トルコ人に英語は通じる?日本語とトルコ語の共通点・震災時にも助け合う二国間関係

公開日:2020年01月06日

トルコの人口はおよそ8200万人、日本の約二倍の国土を有し、イスラム教徒が多数派を占めています。

トルコ人は親日家が多いこともあり、旅行先に選ぶ人や訪日外国人観光客として関心が高いのではないでしょうか。

またトルコ人に英語は通じるのか、もしくは訪日するトルコ人には共通語として英語を用いることが可能なのか気になるでしょう。

この記事では、トルコ人の英語が通じるのかや日本との関係や日本語と共通したトルコ語の文法を交えながらご紹介します。


トルコはどんな国?英語は通じる?

小学生の頃から英語教育が行われ、将来的なEUへの加盟を目指していることからも、政府は語学学習には力を入れているようです。

英語圏の国でなくても観光地では英語が通じることが多く、トルコもその例外ではありません。主要都市では英語表記のレストランが立ち並び、ガイドブックも用意されています。

トルコ共和国の概要

アジアの西端に位置し、ヨーロッパの東側にまたがっているため独特な文化が育まれた国です。

観光地としてインスタンブールが国内外でも知名度が高く、首都のアンカラも博物館や遺跡、さらにはショッピングエリアとしても栄えています。

多民族で構成されている国家であり、公用語としてはトルコ語が用いられています。

2016年にはトルコ軍の一部勢力と政府の衝突が続き一時非常事態宣言が発出されるなど、治安が不安定な状態にあったものの、2018年7月に非常事態宣言は解除され、現在は比較的安定した状態に戻っています。

トルコ人に英語は通じる?

結論から言うと、トルコ人は英語があまり得意ではありません。

イスタンブールやカッパドギアといった観光都市では、英語でコミュニケーションが取れると言われていますが一部の地域によるようです。

TOEIC® Listening & Reading Test 国別平均スコア(2018年)では、トルコが625、日本は520でした。

Test and Score Data Summary for TOEFL iBT® Tests(2018年)では、トルコが78、日本は71でした。

2つのデータからも、一般的な英語力はトルコ人と日本人とあまり変わらないことがわかります。

また世界最大の英語能力指数ランキングを作成しているEF EPI(世界100か国・地域の英語力ランキング2019)でトルコは、79位で「非常に低い」に分類されています。(世界ランキング

日本は53位で「低い」グループに分類されています。

実は日本とトルコ語の文法は似ている

海外の観光地へ赴くと日本人とわかるやいなや、積極的に日本語で話しかけてくるツアーガイドや、販売員に一度は出くわしたことがあるかと思います。

その中でもトルコ人は抜群に日本語の扱いが上手いと言われています。その理由が日本語とトルコ語の共通点にあります。

例えばトルコ語と日本語の基本文法である「主語→目的語→述語」の順序が同じことが挙げられます。

その点、「主語→述語→目的語」と語順の異なる英語は、トルコ人にとっても苦手意識を持ってしまう言語なのかもしれません。

実は親日のトルコ、その背景は?

台湾と並ぶほどの親日国と知られるトルコですが、その理由はどういったものがあるのでしょうか。

日本からは総理大臣をはじめとした閣僚や、皇室のトルコ訪問が珍しくなく、トルコからも大統領や首相といった要人の訪日が2000年代から年に1度は必ず行われ、昨年には各3回の往来がなされています。

こうした友好的な関係は歴史的背景が影響を及ぼしているようです。

きっかけはエルトゥールル号事件

トルコがオスマン帝国時代の1890年に、アブデュル・ハミト2世が特使としてオスマン提督を日本に派遣したことがありました。

その際、乗船していたエルトゥールル号が帰国の途にあった紀州・串本沖で沈没してしまいます。

乗組員581名が犠牲となり、救助されたのはわずか69名でした。

しかし、救助された69名は大島村(現在の串本町)の住民から食料や衣服を提供してもらうなど手厚い救護を受けて無事帰国します。

それ以降トルコと日本は友好的な関係を築いてきました。

1985年のイラン・イラク戦争では、テヘランで孤立した邦人を救出するためにトルコ政府がトルコ航空の特別機を手配するなど、100年近く経った出来事を忘れず、当時でもエルトゥールル号事件がトルコ政府や一般にも浸透していることが示されました。

この事は2002年に開催されたFIFAワールドカップ日韓大会でも取り上げられ、日本でも広く知られるようになっています。

震災時には助け合いも

2011年3月に起こった東日本大震災に際してもトルコ政府の対応は素早く、22名の救助隊員と5名の医療関係者チームとして計32名の人員を派遣しました。

約3週間にも及ぶ救援活動を行い、主に行方不明者の捜索活動に従事しながら缶詰・水・毛布といった救援物資を配給しています。

同じく2011年10月にはトルコで大地震が起き、被害の大きかったワン県ディベクデュズ村にて日本は最初の支援物資配付活動を行っています。

テントや資金協力といった形でも支援活動を行い、特に食糧難となっていた地域では日本からの生活必需品の配付に感謝の言葉が続々と上がっています。

しかし、この時に現地入りしたNPO法人のメンバーが余震により死亡するという痛ましい事故も起こっています。

被災地の支援活動を積極的に行っていた日本人の悲報を受けて、日本庭園「アツシ・ミヤザキ・パルク(公園)」が西部イスタンブール郊外のサルエル市に作られました。

対日世論調査では日本を「重要なパートナー」と認識

外務省がトルコの民間調査会社に委託し、トルコ国内の世論調査を行ったところ(2012年5月22日に公表されたデータ)日本に関心があると答えたトルコ人は61.6%にものぼりました。

日本人に対するイメージは「勤勉・誠実」が70.8%ともっとも高く、加えて重要なパートナーとしてイスラム諸国に次ぐ2位に挙げられています。

先に挙げた震災に対する日本の支援活動に対しての評価する声が多く、82.3%の人が「日本とは友好関係にある」と答えています。

両国の関係を築くきっかけとなったエルトゥールル号事件の認知度は低く、訪日経験がある人も2.8%に留まったものの、依然として高い関心があることが伺えます。

トルコ人はほとんどがイスラム教徒!適切なインバウンド対応は?

トルコは中東地域を代表する国であり、隣接する国同様にイスラム教を信仰する人が多数を占めています。

初期のキリスト教が布教した地域として数々の遺産も残されていますが、キリスト教信者はごくわずかと言っていいでしょう。

何かと制限の多いイスラム教徒に対しては、インバウンド対策も適切なものが求められます。まずはイスラム教とその習慣や対応事例を見ていきましょう。

イスラム教徒(ムスリム)とは?

世界に10億人以上いると言われているイスラム教徒は、主に中東や東南アジア、マレーシア、インドネシアに存在します。

彼らは戒律に従って行動するため、食事などを制限することで知られています。その代表的なものといえば断食でしょう。

断食(ラマダーン)はイスラム暦の9月になると、日没までは一切の食事を口にせず、また日没後であっても口にしていいものが厳しく線引きされているため、食材から調理方法に至るまで影響を及ぼします。

さらに礼拝(サラート)はイスラム教の聖地であるメッカの方角に向かって1日5回(シーア派は3回)、祈りを捧げます。

このように宗教的な決まりごとが多く、ムスリム国家であるトルコ人に対しても十分な配慮を行わなければ、インバウンド消費が見込めないのです。

ハラールとは?

イスラムの戒律で許されているものを表すのが「ハラール」です。法律や条例ではなく、イスラム的に「合法」とされるものを指す場合にも使用されます。

例えば、女性のファッションに対してはハラールが適用される場面が多く、基本的に他人に肌を見せてはいけないムスリムの女性は長袖にロングスカート、そして口元を隠す「ビジャブ」が必需品になります。

しかも配偶者の前以外では化粧をしてはいけないとされています。

女性のファッションに対する戒律の厳しさは地域によってまちまちですが、イスラムはファッションにも影響を及ぼす宗教でもあります。

他にもハラールフードと呼ばれる食材・調理法があり、豚肉やアルコールは一切禁止されており、現在でも消毒用のアルコール液すら避ける人も珍しくありません。

調理酒、みりん、しょうゆ、みそ、醸造酢といった原材料にアルコールを含む調味料、一部の魚介類や発酵食品、そして昆虫・爬虫類も口にするのは禁じられています。

ムスリム対応事例

栃木県佐野市には「佐野ラーメン」というご当地グルメが訪日外国人から注目を集めています。

特にムスリムから人気があり、その理由がチャーシューに鶏肉を使用し、アルコール成分を除外した醤油を使っていることです。

イスラム教のルールに則り調理されたことを示す「ハラール認証」を提示している他、佐野市は街全体がムスリムを歓迎する取り組みを実施しています。

インドネシアの旅行会社と提携したツアー、礼拝堂モスクへの案内、観光マップの作成、ムスリムが佐野市観光を楽しめるPR動画を佐野市観光推進課が製作するなどムスリムの誘致に力を入れています。

クリケットによる街づくりを行っていく中で、競技人口の多い東南アジア各国にムスリムの割合が高いことに目をつけ、これらの取り組みを始めたようです。

現在では教育旅行訪問やファムトリップ(旅行環境事業者を対象に現地視察を行うツアー)を行うなど、ますますムスリム人気が高まっています。

トルコ人の英語は日本と同程度|インバウンド対策にはムスリム向けの対応も必要

残念ながら一般的にトルコ人に英語が通じるという認識は間違いであることがわかります。日本語と共通点のあるトルコ語でも不自由なくコミュニケーションを取ることは難しいでしょう。

しかし、コミュニケーションの面だけに注目するのではなく、イスラム教の習慣や伝統に着目することによって十分なインバウンド対策を行うことが可能です。

語学よりも宗教に応じた対応を図っていくことが、トルコ人をはじめとしたムスリムにとっては適切なおもてなしと言えるでしょう。

<参照>

IIBC:2018年 TOEIC® Listening & Reading Test

TOEFL:Test and Score Data Summary for TOEFL iBT® Tests

外務省:トルコにおける対日世論調査(結果概要)

EF:世界ランキング

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!