- コロナ前の「最大顧客」、夏季のピークは月間100万人超えも
- 「爆買い」は下火に、体験価値を重視
- 処理水放出への反発で混乱も
インバウンドにおける中国市場の特徴とは
訪日中国人数は2019年には約959万人でしたが、2022年には約19万人となりました。2022年、訪日中国人は一人あたり57万7,141円を訪日旅行時に使っています。2023年第1四半期に訪日した中国人を年齢・性別ごとに見てみると、男性は30代、女性は20代が大きな割合を占めています。
また、訪日中国人のインバウンド市場で特筆すべき点は「夏季の訪日数の多さ」「一人当たりインバウンド消費額の大きさ」「処理水放出への反発」の3つです。それぞれ詳しく解説していきます。
訪日中国人インバウンド市場、3つの特徴を解説
1. コロナ前の「最大顧客」、夏季のピークは月間100万人超えも
コロナ前、訪日中国人の多くは夏季の7月と8月に来日していました。2019年の場合、訪日中国人の約21%はこの2か月に集中しており、訪日中国人を対象としたインバウンド対策を行う場合は特に夏季を重要視するべきだと言えます。
2019年7月には約105万人の訪日中国人が記録されるなど、夏季と冬季の差が顕著なものとなっています。中国では7月と8月が夏休みに当たるため、訪日旅行の人気も高まる傾向にあるようです。
2. 「爆買い」は下火に、体験価値を重視
かつては「爆買い」という言葉を生み出すほど、日本での買い物に大きな金額を投じていた訪日中国人ですが、一人あたり消費額はピークの2015年以降、2019年までゆるやかな減少傾向をみせました。
旅行支出に占める「買物代」の割合も減少傾向にあり、中国人が訪日旅行の目的として、買い物だけでなく日本文化に触れることといった体験価値を重視する傾向も生じているようです。
3. 処理水放出への反発で混乱も
福島第一原発の処理水放出に対し、中国側が猛反発。すでに日本産の水産物の輸入を全面的に停止しています。一部の過激派からは「日本旅行一時停止」の提言も出るなど、国家間の往来にも影響を及ぼしかねない様相です。ただし、渡航禁止のような厳しい措置がとられるのかについて、現時点では確かなことはわかりませんが、中国政府は当面、慎重に動くのではないかとみています。
中国人の特徴
中国人の性格・国民性
中国人の性格や国民性として、以下のものが挙げられます。
- 権力を恐れるも権力に従わず
- 中国人は権力を持っている者には表面上従いますが、それが自分にとって好ましくない者だった場合決して屈することはなく、下剋上の機会を伺います。
- 家族を大切にする
- 中国人は家族を大切にします。家族の為なら如何なる犠牲をも払う、という覚悟のある人が多く存在します。
- 忍耐強い
- 中国人は忍耐強さを持っています。しかし忍耐強いが為に現状を改善する道を選べない人が多くいるのも事実です。
- 楽観的
- 中国人には災難の中にあっても、明日はきっと良くなると楽観的な考え方を持つ人が多く存在します。
中国人と接するうえで気を付けておきたいマナー
中国人には、世間に対する体裁「面子」を大事にする人が多く存在します。人前で相手を侮辱したり、社会的地位に影響を与える行為は冗談でも慎むべきだと言えます。
また、握手をする際には右手を差し出すようにしましょう。合わせて感謝の意を示す際に用いる「拱手」という動作も覚えておくと良いでしょう。「拱手」は右手の拳を左手で包む動作です。
食事の際には、茶碗以外のお皿は持ち上げず、箸を置く際は縦に置きましょう。また、宴会は2時間以上に渡り行われる場合が多く、最後はある程度の食事を残して帰ることが礼儀正しい所作とされています。
中国人の親日度・日本語学習者数
電通「ジャパンブランド調査」によると、中国は2019年時点で2「親日度ランキング」全20か国のうち16位となっており、親日度が特別に高い訳ではないことが分かります。(*1)また、第二次世界大戦の影響などもあり特に中高年や中国共産党員を中心に反日感情が存在します。
国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によると、中国には2018年時点で2,435校の日本語教育機関と20,220人の日本語講師が存在し、1,004,625人が日本語を学習しています。(*2)
<参照>
(*1)電通 チーム・クールジャパン「ジャパンブランド調査2019」 (*2)国際交流基金 2018年度海外日本語教育機関調査結果(速報値)
中国人のスマホ事情:人気の機種やSNSは?
中国はAndroidがiOSより人気で、約81%のシェアを持っています。これはHUAWEIやXiaomiなど、Androidスマートフォンを製造する企業が中国に多く存在することが原因と言えます。
また、人気のSNSアプリについて、iOSではWeChatと小紅書がそれぞれ1位と3位にランクインしており、人気の高さが伺えます。
一方AndroidはTelegramとWhatsAppがランクインしていますが、中国国内でAndroidのアプリストアであるGoogle Playは利用できないため、何らかの手段を用いてGoogle Playに接続しこれらのアプリをダウンロードしているユーザーが多いことを示しています。
Telegramは通信内容が暗号化されるため、検閲の目をかいくぐる際に有用とされているようです。
中国のイベント・祝日カレンダー(2022年・2023年)
2022年 | 2023年 | |
---|---|---|
元旦(正月) | 1月1日(土) | 2022年12月31日(土) |
元旦(正月) | 1月2日(日) | 2023年1月1日(日) |
元旦(正月) | 1月3日(月) | 2023年1月2日(月) |
春節(旧正月) | 1月31日(月) | 1月21日(土) |
春節(旧正月) | 2月1日(火) | 1月22日(日) |
春節(旧正月) | 2月2日(水) | 1月23日(月) |
春節(旧正月) | 2月3日(木) | 1月24日(火) |
春節(旧正月) | 2月4日(金) | 1月25日(水) |
春節(旧正月) | 2月5日(土) | 1月26日(木) |
春節(旧正月) | 2月6日(日) | 1月27日(金) |
清明節(先祖の墓参りの日) | 4月3日(日) | 4月5日(水) |
清明節(先祖の墓参りの日) | 4月4日(月) | |
清明節(先祖の墓参りの日) | 4月5日(火) | |
労働節(メーデー) | 4月30日(土) | 4月29日(土) |
労働節(メーデー) | 5月1日(日) | 4月30日(日) |
労働節(メーデー) | 5月2日(月) | 5月1日(月) |
労働節(メーデー) | 5月3日(火) | 5月2日(火) |
労働節(メーデー) | 5月4日(水) | 5月3日(水) |
端午節 | 6月3日(金) | 6月22日(木) |
(参照)日本政府観光局(JNTO) 訪日旅行データハンドブック 2022年より
中国の歴史
現在「中国」と呼ばれる中国大陸一帯の地域では、紀元前14,000年頃より長江文明、紀元前5,000年頃より黄河文明が栄えていました。紀元前1,900年頃には最初の王朝である夏王朝が出現したと言われています。その後は数々の王朝が隆盛と没落を繰り返し、脈々と受け継がれた文化は周辺諸国にも多大な影響を与えました。
1644年には最後の王朝となる清朝が中国を統一し、267年に渡り中国を支配しましたが、日清戦争などによる国力の疲弊もあり、1911年10月10日に蜂起した辛亥革命を平定できず、1921年1月1日には南京にて共和制国家である中華民国が設立されました。その後、清の最後の皇帝・溥儀は2月12日に退位し、中国大陸最後の王朝は幕を閉じました。
中華民国は中国大陸全土を支配しましたが、1932年には大日本帝国陸軍・関東軍により占領されていた満州地域に満州国が建国され、領土の一部を失いました。その後の第二次世界大戦を経て中華民国は戦勝国となりましたが、当時中国大陸では社会主義国家建設の機運が巻き起こっており、毛沢東主導の中国共産党が中国国内で次々と内戦を始め、中華民国を制圧して行きました。1949年10月1日には北京で中華人民共和国の建国宣言を行い、中国全土を支配する組織となりました。中華民国は当時敗戦した日本から接収したばかりの台湾に目をつけ、全ての機能を台湾島へと移転させました。
その後現在に至るまで中国大陸は中華人民共和国による支配が続いており、現在では習近平体制が確立されたことによる独裁と中国大陸に住む人々の人権、特に少数民族に対する暴力的抑圧などが問題となり世間の批判を浴びる一方、HUAWEIやXiaomiなどの大手企業が次々と生まれ、GDP世界第2位をものにするなど、生活は確実に豊かになっています。
中華人民共和国は今でも台湾島を自国の領土と定めており、中華民国との間では不安定な政情が続いているほか、2019年6月頃からは一国二制度が保障されていた香港に逃亡犯条例を新設し、香港の政治運営への介入を試みているなどの懸念があり多くの香港市民が声を上げています。
中国宗教観
中国政府に認められた宗教は仏教、キリスト教(プロテスタント及びカトリック)、イスラム教、道教の5つのみですが、中国では他にも多くの土着の民間信仰が存在します。宗教として最も多くの信徒を持つものは仏教ですが、道教や儒教も多く信仰されています。また、キリスト教とイスラム教も一部地域に存在し、特に回族という少数民族がイスラム教を進行する民族として有名です。
2014年の統計では無宗教及び民間信仰が73.56%、仏教が15.87%、道教や儒教等が7.6%、キリスト教が2.53%、イスラム教が0.45%となっています。