本日から東京国際映画祭(TIFF)がスタート!審査委員長にチャン・ツィイーで中国からも注目大、コンテンツツーリズムへの影響は?

公開日:2019年10月28日

2019年で第32回を迎える東京国際映画祭が、10月28日~11月5日に六本木ヒルズ、 東京ミッドタウン日比谷などで開催されます。

アジア最大級の国際映画祭へと成長し、 世界中から優れた作品が集まるこのイベントは、映画ビジネスのマーケットとしても注目されています。




東京国際映画祭とは

初めて東京国際映画祭が開催されたのは、1985年で、大規模な映画の祭典として誕生しました。

32回目を数える現在ではアジア最大級の国際映画祭として認知され、日本およびアジアの映画産業、文化振興に大きな影響を与えています。

短い会期中にまだ未公開の邦画だけではなく、普段なかなか目にする機会がないヨーロッパや中東アジアの優れた作品が多数上映されます。

さらに国内外の監督や出演俳優陣による貴重な舞台挨拶も見られることから、世界中から映画ファンが多数来場。

映画文化に触れ、交流するイベントとして回を追うごとに成長をとげています。

映画祭と併設の「TIFFCOM」今年は中国映像セミナーを開催

東京国際映画祭と併設して池袋で10月22日から24日まで開催されているのが、映画や映像番組の国際見本市「TIFFCOM」です。

経済産業省などが主催するイベントで、2018年には世界各国から過去最高の382もの団体が出展し、44の国と地域より約800名を超えるバイヤーが訪れています。

東京から世界の映画産業へ向けて新たな交流の場を提供し、国際共同製作や国際ビジネスに結び付けており、アジアで最も注目すべきマーケットのひとつに数えられてています。

会期中は「中国映画・テレビ業界における国際交流について」といった中国の映像事情についてのセミナーを複数開催する予定です。中国で映画やテレビなどの映像ビジネスの展開を考えている方におすすめです。

映画ファンにとっての位置づけは?

東京国際映画祭では、創立時からクリエイターの新たな才能を発掘してきました。入賞者の中からは、アカデミー賞受賞者も輩出されています。

5部門を受賞した『アーティスト』 (2012)のミシェル・アザナヴィシウス監督や、『バードマン あるいは(無知がもたらす 予期せぬ奇跡)』(2015)『レヴェナント: 蘇えりし者』(2016)と2年連続でアカデミー 賞監督賞受賞のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督などです。

今までアカデミー賞受賞者をいち早く見出しているこの映画祭へ来れば、世界へ羽ばたく前のクリエイターをチェックすることができる、そんな映画ファンからの厚い信頼を得ている映画祭といっても過言ではないでしょう。

今年の見どころは?

今回の話題は10月28日のオープニング作品となる山田洋次監督作の 「男はつらいよ お帰り 寅さん」です。第1作の公開から50年という節目の年を迎える「男はつらいよ」シリーズの第50作目となり、待望の最新作は新撮された “今”と、4Kデジタル修復されたシリーズ映像を織り交ぜて製作されました。

そして、東京国際映画祭の顔となるのが“コンペティション部門”。今年は 115の国と地域から1,804本もの応募作品の中から14作が選ばれました。

審査委員長には 中国を代表する女優の章子怡(チャン・ツィイー、Zhang Ziyi)が抜擢されました。この部門で女性が委員長を務めるのは 2003年のコン・リー以来、16年ぶりとなります。

5月のプレスリリース発表時には、中国でも多く報じられ本番の動向にも注目が集まると考えられています。

ちなみに日本人が監督した作品では『ばるぼら』と『喜劇 愛妻物語』がノミネートされました。

『ばるぼら』

監督:手塚 眞
キャスト:稲垣吾郎、二階堂ふみ、渋川清彦、石橋静河

生誕90年を迎えた漫画家・手塚治虫による禁断のアダルトマンガを実写映画化。監督は手塚氏の長男である手塚眞。芸術とエロス、オカルティズムなどのタブーが 散りばめられた問題作で“映画化不可能”と言われていました。

しかし、日独英の共同製作で、世界的カメラマンのクリストファー・ドイルを撮影監督に迎えて映像化が実現。稲垣吾郎が主演、二階堂ふみがヒロイン役を演じます。

『喜劇 愛妻物語』

監督:足立 紳
キャスト:濱田岳、水川あさみ、新津ちせ

監督は、安藤サクラ主演の『百円の恋』で第39回日本アカデミー賞の最優秀脚本賞ほか数々の映画賞を受賞した足立紳。

2016年に発表した自伝的小説『乳房に蚊』を自ら脚本も手掛けて映画化されました。

売れない脚本家の夫を濱田岳、その妻を水川あさみ、娘役を新津ちせが演じた“人情派夫婦活劇”です。

「コンテンツ」は今や観光の一大テーマに

今回第32回より、東京国際映画祭に「ジャパニーズ・アニメーション」部門が新設されました。

この部門では、アニメ/特撮の映像文化が国際的に評価されるきっかけや変化点となった作品を選出しています。

経済産業省が主導する「クールジャパン戦略」(デザイン・アニメ・ファッション・ 映画などのクリエイティブ産業の海外進出促進計画)にもアニメ、映画は重要コンテン ツとして位置づけられ、インバウンド誘致において、コンテンツツーリズムは最も注目されているニューツーリズムの一つとしてあげられています。

「コンテンツツーリズム」とは、映画や小説、テレビドラマ・マンガ・アニメ・ゲームなどの作品に登場する場所や作者ゆかりの地域を訪れる旅のこと。国内外の観光いおける重要なキーワードになっています。

アニメツーリズムとは

コンテンツツーリズムの中でも、マンガ・アニメの舞台を訪ねる旅は「アニメツーリズム」「聖地巡礼」といわれています。

2016年公開のアニメ映画『君の名は。』は、聖地巡礼で話題になりました。

日本では 累計動員数2000万人、興行収入243億円を突破。世界125か国と地域に配給されました。

中国や韓国でも大ヒットし、海外からも作品の舞台となった岐阜県飛騨エリアなどに多くのファンが訪れました。

飛騨市では、2016年の観光客数が100万5881人で100万人を 突破。翌年2017年は113万0852人(前年より12.4%増)と大幅に増加しました。

ガンダムシリーズの演出で知られる富野由悠季氏が会長を務めるアニメツーリズム協会は、毎年「アニメ聖地」を88か所選定して発表しています。

「アニメ聖地」を88か所選定してオフィシャル化し、「アニメ聖地」(地域)と企業、コンテンツホルダーをつなぐためです。

「アニメ聖地」を海外・国内のクールジャパン・コンテンツファンへ様々な手段で発信し、観光客とアニメ聖地をつなぎ、新たな送客を促進していくために選定しています。

流行の聖地巡礼スポット

現在、アニメツーリズム協会より発表されている『訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2019 年版)』では、全世界の日本のアニメファンを対象に行ったアニメ聖地Web投票の結果をベースにコンテンツホルダー、地域の自治体と協会とが協議して決定したスポットをリストアップしています。

投票には国内だけでなく、台湾、中国、香港などのアジア、メキシコやアルゼンチンのような南米、イタリアやスペインのようなヨーロッパまで、幅広い75の国と地域からも参加しています。

日本アニメのコンテンツパワーが世界各地にまで及んでいることが明らかになりました。

2019年版に選出された2作品、2019年10月29日に発表予定の 2020年版に選出が予想される1作品をご紹介します。

らき☆すた

2007年放送の陵桜学園高等学校に通うオタクな女子高生・泉こなたたち4人の女子高生のスクールライフを描いたテレビアニメです。

聖地は埼玉県久喜市。原作者の漫画家・美水かがみの出身地である埼玉県が舞台で、聖地巡礼という言葉が広まるきっかけとなった作品です。

久喜市にある鷲宮神社は商売繁盛や縁結びなどの御利益があるとされ、作品には「鷹宮神社」として登場します。

2019年9月には久喜市商工会主催で、ファンと地域スタッフとの交流するわしのみや地区懇親会「らっきー☆BBQ」を開催されました。

『らき☆すた』声優の福原香織をゲストに迎え、アニメを制作した京都アニメーションへの義援金を募るチャリティーイベントも行いました。

ゆるキャン△

2018年放送のテレビアニメ。静岡から山梨に引っ越してきた女子高校生の各務原なでしこが主人公。

高校の“野外活動サークル(野クル)”に入部し、部員たちと交友を深めていくアウトドア系ガールズストーリー。

聖地は山梨県身延町。作中のキャラクターたちが生活する街のモデルになった町で富士山のふもとにあります。

全国有数の桜の名所として知られる身延山久遠寺、本栖湖など自然豊かな風景が印象的です。

キャラクターたちがキャンプを楽しんだ雄大な自然の風景を見に大勢のファンが訪れています。

2019年5月には「ゆるキャン△公式春キャンプツアー サークル勧誘会~ようこそ野クルへ~」を開催しました。

アニメでは“本栖高校”として描かれていた旧下部小学校・中学校跡の校庭や体育館という聖地でキャンプ体験するというもの。

7月には、地元放送局とのコラボイベントが開催され、身延町の地場産業である西嶋の和紙漉きを体験できるコーナーが人気を集めました。

ゾンビランドサガ

2018年10月から12月までオンエアされたテレビアニメ。2020年版に選出される可能性が高い作品のひとつとしてご紹介します。

ゾンビとして蘇ったアイドルグループ「フランシュシュ」が、佐賀を盛り上げるために奮闘するストーリー。2020年には舞台化も決定しています。

聖地は佐賀県唐津市。2019年の7月下旬~10月下旬までJR唐津線及びJR筑肥線でラッピング列車を運行。

またこの期間にメンバーが共同生活していた洋館のモチーフである唐津市歴史民俗資料館を特別開館。

普段は中に入ることができない資料館に、彼女たちの暮らしぶりをイメージしようと多くのファンが訪れました。

世界での日本映画への評価は?

2018年の第71回カンヌ国際映画祭で、コンペティション部門是枝裕和監督作品『万引き家族』が最高賞であるパルムドールを獲得しました。

実に1997年の今村昌平監督『うなぎ』以来、21年ぶりの快挙。辛口で知られる海外メディアからも賛辞が飛び交い、高評価を得ました。

是枝監督に次ぐ日本人で若手の優れた才能を持つ新しいクリエイターも海外から注目を集め、高い評価を受けています。

1980年生まれの深田晃司監督は、2016年にカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門にて『淵に立つ』が審査員賞を受賞しました。

2019年9月の第44回トロント国際映画祭のコンテンポラリー・ワールド・シネマ部門にも深田晃司監督作の『よこがお』が出品されています。

同じトロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーション部門には是枝監督作の『真実』のほかに1973年生まれである新海誠監督作の『天気の子』が出品されました。『天気の子』は140の国と地域での配給が決定し、観客動員1000万人突破しています。

深田監督や新海監督のような海外からの評価が高い若手のクリエイターたちの活躍が日本映画界を活性化、海外からの注目度を高めていくことにつながるでしょう。 

まとめ

第32回東京国際映画祭が10月28日に開幕します。世界中からアジア最大級の映画祭を目当てに映画ファン、映画ビジネスの関係者が東京に集まります。

そして今回は、コンペティション部門のチャン・ツィイーが審査委員長を務めることに関連してか、映画祭と併設された映像見本市「TIFFCOM」では、中国の映像文化にまつわるセミナーを開催します。中国での新たなビジネスのヒントに出会えるかもしれません。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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