これだけは知っておくべき訪日中国人 3つのポイント
- コロナ前の「最大顧客」、夏季のピークは月間100万人超えも
- 「爆買い」は下火に、体験価値を重視
- 処理水放出への反発で混乱も
中国に関連するインバウンド年表
1972年 | 日本と中華人民共和国の国交が樹立 |
1999年 | JNTO北京事務所が開設 |
2019年 | 訪日中国人数が史上最多となる959万人を達成 |
中国基本データ
人口 | 約14億人 |
面積 | 約960万平方キロメートル |
首都 | 北京 |
宗教 | 仏教、イスラム教、キリスト教など |
公用語 | 中国語(北京語) |
時差 | UTC+8(-1時間) |
通貨 | 人民元 |
名目GDP | 約13兆6,082億ドル |
経済成長率 | 0.061 |
一人当たりGDP | 約9,532米ドル |
平均月収 | 952.53米ドル |
ビッグマック指数(経済力) | 3.12米ドル |
(参照)THE WORLD BANK Population, total、United Nations National Accounts - Analysis of Main Aggregates (AMA)、外務省 国・地域基礎データ、Numbeo Rankings by Country of Average Monthly Net Salary(After Tax)(Salaries And Financing)、The Economist The Big Mac index
中国市場の訪日旅行(インバウンド)データ
訪日外客数推移(2014年~2022年):訪日中国人は何人来ているのか
コロナ前の2019年までは、訪日中国人客数は6年連続で増加し、2019年には959万4,394人と1,000万人に肉薄しました。一方コロナ後の2022年は18万9,125人となり、他の国籍と比べ回復に遅れがみられます。
月別訪日外客数:訪日中国人に人気なのは何月?
コロナ前の2019年までの傾向では、訪日中国人が最も増加するのは7月から8月であり、最も減少するのは3月から5月でした。また近年では、旧正月(春節)の休暇と重なる1月、2月にも訪日中国人の増加傾向がみられました。
インバウンド消費額推移(2014年~2022年):中国市場全体の規模は?
コロナ前の2019年までの6年間、訪日中国人のインバウンド消費額は伸び続けていました。2019年には2兆418億円を記録し、2兆円の大台を突破しましたが、パンデミックの影響で直近3年間は大きな落ち込みをみせました。
一人当たりインバウンド消費額推移(2014年~2022年):訪日中国人は1人いくら使う?
訪日中国人の一人当たりインバウンド消費額は、コロナ前の2019年まで緩やかに減少していましたが、コロナ明けの2022年には、旅行者層の変化に伴い57万7,141円へと大幅な増加をみせました。
旅行支出内訳:訪日中国人には何を買い、消費している?
訪日中国人の支出において、最も大きな割合を占めたのは娯楽等サービス費で、17万7,169円でした。2番目に大きな割合を占めたのは宿泊費で、17万3,630円でした。買物代は3位にとどまっており、爆買いの勢いは落ち着いてきたといえます。
人気のお土産ものランキング:訪日中国人は何をお土産に買っていく?
費目 | 購入率 | 購入者単価 | |
---|---|---|---|
1位 | 化粧品・香水 | 81.9% | 52,142円 |
2位 | 菓子類 | 76.6% | 9,639円 |
3位 | 医薬品 | 50.8% | 21,760円 |
4位 | 衣類 | 38.5% | 28,512円 |
5位 | その他食料品・飲料・たばこ | 37.1% | 10,440円 |
6位 | 靴・かばん・革製品 | 25% | 49,810円 |
7位 | 健康グッズ・トイレタリー | 22.2% | 20,203円 |
8位 | 電気製品(デジタルカメラ/PC/家電等) | 14.7% | 33,110円 |
(参照)観光庁 訪日外国人消費動向調査 2019年より
訪日中国人に最も人気のある品目は「化粧品・香水」で、一人あたり平均52,142円分購入されています。購入率順に並べると、「化粧品・香水」を筆頭に、「菓子類」「医薬品」「衣類」「その他食料品・飲料・たばこ」の順で続いています。特筆すべき点として、「電気製品(デジタルカメラ/PC/家電等)」も14.7%の訪日中国人が購入しており、一人当たり33,110円分購入していることになります。これには爆買いの影響があると考えられます。
買い物場所ランキング:訪日中国人はどこで買い物をしている?
買い物場所 | 購入率 | |
---|---|---|
1位 | ドラッグストア | 88.7% |
2位 | コンビニエンスストア | 82.1% |
3位 | 空港の免税店 | 79.7% |
(参照)観光庁 訪日外国人消費動向調査 2019年より
訪日中国人に最も人気の買い物場所は「ドラッグストア」で、88.7%が買い物をしました。続けて「コンビニエンスストア(82.1%)」と「空港の免税店(79.7%)」がランキング上位に入っています。免税店を利用する傾向も大きいようです。
年齢・性別構成比:訪日中国人で最も多い属性は?
訪日中国人の53.3%が男性、46.7%が女性です。また、男性で最も多い年齢層は30〜39歳で全体の15.6%を占め、女性で最も多い年齢層は20〜29歳で全体の23.0%を占めます。
滞在日数:訪日中国人は何日間訪日旅行する?
訪日中国人の滞在日数は、全体の場合と観光・レジャー目的の場合、どちらも7~13日間が最多です。コロナ前の2019年はどちらも4~6日間が最多だったため、コロナ後の滞在期間の長期化が読み取れます。
訪日経験:訪日中国人は初訪日・リピーターどちらが多い?
2023年第1四半期の訪日中国人は、初来日が33.5%、リピーターが66.5%でした。
旅行形態:訪日中国人は団体旅行と個別旅行どちらが多い?
2023年1〜3月期における訪日中国人の旅行形態は個別手配が圧倒的に多く、全目的では99.2%、そして観光・レジャー目的では100%が個別手配となっています。
これは、当時中国政府が日本向けの団体ツアー旅行を禁止していたことに起因します。2023年8月に団体旅行が解禁されたため、2023年7〜9月期以降のデータでは団体旅行の占める割合が増加すると見られます。
なお、コロナ前(2019年)は団体旅行が3割ほどを占めており、全目的では27.1%、観光・レジャー目的では30.3%でした。
日本の観光情報の収集:訪日中国人の訪日旅行の情報手段は?
訪日中国人が旅マエに情報収集をする際、最も役に立ったのは「日本在住の親族・知人(34.9%)」でした。コロナ禍で訪日する人自体が少なくなったことにより、在日中国人の情報が重要になったものと考えられます。合わせて「SNS(Facebook/Twitter/微信等)(26.3%)」「自国の親族・知人(19.0%)」と続いています。また、旅ナカで最も役に立った情報は「交通手段(66.3%)」でした。合わせて「飲食店(51.4%)」「買物場所(34.2%)」と続いています。
中国市場のアウトバウンド(海外旅行)データ
中国人の海外旅行者数の推移(2012年~2020年):中国人の海外旅行需要は?
コロナ前の2019年までの6年間、中国人の海外旅行者数はおおむね増加し続けており、ピークであった2018年には1億6,199万人を記録しました。しかし2020年にはパンデミックの影響を受け2,033万人まで激減しました。
中国で人気の海外観光地ランキング:訪日旅行の競合となる国は?
国名 | 過去五年間で最多の外客数 | |
---|---|---|
1位 | 香港 | 19,901,957人(2018年) |
2位 | タイ | 10,997,338人(2019年) |
3位 | マカオ | 9,823,975人(2019年) |
4位 | 日本 | 9,594,394人(2019年) |
5位 | 韓国 | 8,067,722人(2016年) |
(参照)日本政府観光局(JNTO) 訪日旅行データハンドブック 2022年より
コロナ禍前のデータですが、中国人に人気の海外旅行先は、香港、タイ、マカオ、日本、韓国と、全てアジア諸国となっています。香港とマカオは同じ中華圏であり、飛行機代もそれほど高くないため人気があります。隣接する広東省からは電車や車で訪れることも可能です。タイは物価も安いため、庶民でも手が出る海外旅行先として知られています。コロナ禍から回復したタイミングでも、同じ理由でこれらの国・地域が人気になるものと考えられます。