ピクトグラムとは、情報や注意を示すための記号の一種で、「絵文字」や「絵単語」と呼ばれることもあります。
単純な記号を用いた案内が訪日外国人の受け入れ等に有効であることから、2021年に開催予定の東京オリンピックに向けてピクトグラムの導入や変更が進んでいます。2019年夏には東京都内でピクトグラムの展示も開催され、その存在意義や様々なデザインを啓蒙する動きが盛んです。
今回はピクトグラムの意味や歴史、導入のメリット、無料で素材をダウンロードできるサイトについて紹介します。
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ピクトグラムとは?
ピクトグラム(またはピクトグラフ)とは、情報や注意を示すための記号の一種で、身近でも頻繁に使用されています。「絵文字」や「絵単語」と呼ばれることもあり、伝えたい情報をシンプルなマークにして表現するのが特徴です。
![▲[ピクトグラム:手すり付き洋式トイレの画像] ▲[ピクトグラム:手すり付き洋式トイレの画像]](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/4237/main_2019-08-18.png?auto=format)
ピクトグラムの発祥は統計学
ピクトグラムは、もともとは統計学で経済の流れをわかりやすく表すために、1920年頃に作られたと言われています。当時のピクトグラムは「アイソタイプ」と呼ばれ、現在のものとは性質が異なっていました。
次第に視覚的な図柄で表現され、 どの国のどんな人でも、直感的に内容が伝わる形へと変化していきました。
ピクトグラムが世界に広まったきっかけは、1964年東京オリンピック
ピクトグラムが世界に広まったきっかけは1964年の東京オリンピックです。
当時の日本は公共施設の案内表示はほとんど日本語のみで、もちろん多言語の案内などはありませんでした。東京オリンピックに外国人がたくさん来ることが予想されていましたが、日本人で英語を話せる人は今よりも少なかったと言われています。
そこで東京オリンピックのデザイン専門委員会委員長を務めた勝見勝氏が現在のピクトグラムを案内表示として取り入れました。
当時のオリンピック競技なども含めて、約39種類のピクトグラムを作成し、著作権を放棄したことで世界中で誰もが使えるデザインとして広く親しまれるようになりました。
1964年東京オリンピックとは? 会期と会場・メダル・その意義・ 当時の訪日客数から2020年のインバウンド影響を予測
※新型コロナウイルスのパンデミックを受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年程度の延期が決定しました。詳細な日程、選考基準などは、公式情報が発表され次第、順次更新します。 2020年の東京オリンピックのチケット購入の抽選申込が、あまりの申込数の多さに24時間の受付時間を延長しました。当初の予定は昨日28日(火)23:59までの申込期限となっていましたが、本日5月29日(水)23:59をもっての終了に変更となりました。 刻一刻と東京オリンピック・パラリンピックの開催が近づいて...
よりわかりやすいピクトグラムへの見直しも
前回の東京オリンピックを機に広まっていったピクトグラムですが、何度かデザインは変更されています。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本の国内規格(JIS)と、国際規格(ISO)の図記号で、日本人と外国人に行ったアンケートの結果、国際規格の方が理解度の高かったものを国際規格に移行し、国内規格のものは2年の移行期間をかけて廃止することが決定されました。
変更するものは駐車場、手荷物受取所、救護所、乳幼児用設備(ベビーケアルーム)及び乗り継ぎ(飛行機)です。温泉は意見が分かれたため選択制となりました。
![▲[7つの案内用図記号の変更案及び「ヘルプマーク」について]:経済産業省HPより引用 ▲[7つの案内用図記号の変更案及び「ヘルプマーク」について]:経済産業省HPより引用](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/4238/main_a24d1cce8d5c7eaecc35233a403991bd.png?auto=format)
東京2020夏季オリンピック、開会式でピクトグラムのパフォーマンス実施
新型コロナウイルス禍の影響により、2021年に延期されて実施された東京2020オリンピックでも、随所に「ピクトグラム」による演出が見られました。
まずは、「動くピクトグラム」です。今大会で初めて「動く」要素を用いて作成された競技ごとのピクトグラムも大きな話題となりました。

このパフォーマンスは日本だけでなく世界でも大きな反響を呼び、各国のメディア、SNS上で取り上げられました。
ピクトグラムへの認識は、着実に高まってきているといえるでしょう。

(2022/7/14追記)
ピクトグラム活用のメリット:外国人観光客の接客にも有効
1964年の東京オリンピックで初めて導入され、 2020年の東京オリンピックに向けてさらにわかりやすいように変更が加えられているピクトグラムですが、外国人対応においてはどのような効果を発揮してくれるのでしょうか。
飲食業や小売り店などでピクトグラムを利用する3つのメリットを紹介します。
外国語対応の代わりになる
まずピクトグラムは言葉によらない、目で見るだけで案内を可能とすることを目的として作られています。
様々な国の子供から大人まで誰にでもわかりやすいデザインとなっているため、日本語がわからない外国人でもピクトグラムを見れば何があるか理解でき、様々な言語で表記しなくても多言語対応をするのと同等の役割を担っています。
コストをかけずに導入できる
次にピクトグラムはコストをかけずに導入できるという利点があります。ピクトグラムは社会に還元するという目的で、著作権がなく、無料でダウンロードできるものが多くあります。
わざわざ様々な言語に翻訳しなくてもピクトグラムをダウンロードして使用すればいいため、例えば翻訳業者に翻訳してもらうよりもコストをかけずに導入できます。
対人での案内の手間が省ける
最後に、ピクトグラムを使用することで、誰かが案内をするという手間を省けます。
日本人は外国語を話してコミュニケーションをとることを苦手とする人が多いので、対人での案内の手間が省ければ、その分の時間を他の作業に使えるので、作業効率も上がるでしょう。
このような理由からピクトグラムの導入にはメリットがあるといえます。
コロナ禍を経て、「外国人観光客の受入れ対応に関するガイドライン」でも使用
2020年ごろから、新型コロナウイルスによる感染拡大、それに伴う入国制限で外国人観光客の受入れを原則認めない対応が続いてきました。
しかし、新型コロナウイルスワクチン接種の進展や、感染拡大に一定程度歯止めがかかったことから、日本は2022年6月から外国人観光客の受入れを条件付きで再開しました。
外国人観光客の入国にあたり、懸念点の1つが「感染拡大をどのようにして防ぐのか」ということでした。
基本的な感染対策である「マスクの着用」、「身体的距離の確保」、「手先・手指jの消毒」などを観光客に促すために、外国人が一目見て分かるよう「ピクトグラム」が利用されています。
このほか、日本政府観光局(JNTO)でも「日本の新型コロナウイルス感染症対策等を伝えるピクトグラム」をダウンロードできます。
JNTO:誰でも自由に使える「日本の新型コロナウイルス感染症対策等を伝えるピクトグラム」のご紹介
(2022/7/14追記)
ピクトグラムを無料ダウンロードできるサイト3選
ここまで様々なピクトグラム導入の利点について説明してきました。
この記事を読んでピクトグラムを導入しようと考えている方もいるかと思います。
以下では、ピクトグラムをダウンロードできるサイトを3つ紹介します。
1. icooon-mono
![▲[ icooon-monoより引用] ▲[ icooon-monoより引用]](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/4239/main_2019-08-18__2_.png?auto=format)
icooon-monoは商用利用可能なアイコン素材を無料ダウンロードできます。
PCやスマートフォンで閲覧するWebサイトのデザインであるWEBデザインや、雑誌やパンフレットなどの紙媒体の原稿作成、編集、デザイン、レイアウトなどをPC上で行うDTPのほか、ビジネスシーンで活用できるアイコン素材を集めています。
これらは使用条件に違反しない限り、 自由に利用できます。
2. silhouette AC
![▲[silhouette ACより引用] ▲[silhouette ACより引用]](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/4240/main_2019-08-18__3_.png?auto=format)
silhouette ACは、メールアドレスとパスワードを登録するとJPEG、PNG、EPS形式のピクトグラムに関連したフリーのイラスト素材が無料でダウンロードできます。
商用としての利用も可能なので、素材をチラシやポスター、WEBサイトなどの広告、ポストカードや年賀状などに利用できます。
3. ピクトグラムBOX.com
![▲[ピクトグラムBOX.com] ▲[ピクトグラムBOX.com]](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/4243/main_2019-08-18__4_.png?auto=format)
ピクトグラムBOX.comは無料ピクトグラムのPDFをダウンロードできるサイトです。
ピクトグラム一覧や無料アイコン素材、サインデザインデータが掲載されており、すべて無料で使えます。
メニューからダウンロードしたいテーマを選ぶだけなので操作も簡単です。
インバウンド対応としてピクトグラムの導入を
ピクトグラムは、1964年の東京オリンピックの際に外国人に対応するための日本のおもてなしが世界に広まり、今の形となりました。
60年ほどが経った今、2020年の東京オリンピックに向けて多言語対応だけでなくピクトグラムの導入も行うことで、よりわかりやすい案内が可能になるでしょう。
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<参考>
観光庁:外国人観光客の受入れ対応に関するガイドライン
国際オリンピック委員会公式サイト:東京オリンピックまであと500日...大会で使用されるピクトグラムが発表
国際オリンピック委員会公式サイト:ピクトグラム・シークエンス、開会式でのパフォーマンスが話題
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→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
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- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
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- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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