Googleマップはインバウンドの「バス利用」に超役に立っていた

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岐阜県南東部に位置する中津川市は、中心部である中津川駅と同県の観光地である馬籠宿(まごめじゅく)を結ぶバス路線の利用者を対象に、ある調査が行われました。

実は近年、この路線では外国人観光客の利用が増えており、市は2018年5月から「標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)」に基づくバス情報の整備と、Google マップへのバス情報提供を進めていました。

調査は施策に対する効果測定と今後必要なサービスの考察を目的に実施されましたが、意外な結果も明らかになりました。


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岐阜県・馬籠宿の路線バス調査、外国人観光客の特色がが浮き彫りに

調査は2018年10月の4日・5日・10日の3日間、中津川駅前発の9時45分、10時15分、11時15分(10日は9時45分の便を除く)の3便で実施されました。アンケートは120枚配られ、回収枚数は117枚となり、97.5%の回答率を得たアンケート調査となっています。

馬籠線利用者の約76%は外国人、中でも欧米人に人気

今回の調査を通じて、岐阜県南東部の小さな市で運用されているバス路線の馬籠線の利用者のうち、76%が外国人ということがわかったそうです。特に欧米・オーストラリアの観光客が群を抜いて多くなっています。利用者全体の内訳では、日本人観光客は24%なのに対し、欧州からは32.5%、オーストラリアからは17.1%、北米からは15.4%を占めます。

中山道は参勤交代で用いられていたことから「サムライの道」とも呼ばれており、こうした日本を代表する「武士」のイメージを体感したい訪日観光客の人気を集めています。日本らしい雰囲気のみならずトレッキングも楽しめる場所でもあり、自然環境を味わいたいニーズも取り込んでいると考えられます。

インバウンド向けに整備すべきメディアは?

同じく調査結果によると、日本人は観光協会のホームページを見て来た方が多かったのに対し、外国人はGoogle検索の利用率が一定の割合を占めました。この調査が行われたのは、Google マップの情報を整備してから半年弱が経過したタイミングです。情報整備から短期間で多くの人に利用されていることがわかりました。ターゲット層におけるGoogleのもともとの利用率の高さが影響しているのかもしれません。

1996年から運用を開始している「japan-guide.com」というサイトの利用率も低くはありませんが、このサイトだけでは中津川までの経路やバス時刻などをトータルに調べることはできません。結果として、Google検索を利用し、Google マップを活用することになっていると考えられるでしょう。

もともとは移住施策→思わぬ結果をもたらす

そもそも市がバスデータ整備を行なったのには、別の理由がありました。中津川市は2017年に「地域公共交通網形成計画」を策定しています。そして、この計画を移住施策と結びつける取り組みをしています。

この中で、コミュニティバスに位置情報端末を加え、病院からバスのリアルタイム情報を得られるといった取り組みもありました。ネットを利用した経路検索の充実も、こうした取り組みの一環として勧められたものです。

外国人の2割がGoogle マップを利用

当初は中津川市のコミュニティバスのみのデータを整備する予定でしたが、地域全体の交通網を総合的に検索できる方が良いだろうという考えから、中津川市は地元のバス業者と協力し市全体でデータの整備にあたりました。これにより、Googleマップの検索でバスの運行時刻がわかるようになりました。

今回の調査で、馬籠線を利用する外国人観光客はガイドブックだけでなく、実に2割がGoogle マップを使っているということが明らかになりました。これは、整備したバス情報が一定の効果を果たしたことを示唆しています。

Google マップが「使える」ことのPR

しかし一方で、情報の整備だけでは不十分であることも調査結果は浮き彫りにしています。アンケートの「求めているバスのサービスについて」という項目では多くの外国人が「フリーWi-Fi」と「Google検索でバスの時刻がわかること」を挙げました。

すでに利用できるはずのGoogle マップを挙げていることが意味するのは、環境は整備するだけではその情報を必要としている層に伝わらないということです。ニーズがあると考えられる情報は、ガイドブックやWebサイトでの情報発信を通じて、ターゲット層に届けることを意識しなければならないでしょう。

訪日観光客4,000万人「観光立国」の鍵はGoogle マップ

Google マップ利用における利点は、トータルな交通網の検索ができるということだけではありません。鮮度が高く、確実な情報が得られるということもターゲット層の抱える重要なニーズであり、Google マップは、これを充足することのできるプラットフォームとなっています。

北恵那交通では混雑が予想される日にGoogle マップ上で路線の増発運転の告知をしたり、TwitterとGoogle マップのアラート機能を駆使した案内を行ったことがあります。この施策にはインターネット上にも大きな好評の声が見られました。

2018年には佐賀県と群馬県でもバスのオープンデータ整備が行われています。12月には日本中央バスが日本で初めて高速バスのデータ掲載を行いました。Google マップの有用性は広く認知されつつあると言えるでしょう。

訪日観光客にとって、バスは決してハードルの低い交通手段ではないでしょう。バスの到着時刻が使い慣れたGoogleの検索でわかるとなれば、こうした不安感はかなりの割合で払しょくされることが想像されます。Google マップの活用は利用者の立場にたったものであり、訪日観光客の利便性を大きく高めたと考えられます。バスの時刻に限らずこうした「利用者目線」「観光客目線」の取り組みは、今後「観光立国」としての日本の評価を左右していくのではないでしょうか。

<参照>

東洋経済オンライン:外国人客はバスを「グーグルマップ」で検索する

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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