「電動キックボード」が日本の移動に革命をもたらすワケ:メリットだけじゃない、先行事例の問題点は先手を打って解決

公開日:2020年02月17日

数年前から世界的なブームとなっている電動キックボードは、日本でも将来の新たな移動手段として注目を集めています。電動キックボードの開発やサービスを運営する国内のスタートアップ「Luup」(ループ)は「東京モーターショー2019」の会場内で試乗会を実施するなど、さらなる普及を目指しています。

今回は電動キックボードが持つインバウンドへの影響と、これから日本で普及した場合に懸念される問題点について、先行事例をふまえて解説します。


Luupが実証実験を国内で開始

近年ではアメリカのBirdやSpin、Limeなど、電動キックボードを扱うスタートアップの勢いが加速しており、欧米諸国を中心に電動キックボードのサービスが普及しています。

日本では軽自動車より小型で小回りの利く電動式の乗り物は「電動マイクロモビリティ」と呼ばれ、電動キックボードも含め、法規制により公道を走れず普及が難しい状況にあります。

Luupは現状をふまえて静岡県浜松市や奈良県奈良市など9つの自治体や、リゾートホテル、工場、ゴルフ場といった私有地と連携し、電動マイクロモビリティの実証実験を重ねています。いずれの自治体も地域活性化や交通難民対策、インバウンドの二次交通問題の解決に期待を寄せています。

電動キックボードが解決するインバウンドの課題とは?

2030年までに訪日観光客数を6,000万人に増やすという政府目標も掲げられていることから、インバウンドが急増しています。

都市部で増加する訪日観光客を地方へ誘客する重要性が叫ばれている一方で、二次交通の整備の遅れが課題として挙げられています。こうした中で、世界的に普及しており、インバウンドにも馴染みのある電動キックボードのライドシェアは、二次交通問題の解決に向けた施策となりうるのではないかと期待を寄せられています。

人口や訪日観光客の増加の問題を抱えている都市部にとっても、電車やバス以外でフレキシブルに移動できる手段を整備することで、混雑の緩和や分散が見込めます。

このように、電動キックボードは都市部と地方、両方のインバウンド課題に対応できる点が特長です。二次交通の充実から、インバウンドの広域周遊観光の促進も実現できるでしょう。

世界でひそかに広まる「シェアリング電動キックボード」競合ひしめく中、ついに日本でも本格始動!実際の料金や乗り心地は?【現地レポート】

8月上旬、通信会社大手KDDIの投資ファンド、KDDI Open Innovation Fund IIIが「シェアリング電動キックボード」大手のNeutron Holdings(世界ブランドの「Lime」の運営会社)へ出資したと発表しました。アメリカ・サンフランシスコに本社を構えるNeutron Holdingsは米国をはじめとする25カ国でサービスを展開、提供台数は7,000万台にも及びます。世界で流行する新サービスに期待する日本企業は多く、総合商社の丸紅もシェアライド企業の一つモビーラ...


Lime-Sが広く普及するパリでの電動キックボードの問題点

フランスの首都・パリでは、街のいたるところで電動キックボードを利用する人の姿が見受けられます。通勤ラッシュの満員電車を避けたいときやストライキで公共交通機関が利用できないときなどに、パリ市民をはじめ観光客にも重宝されています。

利便性が評価される一方で、安全性や景観保護への問題が発生しているのも事実です。パリ市内で特によく見かける電動キックボード「Lime-S」の例をふまえて解説します。

Lime-Sを利用する際は、ヘルメットの着用が義務付けられているほか、1人1台の利用がルールです。しかし実際にはヘルメットを着用せず2人乗りで利用している人も多く、スピードを上げバランスを崩して転倒するといった事故も発生しています。

また夕方になると充電が十分でない電動キックボードが歩道へ無造作に放置され、景観を損なう場面に遭遇することも少なくありません。

乗り方のルールや駐輪スペースなどを決めても、そのことに気づかぬまま路上に乗り捨てられるケースなどが予想されます。日本に導入する際は、多言語で利用方法の周知を徹底するなど、訪日観光客の利用マナー向上への配慮が求められるでしょう。

まとめ:インバウンドの地方誘致促進への可能性を秘める電動キックボード

Luupは、電車やバス以外でフレキシブルに移動できるような二次交通環境の整備を目指し、現在も自治体をはじめ関係省庁と密にコミュニケーションをとりながら、実証実験を重ねていくということです。

電動キックボードを使うことで、都市部から郊外や地方への誘致促進が実現できるかもしれません。インバウンドの二次交通問題の改善が期待されている一方で、海外ですでに発生している安全性や景観保護の問題も念頭に置く必要があります。導入に際しては、より安全なシステムと地域の受け入れ態勢の整備が求められるでしょう。


<参照>

・DIAMOND online:電動キックボードは日本でも普及する?Luupが模索する「新たな移動手段」

・TC:電動キックボードから始める日本型マイクロモビリティ、"全ての人の移動の自由"を目指すLuupの挑戦

・BUSINESS INSIDER:規制の壁どう乗り越える?「シェア型電動キックボード」国内実証へ一歩ー国交省「具体化はこれから」

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!