東京モーターショー19に起こる3つの「変動」とは:海外勢の冷ややかな反応・100万人V字回復と他業種化戦略

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昨日10月24日から、東京モーターショーがスタートしました。知名度のあるイベントですが集客力に陰りが出てきており、海外勢の反応は冷ややかです。有名メーカーの撤退が相次ぎ、それを受けてか大規模な改革もなされています。

ここでは、今回のモーターショーで起こる変動を解説します。



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2年に一度の車の祭典「東京モーターショー」はじまる

2019年10月24日~11月4日まで開催される東京モーターショーは、自動車工業振興会が開催する、世界規模の自動車展示会です。今年で46回目の開催となります。

一般公開は25日からで一部を除いて10時から18時までとなっています。入場料は当日券が2千円、前売り券が1800円、日曜祝日以外の午後4時以降は1千円、高校生は無料です。

各自動車メーカの最先端自動車技術の発表の機会であり、国産乗用車のみならず輸入車、商業車、特殊車から部品や用品までが出展します。

東京ビッグサイトを中心に、複数の施設を利用して開催されます。東京モーターショーが初めて開催されたのはちょうど高度経済成長期に差し掛かっていた1954年ですが、その場所は東京・日比谷公園でした。

初回からかなりの盛り上がりを見せ、その後いくつかの会場で毎年開催されるようになりました。1973年以降は隔年開催となり、1989年から千葉の幕張メッセで、2011年からは東京ビックサイトで開かれています。

最も来場者数が多かったのが、1991年のショーで、200万人突破を記録しました。「環境・人にやさしい」をテーマとして電気自動車が注目された回でもあり、水素やメタノールなどのエネルギーを利用した車も多数出されました。

今年はオリンピックの前年とあり、世界中から東京に注目が集まっています。世界への情報発信にもってこいのチャンスと言えるでしょう。

東京五輪のプレイベントとしても注目集める

2019年のモーターショーは五輪の“プレイベント“として日本の技術力をアピールする絶好の機会です。

AI通訳機の「POCKETALK(R)(ポケトーク)」が「おもてなしツール」として用いられていることが挙げられます。多言語対応AI通信機の「ポケトーク」はボタンを押しながら話しかけた言葉を指定した言語に翻訳し、音声として返す通訳の代わりの様な翻訳機です。

74言語への対応、タッチパネルによる直感的な操作が可能であることで支持を集めています。インフォメーションカウンターの案内や運営スタッフが利用することで、多言語対応が実現します。

また、展示内容を見てみると市販を視野に入れた電気自動車(EV)の展示も多く、海外に比べて遅れていたEVの普及を示唆してています。オリンピックにはトヨタが提供するEVが移動手段として活躍する予定です。こうした先端技術も改めて世界各国に驚きを与えることでしょう。

東京モーターショー2019に起こる変動

今回のモーターショーでは3つの変動がありました。

海外からの反応、目標の転換、戦略の変更について整理します。

1. 海外の反応冷ややかに、不参加相次ぐ:BMWやミニ、ポルシェ、フォルクスワーゲンが出展取りやめ

販売不振の時期はあったものの、現在日本での輸入車の売れ行きはそれなりに良い状態を保っています。それにもかかわらず、今回のモーターショーにはメルセデス・ベンツを除く海外主要ブランドの多くが10年ぶりに不参加となりました。

ポルシェ、フォルクスワーゲンが撤退しただけでなく、BMWも出展規模を減らしています。出展費用をかけてモーターショーに展示するより、独自の販売戦略に特化したほうが得策だと判断している可能性があります。

世界規模のモーターショーとしての地位を築いて生きた東京モーターショーですが、現在では最も盛り上がりを見せたバブル期とはあり方が異なりつつあります。2009年にも、前年のリーマンショックの影響で、輸入車の不参加が相次ぎました。

次世代技術の開発や市場展開に費用がかさんでいることや、ネットでのコンテンツ拡散を通じて情報発信や認知の拡大が可能になったことも影響しているでしょう。海外企業は、リアルなイベントにこれまでほどの価値を見出さなくなっているのかもしれません。

2. 目標入場者数は100万人

東京モーターショーは1991年の入場者数200万人超えをピークに入場者数、出展社数のどちらも、全体として下り坂をたどっています。主催サイドにとっては、これを好転させることができるかどうかが大きな課題となっています。

主催の業界団体である日本自動車工業会(自工会)はその対策として、車単体のイベントからのモデルチェンジを唱えています。自工会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)はCES(家電見本市)を例に挙げ、東京モーターショーを「モビリティのパーク」「誰もが知るお祭り」へと変革することを打ち出しています。

今回は前回より約23万人多い100万人の来場者を目指すとしていますが、自動車を軸にした展示ではどうしても70万人が限界とみているそうで、残りの30万人は自動車以外のフックも用意して呼び込む作戦です。

今回は、子供向けの職業体験コーナーや電動スクーターの市場体験など、家族連れや若者を呼び込むための企画にも注力し、従来に比べ一般向けの色が濃くなっています

3. 異業種受け入れ“オープン化“

東京モーターショーの規模縮小を食い止めるためのさらなる改革は、異業種の受け入れという形によっても行われています。

今回のモーターショーのテーマは「オープンフューチャー」です。新たなモビリティー(移動手段)の姿を示す異業種として、パナソニックやNTTが初めて参加しました。ほかにもNTTのような自工会会員以外も含め43の企業や団体が今回初めて参加しています。

他業種と連携したスペースとして、観光やスポーツ、移動などで4~5年先の生活を体験できるものなどがあります。若者の呼び込み策の一つとして、若者向けの商業施設が多い東京・お台場全域に東京ビックサイトから会場を広げたり、チケットなしで見られるエリアも設けられています。

日本で若者の車離れなどの問題が表面化する中、アメリカなどでもモーターショーへの出展を取りやめる企業が相次いでいます。次世代技術の登場なども含めて、業界全体が変革の時期にあるのは確かだと言えるでしょう。

このような変化への対応に対し、海外の反応はどのようなものになるのかが注目されています。

モーターショーの変動、インバウンド業界でも要注目

東京モーターショーがバブル崩壊後その規模を縮小させている中、業界も無策で手をこまねいているわけではありません。紹介してきたように、再起を図るための取り組みがいくつも進行中です。

残念ながら海外メーカーの不参加は目立ちますが、オリンピックのプレイベントとしてAI通訳機やEV分野の技術アピールには十分に開催の意義はあるでしょう。

また異業種を巻き込んだり一般客の視点を重視することで、認知度の高いイベントへと成長させる試みもあり、こうした姿勢は来年以降の土壌を作り上げるはずです。

老舗イベントの東京モーターショーでさえ苦戦を強いられる時代、既存客以外への訴求はどの業界でも大きな課題となってきます。インバウンド業界もこうした取り組みにならい、視野を広げ新たな魅力を開拓する方策について考えを巡らせると良いかもしれません。

<参照>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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