ポケモンGOは、言わずと知れたスマートフォン向け位置情報ゲームアプリです。駅前や公園に大勢の大人が集まり、熱心に操作している様子を目にしたことのある人も少なくないでしょう。
同ゲームでは、実在する公園や建物などに紐づくように設置されている「ポケストップ」や「ジム」が重要な役割を担います。これらは一般に「ウェイポイント(waypoint)」と呼ばれ、経路上の地点情報を指します。
プレイヤーの間では、実は以前から都市部と地方でのウェイポイント数の格差に対し不満の声が上がっていました。
また経験値やアイテムが手に入ったり、他プレイヤーのキャラクターとの対戦ができる場所にはプレイヤーが集まる見込みも高くなります。こうした背景から特定のスポットへの集客への活用の可能性がこれまでも検討されてきました。
2019年11月、同ゲームでは「ウェイポイント」のプレイヤーによる申請を開始を発表しました。観光市場への影響を考察します。
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田舎にも「ポケストップ」「ジム」が現れる?
ポケモンGOを提供するNiantic(ナイアンティック)は、2019年11月14日から「ウェイポイント申請システム」を全世界のポケモンGOプレイヤー(ゲーム内では「トレーナー」と呼ばれる)に開放しました。
対象となるのはポケモンGOの最高レベルであるレベル40を獲得しており、審査テストに合格したトレーナーのみです。認定されると新たなポケストップ候補を申請できるとともに、他のトレーナーが申請したポケストップ候補をレビューし、適切かどうかの判断に協力することができるようになります。
ポケモンGOではウェイポイントの多くが駅や公共施設等に設置されています。たとえば東京・渋谷駅周辺なら商業施設のパルコやディズニーストアに「ポケストップ」が、そしてランドマークであるハチ公像に「ジム」があります。
全国のマクドナルドやセブンイレブン、公園の遊具や道ばたのお地蔵さんもポケストップになっていますが、やはり都心に比べると地方はウェイポイントが少ない傾向にあります。ウェイポイント申請システムが登場したことで地方の隠れた名所などにポケストップが増え、ゲーム難易度のエリア格差が縮まるのではないかと期待されています。
観光市場の文脈では、ゲームのプレイヤーがポケストップを楽しむことを目的に、これまで注目していなかった地方に目を向ける可能性も生まれたと言えます。
そもそもポケモンGOとはどんなゲーム?
スマートフォンのGPS機能を利用することで現実世界が舞台になるのがポケモンGOの特徴です。プレイヤーは「ポケモントレーナー」となり、世界中に出現するポケモンを集めます。
アプリに表示されるフィールドマップには現実の地図が反映されており、自分がいる場所に出現するポケモンに向かって、画面上のボールを投げて捕獲します。
マップには「ポケストップ」や「ジム」といったウェイポイントが設置されています。
トレーナーが「ポケストップ」に近づくと画面上のアイコンがタップできるようになり、経験値やアイテムを手に入れられます。「ジム」では自分のポケモンを配置したり、他のトレーナーのポケモンと戦わせたりすることができます。
ポケモンGOでは頻繁にイベントが開催されており、特定の期間や場所でレアなポケモンが登場することがあります。街の特定の場所にスマートフォンを見ている人がたくさん集まっている場合は、そこでポケモンGOのイベントが開催されている可能性があります。
なぜポケモンGOは人気があるのか
ポケモンGOは若者から中高年まで、幅広い年代に支持されていることも特徴です。無料でプレイでき、簡単に操作できることが老若男女を問わず受け入れられている理由のひとつでしょう。実際に歩くことでゲーム中の自分が移動するため、歩かないと多様なポケモンを手に入れることができません。健康管理のために、子どもや孫と一緒に散歩をしながらゲームを楽しんでいる中高年のプレイヤーも多いようです。
ポケモンにはたくさんの種類があり、それぞれがレベルアップすることで新しいモンスターに進化していきます。ジムで見知らぬ人とバトルをしたり、ポケモン図鑑を充実させたり、それぞれの好みにあった楽しみ方が用意されていることも同ゲームの大きな特徴であり、幅広い支持を得る理由となっています。
事例:インバウンド誘客にも効果を発揮、ポケモン人気は絶大
ポケモンGOはインバウンドにおける集客ツールとしても成果を挙げています。
過疎化が問題となっている鳥取県では、ポケモンGOがリリースされた2016年、鳥取砂丘を「スナホ・ゲーム解放区」と宣言しました。鳥取砂丘をポケモンGOのプレイスポットに位置づけることで、集客ツールとして活用しています。
2019年9月27日から10月1日には国連世界観光機関(UNWTO)との提携によって、ポケモンGOのなかで「世界観光の日」を祝うイベントが開催されました。ヨーロッパで拾ったタマゴからは地域限定ポケモンがふ化したり、エリアによって色違いのポケモンが登場したりと、レア感の高いイベントだったようです。この期間に希少なポケモンを求めて世界を旅した人もいたと考えられます。
コンテンツを活用した観光振興、地域振興である「コンテンツツーリズム」の一つの事例と言えるでしょう。
まとめ
ポケモンGOの知識が豊富なプレイヤーがポケストップ申請および認定できるようになったことで、プレイヤー目線でおもしろいと思える日本中のユニークな「ウェイポイント」が増えていくことでしょう。
ポケモンGOが新たな観光スポットを生み出す日もそう遠くはないかもしれません。観光資産の発掘という面でも、これからのポケモンGOの展開には注意を払うべきでしょう。
<参照>
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