銭湯がインバウンドに本気を出した!キーは「民泊」温泉とどう差別化?

公開日:2019年12月11日

インバウンド誘客が好調な大阪では、銭湯と民泊が連携しインバウンドを呼び込む取り組みを進めています。

利用客激減が叫ばれている銭湯業界ですが、近年の日本旅行のトレンドは体験型観光のコト消費であり銭湯はその一つです。

今回は、銭湯業界やインバウンドの銭湯人気の現状をふまえ、これから銭湯がインバウンド集客にどのような期待と課題があるのかについて紹介します。

関連記事
業界シェアNo.1|インバウンド観光客の滞在を充実させるJPモバイルとは?
中国の民泊プラットフォーム「途家」とは?


厳しい状況に置かれている銭湯業界

大阪府環境衛生課によると、大阪府の銭湯は年間で約40軒が廃業に追い込まれるなど、利用客の減少が続いています。

ピークとなった1969年が2,531軒と比べると、2018年は517軒で50年間で約5分の1にまで減少しました。

約40年前は浴室のない住宅も多かったため、自然に利用者が集まってきた銭湯も現在は高齢者が遠くの銭湯まで通わなければならない「銭湯難民」問題も表面化しています。総

務省の平成20年住宅・土地統計調査によると、現在の浴室普及率は95.5%にまで高まったことから、銭湯側がさまざまな対策を講じ客の獲得に乗り出さなければならない状況となりました。

訪日外国人観光客に銭湯が人気の理由

訪日外国人観光客のコト消費需要の高まりに伴い、銭湯も1つの日本文化体験として人気を集めています。

そもそも大量のお湯につかるという習慣が外国にはほとんどなく、日本特有の文化です。

外国では風呂は体を清潔に保ったり人と会う前の身嗜みを整えるための行為という認識のようで、日本のように就寝前に入りリラックスを求める行為とは異なるようです。

このように、日本の風呂文化は独自性が高くコト消費をしたい訪日外国人にとって魅力的な体験と言えます。

また、銭湯に入るという体験だけでなく、「銭湯はアート」と言われていることも特徴的です。

浴場の富士山などの絵だけでなく、のれんや下駄箱の木の札など、日本人にとっては見慣れている光景が、訪日外国人観光客には魅力的に映ります。

東京都大田区の観光パンフレットには必ず銭湯が記載されているとのことで、銭湯は日本文化が体験できる観光スポットの1つとして注目され始めました。

銭湯は温泉と比べて安価に利用できる点も魅力の1つとなっています。

銭湯の入浴料金は都道府県ごとに決められていますが、最も高い神奈川県で470円、最も安い長崎県・宮崎県で350円です。

銭湯はより気軽に楽しめる日本文化体験として、人気を集めていると言えるでしょう。

大阪で銭湯×民泊でインバウンド誘客へ

大阪では、利用客の減少に直面する銭湯業界の対策として、民泊と連携したインバウンド誘客に取り組み始めました。銭湯業界の活性化におけるメリットだけでなく、民泊で浴室の清掃をする手間が省けるといったメリットがあります。

大阪市城東区の「ユートピア白玉温泉」では、銭湯文化体験会が試験的に開催され、近隣に滞在していた欧米からの訪日外国人観光客14名が参加しました。入浴前に銭湯の入り方を動画で学び、浴衣を着て血圧測定、湯上りには牛乳を飲むなど、日本の銭湯文化を体験しました。

参加者からは「内装のデザインから日本の文化を感じられた」「リラックスできた」など好意的な感想が寄せられています。体験会は入浴料に料金を上乗せすることで、バスタオルなどのアメニティを用意したほか、提携店舗での割引やドリンクサービスが受けられる仕組みです。

今後は餅つき体験や、英語の落語が楽しめるプランも検討しているそうです。

日本民泊教会の大植敏生事務局長は、民泊の宿泊者はモノ消費や定番の観光よりも、日本の日常体験や交流に関心を持つ傾向が強いため、銭湯にもニーズがあるとの見解を示しています。

日本人との交流はもちろん、訪日外国人観光客同士の情報交換の場になることも期待しているとのことです。

風呂の日にTOKYO SENTO Festival 2020開催

2020年5月26日(Go!フロの日)からパラリンピック最終日の9月6日までの間、TOKYO SENTO Festival 2020と称し訪日外国人観光客に向けてイベントが開催されます。

イベントでは日本を代表する様々な分野のアーティストと銭湯がコラボする企画が予定されています。

銭湯アートプロジェクト会場となる4つの銭湯の壁絵に絵を描く「銭湯壁画ペンキ絵アート」やアーティスト描き下ろしのオリジナル暖簾作成される「暖簾アート」、会期中に東京の約550箇所以上の銭湯を巡るスタンプラリーが開催される予定です。

まとめ:銭湯と民泊のタッグで地域活性化へ

気軽にできる日本文化体験として注目を集める銭湯と、よりディープなコト消費を求める訪日外国人観光客が宿泊する民泊のタッグは、インバウンドの満足度向上や地域活性化への効果が期待できるでしょう。

インバウンド向けの銭湯体験会について、大阪市内の銭湯や飲食店がすでに関心を示しており、今後さらに仕組みや体制を整え市内全域に広げたいとしています。

一方で海外では、裸で他人と一緒に風呂に入る習慣がないため銭湯だけでなく温泉に入ることに抵抗を感じる人が多くいます。また海外ではタトゥーはファッションの1つとして認識されている傾向にあるため、銭湯によっては入浴ができない可能性があります。

こうした現状を踏まえると、銭湯で今後さらなるインバウンド誘客や地域活性化を目指す場合には、今までのルールを変更してより多くの訪日外国人観光客が利用できるように配慮が必要だと言えるでしょう。


<参照>

産経新聞:インバウンド呼び込み 銭湯が民泊とタッグ

ライブ通訳:外国人が銭湯を訪れる理由とは?その問題点と今後の課題

観光Re デザイン:極上のアクティビティ。銭湯が観光の舞台に 全国公衆浴場業生活衛星同業組合連合会 近藤和幸さん

日刊スポーツ:タトゥーOK!五輪で来日外国人に銭湯利用呼びかけ

マイナビニュース:外国人の温泉・銭湯への本音は? - 「最初は恥ずかしかった」

TOKYO SENTO Festival 2020実行委員会:TOKYO SENTO Festival 2020: 東京銭湯フェスティバル2020

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!