東京、大阪、京都、北海道など、主要観光地で中国人を見かけることが多くなりました。
中国国内でも海外旅行への熱は高まっており、日本を含む海外旅行先でのマナー啓発の動きも活発です。
一方で、ビジネスの方面では、まだまだ国際基準とは大きくことなる原則が中国には残ります。今回は「商標登録」で窮地に立たされた香川県のケースの他、日本側がとれる対策について紹介します。
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中国人による「小豆島」ブランド商標申請…中国で日本商品が販売できなくなる?
2019年8月1日の共同通信社のニュースによれば、中国遼寧省大連市に住む個人が「香川小豆島」という商標の登録を、中国の特許庁に当たる商標局に申請していることが分かりました。この報道でとりあげられている中国人は、麺類、醤油、調味料などの商品に「香川小豆島」の商標を付けようとしているそうです。「香川小豆島」の商標が中国で認められてしまうと、香川小豆島の名が付いた日本の商品の中国での販売が不可能になります。
これらを防ぐべく、香川県や業界団体は8月中に意義を申出てる方針のようです。過去にも中国の個人が讃岐うどんを表す漢字を商標登録申請したことがあり、県などが異議を申し立て、商標局は申請を却下しています。
クレヨンしんちゃんや今治タオル、東京スカイツリーの憂き目
実はこれまでも、複数の日本のキャラクターやブランドが、中国企業により商標申請されています。
1. クレヨンしんちゃん
クレヨンしんちゃんは中国でも人気です。クレヨンしんちゃんの出版社である双葉社が中国デパートでグッズを販売していた所、そのデパートでクレヨンしんちゃんと全く同じの柄が入った靴が販売されていました。販売会社に確認するとすでに商標を登録しているとのことで、逆に双葉社の製品が「偽物」であると訴えられます。最終的には双葉社の勝訴に終わりました。2. 今治タオル
今治タオルも中国での商標問題に煩わされた日本を代表するブランドでしょう。「今治タオル」に類似したロゴマークと「今治」の2文字が中国で商標登録申請されました。今治市が意義を申し立てましたが、中国商標局が一度退け、最終的には却下となりました。3. 東京スカイツリー
東京スカイツリーの事例は、もうすでに中国で登録されてしまっており、商標を変えることを余儀なくされてしまいました。数年前から中国メディアがスカイツリーを中国語で「東京天空樹」と表記していたため、東武側はこの名称を商標登録しようと中国当局に問い合わせをしたところ、すでに商標登録されていることがわかりました。中国語表記は「東京晴空塔」とし商標申請を完了して今にいたります。
4. 無印良品も中国商標で苦戦
無印良品も中国における商標問題で苦戦しています。無印良品は中国でも人気のブランドで、現地でも店舗展開をしています。しかし、一部商品の販売には制限を受けており、理由が商標です。中国の会社が日本の無印良品よりも先に「無印良品」という名前を先に商標登録をしてベッドカバーやタオルなどを販売していたため、これらの商品は「無印良品」のブランド名で販売できなくなってしまっています。日本の無印良品は訴訟も行っており、まだ揉めているようです。
このように、展開しようとしたらすでに商標が登録されていることが中国ではあります。日本の同じで漢字を使うため、しょうがない部分もありますが、十分に注意が必要です。各国の中国に進出している大手企業は商標問題を事前に防ぐために、下記のような取り組みをしています。
類似した名称も、本家ブランド名と一緒に登録
中国に進出している大手企業が、商標問題を未然に防ぐために採用しているのが、類似商品に使われそうな名称を含め、商標を先に登録することです。事前にこうした名称を登録しておけば、他社にそれを登録されるリスクを減らすことができます。中国の「パクり」では、類似したブランド名や商品名を用いて、本物と勘違いした消費者の購入を狙います。例えば、台湾発祥のチェーン店に「鮮芋仙」がありますが、これと誤認されるような「鮮手仙」という名前にして売り出す事例が過去にはありました。
これらを未然に防ぐべく、類似した名称も先に登録します。コカ・コーラ社が販売している「雪碧(Sprite)」では「雪」に形状が似ている「雷」を使った“雷碧”という商標を登録してパクリ商品の出現を防止しているそうです。
中国で「星巴克」(シンバークー)の名称で展開するスターバックスコーヒーも、本来の商標である「星巴克」だけでなく、発音が近い「辛巴克」、文字の形状が似ている「三巴克」なども商標として登録していると言われています。
しかし、商標を取るにはコストがかかります。また商標を登録しても構わず名称を利用してくる場合もあり、中国においては現状、商標の盗用を100%防ぐのは容易ではないでしょう。
中国商標の調べ方
中国における商品展開においては、商標についての下調べは欠かせません。実はオンラインで、中国の商標情報を調べる方法があります。
中国の国家知識産権局商標局のサイトで「商標差詢」から、自分が申請したい名称が申請可能かどうかを確認できます。
- 類似商標の検索
- 商標の総合検索
- 商標の状態の検索
このようなサイトを活用して自社の商標が使われていないか確認することは、中国での商品展開、事業展開の際の戦略立案の助けになるでしょう。
まとめ:中国では中国式の市場展開も時には必要
ビジネスをする上でブランド名は確かに大切ですが、中国のような混とんとした市場で展開する場合には、時には商品力を重視して勝負に出ることも重要です。実際、無印良品は商標上不利な立場に立たされていますが、中国でもブランドをしっかり確立しています。経済成長に伴い、中国でも質の高い商品を評価する向きが強くなってきました。こうした現地の消費トレンドに合致した商品展開が、今後ブランド名と合わせてより一層重要になっていくでしょう。
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