ベトナム人技能実習生を雇用するには?外国人技能実習制度・現状と問題・ベトナム人の特徴・新制度

公開日:2020年02月14日

日本は現在、少子高齢化という大きな問題に直面しています。

日本と似たような状況に直面し、その打開策として移民の受け入れを推奨してきた国もあります。

日本では移民の受け入れは進められていませんが、以前から「技能実習制度」を通じて、中国や東南アジアから産業へ従事する人々の中長期的な滞在を許可してきました。

技能実習制度は低賃金や長時間労働など、たびたび劣悪な労働環境が指摘されてきています。また、技能実習生の日本語能力が決して高くないことや、渡航前の雇用条件の説明が不十分であることもトラブルにつながっています。昨今ではこうしたトラブルを解消するために動く在日中国人もいるようです。

今回は、日本に働きに来る技能実習生について紹介します。


技能実習生が日本に来る仕組み「外国人技能実習制度」

日本の直面する労働力不足という問題の解決策として、「技能実習制度」について注目が集まっています。

同時に、その待遇の悪さをショッキングに伝えるニュースは少なくありません。

技能実習生の多くは、ベトナムを中心とした、近隣の開発途上国出身の人々です。まずは、技能実習生と技能実習制度について整理します。

技能実習生、外国人技能実習制度とは

「技能実習生」とは、日本にある技術、技能、知識などを学びに「外国人技能実習制度」の制度を利用して日本に来る人々のことです。

「技能実習制度」は、日本の産業にかかわる技術を開発途上国の人々に伝え、出身国のの経済発展に貢献することを目的に設けられ、国際協力の推進をその目的としています。

外国人技能実習制度は、1960年代後半頃から海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度が評価され、これを原型として1993年に制度化されたものです。

技能実習制度の目的・趣旨は、我が国で培われた技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという、国際協力の推進です。

(公益財団法人国際研修協力機構 公式サイト 1.外国人技能実習制度の概要)

1993年に技能実習制度が創設されて以来、「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(法第3条第2項)という基本理念に基づいて活動が行われてきました。

技能等の習得は、技能実習計画に基づいて行われることになっています。

現在、技能実習の期間は最長5年と定められています。通常技能実習生は、滞在の年ごとに段階的に技能を習得し、4年目と5年目には、技能等に熟達した活動をすることが目指されています。 

基本的には年に一度、ビザの更新が必要です。

技能実習生の受け入れ2つの方式「企業単独型」「団体管理型」

技能実習生には、「企業単独型」「団体管理型」2つのタイプがあります。

企業単独型では、日本の企業等が海外の現地法人や取引先企業の職員に対して技能実習を実施します。もう一つは事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体(監理団体)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する方式。

この団体管理型が全体の96.9%を占めています。また、こうした方式で技能実習を行う企業のうち、半数以上が従業員数19人以下の零細企業となっています。(平成29年度 技能実習実施機関従業員規模別構成比)

技能実習生受け入れの流れ

日本における技能実習生となるためには、通常多くのプロセスを踏まなければなりません。具体的には、技能実習に関する説明適性検査に始まり、現地での面接(もしくはSkypeでのオンライン面接)を経て、雇用条件と契約書が締結されます。

その後は、事前研修を3ヵ月ほど行い、その際に最低限必要な日本語などを学びます。習得予定の技能に合わせて、技能実習の計画表を作成した後、実際に日本へ入国して訓練を開始します。

このように、技能実習生になるには、多くのプロセスが存在し、時間がかかります。

ベトナム人技能実習生の現状と問題

開発途上国支援と日本における労働不足の両方を解決するかのように見える外国人技能実習制度ですが、ニュースやメディアで多く指摘されてきたように、看過できない問題も起こっています。

法律違反の長時間労働や低賃金といった問題や、技能実習生の人権を無視するかのような扱いがなぜ発生しているのでしょうか。技能実習生の現状について詳しく解説します。

一番多い技能実習生はベトナム

現在技能実習生として日本にやってくる人の割合の中で最も多いのは、ベトナム人です。

ベトナム人の割合は、全体の45.1%を占めており、約半数近いと言えます。次いで中国28.3%、フィリピン10.1%、インドネシア8.0%、タイが3%となっています。

技能実習生の全体数は2011年から毎年増え続けています。外国人技能実習機構の資料によれば、2017年6月末時点での技能実習生の総数は25万1,721人です。2020年2月の報道ではその数がおよそ38万3,000人に達したことが伝えられています。

法務省で公開されているデータによると、2015年までは、ベトナム人よりも中国人の割合が多かったものの、2016年以降、ベトナム人技能実習生の数が増えてきました。

日本で働くことを夢見る技能実習生、渡航後に絶望するケースも

ベトナム人が日本での技能実習に来る大きな理由の一つが「給料格差」です。

地域差はあるものの、ベトナム国内での最低賃金は月給にして1.9万円ほどです。日本の最低賃金に比べるとかなり低く、日本の給与は非常に魅力的に映ります。

日本で給与を稼ぐにはビザが必要です。多くのベトナム人は、特殊技能がなくとも日本で就労できる「技能実習制度」を利用することになります。

技能実習制度で日本に来るベトナム人の日本語能力は高くなく、また海外渡航歴のない人もいます。日本社会のルールを理解するのにも時間が必要です。日本語がよくわからないのに契約書にサインをさせたり、実際よりも労働条件が有利であるように説明されて、技能実習生となってしまうベトナム人もいるようです。

日本でしか学べない技能の習得を願って渡航してきたものの、実際は単純作業ばかりさせられてしまうというケースもあるようです。

技能実習生の失踪が後を絶たない

以上のような背景から、劣悪な待遇に悩み失踪してしまう技能実習生もいます。失踪した技能実習生の数は、2015には7,089人にも上っています。

実習先から失踪した外国人技能実習生に対する法務省の調査結果によると、理由の7割弱が「低賃金」という結果が出ています。月給については、半数以上が月給10万円以下であると答えています。日本の企業は、技能実習生を安価な労働力として利用していることをうかがわせるような結果です。

本来、技能実習生は日本人と同等、またはそれ以上の待遇が義務付けられていますが、実態としてはこの義務と乖離しているといえるでしょう。そしてその結果、技能実習生の失踪を引き起こしている側面があるようです。

ベトナム人技能実習生を受け入れる際の注意点

外国人技能実習制度は、その問題点を多く指摘されているとはいえ、制度の仕組みを理解しルールを守って受け入れれば、技能実習生にとってもメリットのある制度です。

ベトナム技能実習生を受け入れるにあたって知っておきたいこと、制度の活用の際覚えておきたいことについて紹介します。

ベトナム人の特徴

ベトナム人には親日感情を抱いている人が多く、真面目で勤勉な人が多いといわれています。こうした性格から、日本での技能習得に対して、積極的な姿勢で熱心に勉強に取り組む人も多いと考えられます。

忍耐力や手先が器用な、日本人と似ている気質を持った人が多いとも評されます。また、家族や親族を大切にする思想が強く、彼らの生活を助けるために技能実習生として日本にやってくるベトナム人も多くいます。

新制度になり大きな変化

それまでの劣悪な環境での労働や、技能実習生の失踪などの問題を受け新制度が取り入れられました。

管理体制を強化し、不正ができないようにしました。技能実習計画は技能実習生一人につき一件を作成し、外国人技能実習機構による認定を受ける必要があります。技能実習は、この計画書に沿って実施される必要があります。

また、技能実習開始時には正しい契約のもとで行われているかの届け出が必要になったり、実習の継続が困難な場合の届け出や、技能訓練の実施状況の報告が義務化されたりしました。

あくまで「日本人と同じ」労働条件

現状、少子高齢化による人手不足に直面した日本では、ベトナム人技能実習生に対して、安価な労働力を手に入れられるものだと考えている企業が存在するのも事実です。しかし、技能実習制度で日本に訪れるベトナム人に対しても当然、日本人と同等の賃金他の労働条件を提供しなければなりません。

技能実習生は自国を離れ、日本語を勉強しながら実習に当たっており、その目的は技能の習得です。日本は国際貢献としての技能の実習をうたっており、技能習得のための円滑なサポートとは何かを、改めて考える時なのかもしれません。

今後もさらなる増加が見込まれる技能実習生

政府は2023年までに技能実習生を含む就労可能な在留資格の認定を通じて、14分野で145万5,000人を受け入れることを目標にしています。外国人の受け入れに関係する出入国管理法が改定され、今後、さらに日本で生活、就労する外国人は増加していきます。

技能実習制度の理念は、技術移転を通じた国際貢献です・人手不足という、日本社会が直面する問題を解決してくれる存在のようにとらえられがちですが、制度の理念を理解した上で活用する姿勢が必要でしょう。


<参照>

https://www.mlit.go.jp/common/001273509.pdf

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/fiber/ginoujisshukyougikai/180323/3_mhlw-genjyoukadai.pdf

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37904810X11C18A1EA3000/

http://www.moj.go.jp/content/001209495.pdf


関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!