2018年には訪日外国人観光客数が3,000万人を突破した日本ですが、近年インバウンドの増加が目立つのが東京・上野です。
上野が位置する台東区は、平成30年の年間外国人観光客数が前年比で14.8%増加するなど、上野の人気が数字にも表れていると考えられるでしょう。
今回は、上野が訪日外国人観光客に人気の秘密について、エリアや人気スポット、具体的なインバウンド対策をふまえて見ていきましょう。
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上野効果で台東区の訪日客数は順調に推移
「平成30年度台東区観光統計・マーケティング調査」によると、年間の観光客数5,583万人のうち、953万人が訪日外国人観光客という結果になりました。
直近10年で外国人観光客数は順調に推移しており、特に平成26年からは急激に増加しています。
台東区を訪れるインバウンドの地域別割合としては、40.5%が中国・台湾・香港・観光の東アジア諸国で、続いて欧州からの観光客も21.0%となっています。アジアだけでなく欧米市場も取り込む台東区の、人気のエリアと背景について見ていきましょう。
上野アメ横エリアが訪日外国人観光客に人気のワケ
特に人気を集めているのが、上野のアメ横エリアです。2018年に「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE TOKYO」が実施したランキングの観光部門で、訪日外国人ユーザーの閲覧数が最も多かったのがアメ横でした。
日本の下町で活気溢れる商店街として、多種多様な食べ歩きグルメから、安価なホテル、外国人向けにお得なサービスを展開する店も充実しています。
人気の理由1. キャッシュレス決済対応
上野がインバウンドを惹きつける理由の1つとして、キャッシュレス決済対応の強化が挙げられます。アメ横のお店には、中国で広く浸透しているWeChatPayを使えるケースもあり、実際に八百屋さんでも導入されています。
中国ではキャッシュレス決済が主流となっていることから、訪日中国人観光客の間でもキャッシュレス決済の需要が拡大しています。上野では上記のニーズを捉え、AlipayやWeChatPayでの支払い対応を強化することで、満足度向上に繋げていることが伺えます。
人気の理由2. 日本のB級グルメを食べ歩き
アメ横では買い物だけでなく、日本のB級グルメを気軽に楽しめる点も人気です。たこ焼きやフルーツ、シーフードなどが、インバウンドにもわかりやすい価格で手軽に食べ歩きができます。
人気の理由3. アクセスの良さ
さらに他の観光地や空港からのアクセスの良さも、人気の理由の1つでしょう。新幹線が発着する東京駅から電車で数分、空の玄関口・羽田空港や成田空港からもバスや電車で約1時間、渋谷などインバウンドに人気の観光地からのアクセスも便利です。2015年3月には上野東京ラインがJR東海道線と相互運転を開始したことから、横浜へも30分でアクセスできるようになりました。
外国人に人気の「多慶屋」とは?
近年インバウンドが殺到している上野の人気スポットといえば、多慶屋です。
70年に渡り地元民に愛されるディスカウントショップの多慶屋では、家電やブランド品、日用品、お菓子、衣類などあらゆるものが安く買えるのが特徴です。多慶屋での買い物を目的に、わざわざ上野を訪れる訪日外国人観光客もいます。多慶屋が支持される。
1. 免税
多慶屋では免税カウンターを設置しており、8%の免税を受けることができます。海外発行のJCBカードで支払った場合は、さらに10%の割引が受けられるのも大きな魅力です。爆買いがブームとなった訪日中国人観光客をはじめ、近年では訪日タイ人観光客の利用も増加し、購買意欲をますます増大させています。
2. 多言語対応
多慶屋では、中国語・タイ語・韓国語・英語に対応した多言語サービスを提供しており、フロアガイドから店内アナウンス、中国人やタイ人に向けたポップも準備されています。
さらに訪日外国人観光客が多いフロアには、外国人スタッフや外国語に堪能なスタッフが常駐しているのも特徴です。日本語に加え4ヶ国語に対応しているフロアガイドは10年以上前から完備されていたことから、インバウンド対策への熱意が見えてきます。
訪日外国人観光客に人気の化粧品コーナーでは、バーコードをかざすだけで商品情報が多言語で見られるPaykeという端末が設置されています。Paykeを利用することで、商品説明の時間が短縮されるほか、外国人自身も気になる商品を気軽に手に取れることから、これまで知らなかった商品も含めて購買意欲促進が期待できます。
爆食い・爆買いだけじゃない「芸術」ニーズも取り込む
上野の魅力は、ショッピングやグルメだけではありません。上野には、博物館や美術館が多く揃っているため、芸術を楽しむ場所としても注目されています。
特にインバウンドの欧米人観光客は歴史や芸術に対する関心が高いため、台東区を訪れるインバウンドの地域別割合で、第2位のシェアを欧州からの観光客が占めている理由の1つとして考えられるでしょう。
中でも2016年に国立西洋美術館を含む「ル・コルビュジェの建築作品」が世界遺産に登録されたことは、海外でも話題となりました。
国立・都立・私立の美術館・博物館がまとまって建っているのは上野ならではの特徴で、上野の12施設の共通入場券『UENO WELCOME PASSPORT』の利用も好評です。
また、トリップアドバイザー台東区第1位の東京国立博物館は、英語だけで1,000件近くの口コミを集めていることから、インバウンドからの注目度の高さがうかがえます。博物館の日である5月18日近辺には「上野ミュージアムウィーク」としてイベントが開催されるほか、無料観覧が実施されると話題です。
上野は欧米人からも中国人からも魅力的な街だった
上野は、ユニークな観光コンテンツから徹底したインバウンド対策まで非常に充実しており、インバウンドのあらゆる市場に対して魅力的な観光地と言えるでしょう。
中国人をはじめとするアジア圏からの観光客にはグルメやショッピングが楽しめるスポットとして、欧米人にはさらに歴史や芸術に触れられるスポットとして魅力的な街となっています。上野のインバウンド対応事例からは、多言語対応やキャッシュレス対応の有用性も見えてきそうです。
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<参照>
・ぐるなび:「LIVE JAPAN Awards 2018」
・東洋経済ONLINE:上野が浅草さえしのぐほど人を呼びこめる理由
・訪日ラボ:外国人観光客が「上野アメ横」にハマるワケ:八百屋でも「WeChatPay」が使える衝撃...現地視察でわかったインバウンドを引きつける3つの理由
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今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
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