なぜパラオは親日国なのか?パラオと日本の関係を歴史や産業・統治時代への評価から解説

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パラオはオセアニアのミクロネシア海域にある国で、パラオは2015年に天皇陛下(現上皇様)が訪問されたことで話題になりました。パラオと日本は歴史的にかかわりが深く、世界有数の親日国家です。

またパラオでは公用語の一つに日本語が含まれています。この記事では、なぜパラオが日本に対して友好的なのか、その歴史と、今後のインバウンド需要の可能性について紹介します。

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パラオとは

パラオの正式名称は「パラオ共和国」で、首都は「マルキョク」という街です。以前は「コロール」という街に首都がありましたが、2006年10月に遷都し、現在の首都となりました。200程度の島々から構成されていますが、実際に人が住んでいるのは10程度の島のみと言われています。

1994年に独立した比較的新しい国

西太平洋にあたるミクロネシアの島々で構成されています。

日本とオーストラリアの中間にあり、日本とはほぼ同緯度に位置しています。そのため、日本との時差はありません。人口は2017年の統計では21,400人ほどと言われています。

1994年にアメリカ合衆国から独立したばかりの比較的新しい国で、公用語はパラオ語、英語の他に、アンガウル州では日本語、ソンソロール州ではソンソロール語、ハトホベイ州ではトビ語となっています。

パラオの歴史

16世紀以降のパラオは、列強による支配の歴史が続きました。スペイン、ドイツの統治を経て、第一次世界大戦の戦後処理パリ講和会議において、パラオは日本の委任統治領になりました。

その後第二次世界大が終わりに近づいた1944年には、パラオは連合軍の攻撃対象になり、日米両軍に多くの戦死者を出しました。その後、パラオはアメリカによる統治時代を経て1994年に独立を果たしましたが、同時にアメリカと自由連合盟約(コンパクト)を結んでいます。

パラオの気候や産業:観光業も発展

パラオは全域が熱帯雨林気候にあたり、年間平均気温は27度で温暖かつ年間雨量3,800㎜です。

その気候を活かしココナッツやキャッサバなどの栽培が主要産業となっています。また、島国であるため漁業も盛んです。近年では、パラオ政府はその豊かな自然を生かした観光産業の育成にも注力しており、外貨獲得を進める動きをしています。

特に主要な観光資源となるのは、ダイビングやフィッシングなど、海をテーマにしたアクティビティです。現状、温暖な気候と美しい海を求めてやってくる日本や台湾などのアジア近隣諸国からの観光客が多く、それらに向けたリゾートホテルなどが多く建設されています。

親日国パラオと日本の関係

第一次世界大戦から第二次世界大戦の間、日本の委任統治下にあったこともあり、パラオにはいまでも日本から影響を受けた文化が多く残っています。

例えば、パラオには日本語由来の現地語が多く残っており、「センプウキ(扇風機)」や「デンワ(電話)」などが挙げられます。そのほかにも、パラオには日本との深い関係を今に残す文化があります。

太平洋の親日国

パラオにいまなお根付いている日本文化としては、NHKが日本語で放送されていることなどが挙げられます。簡単な日常会話が可能な日本語話者も多く、日本による統治時代に学校で日本語の教育を受けた高齢者層は、日本語を不自由なく流ちょうに話すことができる人もいるようです。

他にも、日本語であだ名を名乗るパラオ人がいるなど、生活の中に日本由来の文化が今も残っています。そのため、パラオは世界有数の親日国に数えられ、日本に対して友好的な印象を持っている人が多いそうです。

日本文化浸透の理由:戦時中の影響

先述した通り、第一次世界大戦後から第二次世界大戦終戦まで、パラオは日本の委任統治領でした。

日本文化がここまでパラオに根付いたのは、単純に日本による支配期間があったからではありません。それまでパラオを支配していたドイツが現地の文化に介入しなかったのに対し、統治開始後、日本政府はパラオの現地人に対して文化統制を行いました

その一環が、日本語の教育、そして日本語による歴史、地理、理科などでした。その名残として、パラオの学校では日本語の授業があり、現在でも簡単な日本語であれば理解し話すことのできる国民がいます

日本統治時代を評価する声も

実際に日本による委任統治時代を知る高齢者の多くは、日本政府による支配を恨んでおらず、肯定的にとらえている人も多いそうです。

その理由はパラオの発展にあります。第一次世界大戦までパラオを支配したドイツ政府がほとんどなにも行わなかったのに対し、日本政府は現地への学校や病院設立、インフラ整備などを進めました。その後、アメリカに支配が変わると、再び放任状態になりました。

パラオを含む「アジアの親日国」の可能性

パラオと同様に、アジアには他にも親日国がいくつかあります。親日国の例に挙げられる台湾やインドネシアからは、日本への観光客も多く、インバウンドという観点からも、「親日」というキーワードは重要なものであることがわかります。これらの親日国の日本への旅行の傾向をご紹介します。

1. 台湾

代表的な親日国である台湾では、なんと毎年6人に1人が日本に旅行に来ています。近年のローコストキャリアの拡充、直行便の充実も後押しになっています。

日本のカルチャーに興味を持ったことがきっかけで訪日する若者も多くいます。日本のアニメ作品やそれにならったと思われる「萌え絵」と呼ばれる作品は台湾でも広く認知を獲得しています。

また、台湾からの観光客の特徴は、そのリピーターの多さにあります。距離が近いこともあり、若い層にとっても気軽に行ける旅行先として、日本が人気を集めています。

訪日台湾人観光客のインバウンド

訪日台湾人は2016年の訪問数で417万人と中国、韓国に続く3番目の旅客数となっています。台湾の人口が約2400万人なので、再訪問がなかったと仮定すると毎年6人に1人が日本に旅行に来ている計算になります。親日の方が多いのも訪日客数を伸ばしている要因の一つ。言語は中国本土とは違い繁体字で、中国人と一緒にされることを極端に嫌うため言語の取扱には注意が必要です。また、中国本土と違いyoutubeやSNSの利用にも制限がないため、マーケティングし易いのも一つの特徴です。

2. インドネシア

もう一つの親日国、インドネシアからも、日本への観光客数は年々増加傾向にあります。特に、インバウンド需要は4年前から約2.67倍まで成長しており、今後のマーケット拡大が期待されています。

一年間のうち、4月、7月、12月にインドネシアからの観光客が増加する傾向があります。かつては日本旅行は一部の富裕層だけの楽しみという位置付けでしたが、徐々に庶民層にも手が届くイベントになりつつあります。

訪日インドネシア人観光客のインバウンド

訪日インドネシア人は、2016年の訪日外客数で前年比32.1%増となる 271,000人 となりました。2012年が101,460人でしたので、インドネシア市場のインバウンド需要は 4年前の約2.67倍まで成長 しています。

両国で活用すべSNSは?

これらの親日国のターゲットに対して訪日旅行を促す対策としては、メディアでのアプローチが重要になってきます。情報発信の際に、それぞれの国でよく見られているメディアを選定することが、効果的な宣伝の鍵となります。

台湾ではFacebookが生活の一部ともなっており、最近ではYouTubeなどの動画サイトの掲載も多いそうです。また、最近ではInstagramの利用者も増えています。

インドネシアでは国民の80%がインターネット環境にあります。その中では、台湾同様にYouTubeの閲覧者が多く、それに次いでFacebook、Instagramなどの利用者が多いそうです。いずれの国においても、動画コンテンツとSNSを関連させたマーケティングが重要であると言えます。

日本文化に浸透している国パラオで訪日旅行の機運を高める

日本文化が浸透し、日本の委任統治時代を「支援」の側面からポジティブにとらえているパラオでは、国民の多くが日本への親近感を抱いているといいます。日本語を勉強している人が多いことも、日本旅行への関心を高める一つのきっかけになる可能性があるでしょう。

こうした環境は台湾にも似ており、パラオは今後の訪日観光市場において、現在の台湾のような大きな市場を形成するポテンシャルがあると言えるかもしれません。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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