山形県村山市はバラの公園、最上川三難所舟下り、むらやまそば街道など、観光資源は豊富にある一方で、隣接する宮城県や福島県など周辺地域からの観光客が多い傾向にあるのが現状です。
そこで村山市では、日本の居合道の発祥地であることを活かし、「居合道」を観光コンテンツとして体験型商品化することで、インバウンド誘客の促進を目指しています。
今回は、インバウンドの注目が高まる武道をコンテンツとした、村山市のインバウンド誘客促進への取り組みについて見ていきましょう。
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平成28年からスタート武道「居合道」の観光コンテンツ化、その背景
山形県村山市には、居合道の発祥地として有名な「日本一社林崎居合神社」があり、地元住民にとっては武道「居合道」が親しみ深いものであることがうかがえます。
平成27年に実施された新しい観光コンテンツを考えるワークショップにおいても、村山市ならではの魅力として地域住民が挙げたのが居合道でした。
居合神社には全国から剣道や居合道の愛好者が参拝に訪れるほか、境内には道場も併設され、毎年全国大会も開催されます。村山市の地元住民、居合道や剣道の関係者の間では馴染み深い居合道ですが、観光コンテンツに結びつけるといった発想が共有されたのは、ワークショップが初めてだったとのことです。
そこで村山市では、ワークショップをきっかけに、武道「居合道」の発祥の地として体験型商品の開発を目指し、平成28年から取り組みを始めています。インバウンド向けの本格的な着地型プログラムにするため、「なぜ村山市に行かなければならないか」という観点に着目し商品化を進めていくことになりました。
居合道体験の商品化に向けてワークショップ開催
平成29年9月より、インバウンド向けの居合道の体験商品造成のために、計5回のワークショップが開催されました。
観光関係者・行政関係者・居合道振興会・抜刀家、神社関係者、地域住民など約20名のステークホルダーが集まり、「ありたい未来、実現したい状態」を話し合い意見を共有しています。
ワークショップでは、"好き嫌い、声のでかい者、力の強い者の一声に左右されない場づくり"を目指しルールを設けるなど、よりフラットな環境で話し合いを進めていきました。副市長も積極的に参加し、活発な意見交換ができたとのことです。
本ワークショップのポイントとなったのが、ファシリテーション力です。互いを尊重し合い時間をかけて少しずつ理解を進め話し合いを重ねながら、合意形成に繋げていった点が特徴的と言えます。
居合道の先生と抜刀術の先生といった全く価値観の違う者同士が、商品の魅力や価値を高めるために話し合いを重ねた結果、居合道の体験に抜刀術のデモと真剣による試斬体験を取り入れることを実現できました。
ファシリテーションの手法を用いて、信頼関係をフラットに築いていくことが、関係性・思考・行動・結果の全ての質の良さに繋がっています。
地域一丸で臨む、インバウンド向けの体験会
村山市では居合道体験会を、市役所関係者・県内観光行政担当者向け・市民向けなど、2018年だけで計5回開催しました。
主に旅行会社や観光行政関係者、航空会社などにダイレクトメールで募集をかけたほか、実は居合道未体験者が多い地元民も招かれています。
インバウンド観光客を意識した体験プログラムのため、県内を旅行している欧米・香港・台湾などからの訪日外国人観光客にも実際に体験してもらうことで、外国人目線の意見も把握する絶好の機会となりました。
二次交通や料金設定・居合道の知名度・説明内容・多言語対応・プロモーション方法・外国人目線を活用した商品造成など、依然としてさまざまな課題も残ります。その一方で、訪日外国人観光客の「サムライになれる」体験コンテンツに対する興味関心の高さや商品価値としてのポテンシャルの高さがうかがえる感想が多く見受けられたとのことです。
まとめ:自治体と地元住民が連携し「武道」を誘客コンテンツとしたインバウンド対策
これまで村山市は、JTB仙台支店を通じ岩手県花巻市で開催された「武士道サミット」で演武を披露したり、海外でもイタリア・リミニのTTG、ロンドンのWorld Travel Market、フランス・コルマールのSITVなど、ヨーロッパの旅行博に出展しプロモーションを実施してきました。
訪日外国人観光客が関心を寄せる日本の武道は、スペイン・バルセロナに居合道同好会があるほか、ドイツのシュトゥットガルトにも居合を含む武術サークルが200以上あり、フランス・パリのJAPAN EXPOでも模造刀の販売コーナーやサムライのコスプレが人気となるなど、今後もインバウンドの誘客コンテンツとして注目の高まりが期待されます。
居合道の体験コンテンツとしての充実化を目指す、村山市における地域主導のインバウンド対策は注目の取り組みと言えるでしょう。
<参考>
・JTB INBOUND SOLUTION:武道「居合道」を商品化した山形県村山市の取り組み
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「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
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【インバウンド情報まとめ 2025年5月後編】2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? ほか
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この記事では、主に5月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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