の日にはさまざまな行事が行われています。
端午節に行われる風習にはボートレースやちまき食、厄除けなどがありますが、それぞれに屈原と関連した由来があります。
以下では、中国の端午節の風習やその意味、由来について解説します。
1. ドラゴンボートレース
中国では端午節の日にドラゴンボートレースと呼ばれるレースが開催されます。
ドラゴンボートとは、細長い形状で龍の頭や尾の装飾を施した手漕ぎ舟です。
舵取り1名、太鼓手1名と18~20人の漕手が乗り込みます。中国では端午節に限らず祭りや競漕でも用いられています。
ドラゴンボートレースは屈原が身投げして命を落とした際に、その亡骸が魚に食べられてしまわないようにと、人々が舟で川に出て太鼓を鳴らすことで魚を威嚇したことに由来しています。
2. ちまきを食べる
端午節にちまきを食す風習は、屈原が身投げした川に人々がちまきを投げ入れたことに由来していると言われています。
歴史譚上では、屈原の亡骸を魚が食さないように魚の餌として蒸した米を竹筒に詰めて投げ入れたのがちまきの発祥であると言われています。
こうして、屈原の供養祭である端午節の日にはちまきを食べる風習が生まれたようです。
3. 厄除け、厄払い
寒暖差が大きく季節の変わり目でもある5月は病気が蔓延しやすい時期であったため「毒月」として古代中国で忌み嫌われており、菖蒲を門にかけて邪気を払う厄除けが行われていました。
日本で菖蒲やよもぎを軒先に吊るす風習も古くは中国から伝来したものであるといわれています。
日本の端午の節句との違いは?
中国における端午節は、日本の端午の節句とは似て非なるものです。
端午の節句も元々は中国から伝来した端午節が変化したものであるという説もあるものの、長い時を経て、それぞれは全く別の行事となっているといってよいでしょう。
日本の端午の節句とは?
日本における端午の節句の起源は奈良時代にさかのぼります。
元来、月の初め(端)の午の日として端午と名付けられていた点や「午」と「五」の読みが同じであることから5月5日になったのではないかという説があります。
また菖蒲をはじめとした薬草を用いる点など、中国の端午節と日本の端午の節句には共通点もあります。
一方で、武家社会が長く続いた日本では端午の節句は武者人形を飾る「こどもの日」として定着しています。中国の端午節が「屈原の供養祭」として残っているのとは大きく異なります。
日本における端午の節句で鯉のぼりや五月人形といった文化が生まれたのは江戸時代からであるという説が有力です。
どちらも元々は武家で始まった風習で、当初鯉のぼりは旗指物と呼ばれる家紋を刻んだのぼりであったものが、江戸時代中期頃からは立身出世の願いを込めて鯉のぼりに似た装飾へと変化していきました。
五月人形は武家において身の安全を守るものとして鎧や兜を飾ったり、神社に奉納したりする慣習が現在の五月人形に通じているとされています。
「男の子の節句」は武家社会があったから
古来、薬草によって邪気を払い健康を祈念するための節目であった端午の節句は江戸の武家社会において男の子や武士の健康、安全を祈念するための日となりました。
元々は武家が旗指物を飾っていた習慣を、商人や農民がまねて縁起のいい絵を描いた武者のぼりを掲げるようになり広く流布していったことによって男の子の日として認知されるようになりました。
柏餅と鯉のぼりも武家の縁起をかつぐものだった
柏餅も武家社会の中で生まれた慣習で、その理由は柏の木の育ち方にあります。
柏の木は新芽が育ってから古い葉を落とすため、子孫を産み育て一家が繁栄しますようにとの願いが込められています。
また、武者のぼりが鯉のぼりへと変わっていった経緯についても武家社会ならではの考え方が深く関係しています。
「鯉の滝登り」という言葉があるように、鯉は滝を登るほどの力や精神力を持ち合わせている魚として有名で、滝を登りきった鯉は龍になることができるという伝説から立身出世の象徴として武家において親しまれていました。
こうして、もともと縁起物であるのぼりに、鯉をあしらう鯉のぼりが日本の端午の節句の象徴的アイテムとなりました。
端午の節句は韓国や台湾にも
日本と同じく、中国と共通した文化を多く有する台湾、韓国でも、端午節は今も残る節句の一つです。
台湾では北部粽や南部粽と呼ばれるちまきを食し、韓国では旧正月、秋夕、寒食と並ぶ4大名節として盛大に祝われています。
韓国では男の子の日といった認識はあまりなく、女の子はブランコ遊び、男の子は相撲大会によって体力を育みます。菖蒲湯で洗髪をする文化もあり、日本の場合は菖蒲湯に入浴しますが、同様のルーツであると考えられています。
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2,300年の歴史が各地域に広まっていった
端午節は、紀元前の中国で屈原の供養祭として始められました。日本や韓国にも似た風習が残っています。
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