中元節(お中元)とは?中華圏の伝統行事の歴史や風習を解説

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中元節(お中元)とは、中国の伝統行事で日本でいうお盆にあたります。2021年の中元節は8月22日(日)で、2020年は9月2日(水)でした。

多くの訪日中国人が春節などの年中行事の大型連休に合わせて日本を訪れています。

経済発展著しい中国ですが、古くからの伝統を大切にする精神はまだ多くの都市で残っています。こうした伝統行事や文化、風習への理解は、訪日中国人のニーズや好感を抱くモチーフを把握するために、ますます重要になっています。

なかでも「中元節」は中国だけでなく、中華圏(台湾、香港、シンガポールなど)で行われている年中行事です。中華圏の年中行事によくあることですが、旧暦(太陰暦)に基づき日にちが決定されるため、その日取りは毎年異なります。中元節は旧暦7月15日で、2020年の太陽暦でいうと9月2日です。

今回は中国の伝統行事のうちの一つ、日本のお中元の由来でもある中元節の由来や風習とともに、日本のお盆との違いについて解説します。

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中元節とは?

中元節とは、中元に行われる中国の伝統行事です。日本にも「お中元」という言葉がありますが、これは中国の中元節からきています。

中元の起源は道教の三元と呼ばれる思想です。三元とは、上元(旧暦正月15日)・中元(同7月15日)・下元(同10月15日)でありそれぞれが神様の誕生を祝う日です。中元は、冥界の帝と言われている地官大帝の生誕祭となります。

伝統行事、中元の由来は?日本への伝来は?

7月15日は地獄の扉が開き、死者の霊魂が赦される日だと言い伝えられるようになりました。中元節のある7月を指して「鬼月」と呼ぶこともあります。「鬼」は中国語では幽霊を意味します。

またこの日は仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」(いわゆるお盆)とも重なっています。

7月15日はこの二つの行事が習合(異なる神々や宗教的教義が同一化すること)し、一体化した状態で日本にも伝わってきました。

中秋節との違い

中元節とよく似た字面の「中秋節」は、三大節句と言われる伝統行事の一つで、3,000年もの歴史があります。残りの2つは旧暦1月1日の春節、旧暦5月5日の端午節です。

中秋節では、月見をしたり、月餅を食べたりするのが伝統となります。

こうした中秋節の風習は、中国の皇帝が8月15日に豊作を祈り、音楽を奏でるなどして月に祈りを捧げたことから始まりました。時が経つにつれ、一般市民にもこうした風習が広まったとされています。

中国のその他の代表的な祭日

中国では、他にもさまざまな祭日があります。すべて旧暦に基づくもので、具体的な日程は毎年変わります。

たとえば、中華圏における旧正月のことを春節といいます。春節は1月下旬から2月上旬にかけての時期に設定されることが多く、海外旅行者数が増加する傾向にあることから、インバウンド業界でも注目されます。

ほかにも、旧暦の5月5日にあたる日に設定される端午節があります。

端午節の由来は、古代中国の政治家、屈原(くつげん)の供養祭であるとされ、日本における端午の節句は端午節から取られたものと考えられています。

春節端午節については、訪日ラボ別記事で詳しく説明しています。

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中元節にまつわる風習とは?

中元節は、地獄の門が開くことで悪霊が周囲をさまよう時期とも考えられています。

こうした悪霊を鎮めて送り返すために僧侶を呼び、お祓いをしてもらったり、自宅にお供え物を並べるのが風習です。季節の贈答ととらえられている日本のお中元の贈り物も、もとは懺悔や謝罪の意味を込めて行われていたそうです。

お供え物には、霊魂たち、そして先祖の霊たちが、死後の世界で衣食に困ることなく、そして子孫を守ってくれるよう、お願いする意味が込められています。

この一連の儀式を個人で行うものは「私普」、廟や寺などで行う場合は「公普」と呼ばれます。

中元節の名物「灯篭(とうろう)流し」

中元節では、お墓参りをした後、灯篭に火を灯し、死者が帰る道を照らします

上元節でも灯籠を灯しますが、中元の灯篭とは異なります。上元の灯篭は地上で灯すのに対し、中元の灯篭は川に流します。

その背景には、陰陽の思想があります。

陰陽の世界では、人は陽、陸は陽、水は陰となります。昔の人々は、水は神秘的で暗く、死者の魂は水底にあると考えていました。

こうした考えに基づき、中元では灯篭を川に流して、死者の魂に「陽の世界へ導く明かり」を提供します。陰の世界から陽の世界への道は暗いため、明かりがなければ道は見つけられず、死者がただしい経路を見つけられないだろうという考えに基づく風習です。

中元節の風習「線香」と「金紙」そして忌事

お供え物には、提灯の他に、線香を焚きます。線香は霊が迷わないための道しるべとしての意味があります。

線香を焚く他に、霊が死後の世界でお金に困らないようにと、「金紙」と呼ばれるお札も燃やします。

中元節の期間中、引っ越し・結婚・入籍・旅行などは好ましくないと考えられています。夜は出かけないことが良く、洗濯物を干したり、椅子を外に置いたりするのも良くないとされています。

こうした忌事(いみごと、避けるべきこと)は、死者の霊が椅子に座ってしまう、洗濯物を着てしまう、それにより良くないことが起きる、という思想に基づきます。

中元節と日本のお盆の違いとは?

古来中国では、中元節と同じ日(旧暦7月15日)に、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という先祖供養の仏教行事も行われてきました。

日本にはこの道教・仏教の二つの行事が習合して伝わりましたが、後に親戚が集まって祖先の霊を供養するお盆行事として定着しました。

さらに日本では、江戸時代以降、お盆の時期に恩人へ贈り物をする風習が広まるようになりました。その起源の一説は、上述した通りです。

中国では家を重んずる

中国では、「家」を重んずる文化があり、中元においても家単位で行います。一方で、日本の灯篭流しは、死者の霊を慰めるために行われてきましたが、こうした不特定多数のための慰霊は、中国では公的なもの以外はほとんど行われません

これは中国は「家」単位の社会であるということを裏付けています。

贈り物の意味の変化

中元節はお盆の行事などとともに日本に伝わりますが、江戸時代からお盆に供物などの贈り物をする習慣が生まれました。

お中元は元々、贈り物をすることで懺悔や贖罪という意味を表していましたが、時代が変わるにつれ「お中元」と言えば「夏の贈り物」ということを意味するようになっていきました。

今ではお世話になった人への感謝の気持ちとして根付いています。

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「中元節」は今でも中国で大切にされている文化、異文化理解をプロモーションに活かす

中元節には非常に長い歴史があり、今日まで続いている文化です。中国では経済発展やITの社会への応用で生活スタイルが大きく変化している面はあるものの、親族を大切にする社会通念は強く残っています。

また日本との文化的共通点に親しみを感じるのも中国人の特徴です。文化、風習における共通点や相違点を提示することで、訪日観光の意欲を高めるようなプロモーションを行うことも、十分に現実味のある施策です。需要喚起や消費の促進にも応用することができるでしょう。

年々多くの中国人が日本を訪れているなか、中国文化への理解はますます重要となってくるはずです。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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