訪日外国人観光客に銭湯が人気の理由 | 民泊との連携がカギ

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現在では、浴槽のある家が多くなり、銭湯の地元利用者は激減しています。一方で訪日外国人観光客コト消費需要が高まり、銭湯日本独自の文化体験スポットとして注目を集めています。利用者減少に苦しむ銭湯業界にとって、この外国人観光客の銭湯へのニーズの高まりは絶好の機会です。

そこでこの記事では、銭湯訪日外国人観光客の人気を集めている理由や、大阪のある銭湯民泊とタッグを組んで行った、訪日外国人観光客誘客の取り組みを紹介します。

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厳しい状況に置かれている銭湯業界

大阪府環境衛生課によると、大阪府銭湯年間で約40軒が廃業に追い込まれるなど、利用客の減少が続いています。

ピークとなった1969年が2,531軒と比べると、2018年は517軒で50年間で約5分の1にまで減少しました。

約40年前は浴室のない住宅も多かったため、自然に利用者が集まってきた銭湯も現在は高齢者が遠くの銭湯まで通わなければならない銭湯難民」問題も表面化しています。総

務省の平成20年住宅・土地統計調査によると、現在の浴室普及率は95.5%にまで高まったことから、銭湯側がさまざまな対策を講じ客の獲得に乗り出さなければならない状況となりました。

訪日外国人観光客に銭湯が人気の理由

訪日外国人観光客コト消費需要の高まりに伴い、銭湯も1つの日本文化体験として人気を集めています。

そもそも大量のお湯につかるという習慣が外国にはほとんどなく、日本特有の文化です。

外国では風呂は体を清潔に保ったり人と会う前の身嗜みを整えるための行為という認識のようで、日本のように就寝前に入りリラックスを求める行為とは異なるようです。

このように、日本の風呂文化は独自性が高くコト消費をしたい訪日外国人にとって魅力的な体験と言えます。

また、銭湯に入るという体験だけでなく、銭湯はアート」と言われていることも特徴的です。

浴場の富士山などの絵だけでなく、のれんや下駄箱の木の札など、日本人にとっては見慣れている光景が、訪日外国人観光客には魅力的に映ります。

東京都大田区の観光パンフレットには必ず銭湯が記載されているとのことで、銭湯日本文化体験できる観光スポットの1つとして注目され始めました。

銭湯温泉と比べて安価に利用できる点も魅力の1つとなっています。

銭湯の入浴料金は都道府県ごとに決められていますが、最も高い神奈川県で470円、最も安い長崎県宮崎県で350円です。

銭湯より気軽に楽しめる日本文化体験として、人気を集めていると言えるでしょう。

大阪で銭湯×民泊でインバウンド誘客へ

大阪では、利用客の減少に直面する銭湯業界の対策として、民泊と連携したインバウンド誘客に取り組み始めました。銭湯業界の活性化におけるメリットだけでなく、民泊で浴室の清掃をする手間が省けるといったメリットがあります。

大阪市城東区の「ユートピア白玉温泉」では、銭湯文化体験が試験的に開催され、近隣に滞在していた欧米からの訪日外国人観光客14名が参加しました。入浴前に銭湯の入り方を動画で学び、浴衣を着て血圧測定、湯上りには牛乳を飲むなど、日本の銭湯文化を体験しました。

参加者からは「内装のデザインから日本の文化を感じられた」「リラックスできた」など好意的な感想が寄せられています。体験会は入浴料に料金を上乗せすることで、バスタオルなどのアメニティを用意したほか、提携店舗での割引やドリンクサービスが受けられる仕組みです。

今後は餅つき体験や、英語の落語が楽しめるプランも検討しているそうです。

日本民泊教会の大植敏生事務局長は、民泊の宿泊者はモノ消費や定番の観光よりも、日本の日常体験や交流に関心を持つ傾向が強いため、銭湯にもニーズがあるとの見解を示しています。

日本人との交流はもちろん、訪日外国人観光客同士の情報交換の場になることも期待しているとのことです。

風呂の日にTOKYO SENTO Festival 2020開催

2020年5月26日(Go!フロの日)からパラリンピック最終日の9月6日までの間、TOKYO SENTO Festival 2020と称し訪日外国人観光客に向けてイベントが開催されます。

イベントでは日本を代表する様々な分野のアーティストと銭湯がコラボする企画が予定されています。

銭湯アートプロジェクト会場となる4つの銭湯の壁絵に絵を描く「銭湯壁画ペンキ絵アート」やアーティスト描き下ろしのオリジナル暖簾作成される「暖簾アート」、会期中に東京の約550箇所以上の銭湯を巡るスタンプラリーが開催される予定です。

まとめ:銭湯と民泊のタッグで地域活性化へ

気軽にできる日本文化体験として注目を集める銭湯と、よりディープなコト消費を求める訪日外国人観光客が宿泊する民泊のタッグは、インバウンドの満足度向上や地域活性化への効果が期待できるでしょう。

インバウンド向けの銭湯体験会について、大阪市内の銭湯飲食店がすでに関心を示しており、今後さらに仕組みや体制を整え市内全域に広げたいとしています。

一方で海外では、裸で他人と一緒に風呂に入る習慣がないため銭湯だけでなく温泉に入ることに抵抗を感じる人が多くいます。また海外ではタトゥーはファッションの1つとして認識されている傾向にあるため、銭湯によっては入浴ができない可能性があります。

こうした現状を踏まえると、銭湯で今後さらなるインバウンド誘客や地域活性化を目指す場合には、今までのルールを変更してより多くの訪日外国人観光客が利用できるように配慮が必要だと言えるでしょう。


<参照>

産経新聞:インバウンド呼び込み 銭湯が民泊とタッグ

ライブ通訳:外国人が銭湯を訪れる理由とは?その問題点と今後の課題

観光Re デザイン:極上のアクティビティ。銭湯が観光の舞台に 全国公衆浴場業生活衛星同業組合連合会 近藤和幸さん

日刊スポーツ:タトゥーOK!五輪で来日外国人に銭湯利用呼びかけ

マイナビニュース:外国人の温泉・銭湯への本音は? - 「最初は恥ずかしかった」

TOKYO SENTO Festival 2020実行委員会:TOKYO SENTO Festival 2020: 東京銭湯フェスティバル2020

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

  • 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
  • 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
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  • 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける

詳しくはこちらをご覧ください。

宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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