2019年の訪日外国人を国籍別に見てみると、最も多かったのは中国人観光客でした。その次に韓国、台湾、香港と、東アジアからの観光客が多くを占めています。一方、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア諸国こと欧米豪からの観光客も年々増加しており、インバウンド対策を実施する際には無視できない存在となっています。
そこで今回は、インバウンド調査報告書2020に掲載されている最新のデータをもとに欧米豪からの訪日外国人について解説するとともに、中でも最も大きな市場である訪日アメリカ人に向けたインバウンド対策について紹介します。
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インバウンド欧米豪の概要
2018年、欧米豪からの観光客は合計約429万人となり、訪日外国人全体の約13.8%を占めました。
また、同じく2018年の欧米豪からの観光客による消費金額は総額約7,379億円を記録しており、訪日外国人全体の約16.3%になっています。
訪日者数は11.7%増、東南アジア超えのシェア
2019年上半期の欧米豪からの観光客数は約230万人です。前年同期と比べて約11.7%増加し、訪日外国人全体の約12.2%を占めました。
この中でも訪日アメリカ人が最も大きな割合を占めており、欧米豪市場の観光客全体のうち、42.6%が訪日アメリカ人です。
また、同じく2019年上半期の欧米豪からの観光客による消費金額は総額約4,020億円に達しました。これは訪日外国人全体の約15.9%で、前年同期比で10.9%増加しました。
経済成長による可処分所得の増加や、地理的に近いという条件から、東南アジア市場は近年インバウンド市場での存在感が大きくなっています。また欧米豪からは日本までは、航空便を利用したとしても東南アジアとは比較にならないほど時間がかかります。
それでもなお、欧米豪市場の観光客数は、東南アジアからのそれを超えています。また、消費金額に至っては東南アジア系訪日外国人の約1.4倍です。
なぜ今”欧米豪”なのかがよく分かる5つポイント:訪日旅行トレンドから読み解く欧米豪インバウンドの集客・誘致のポイントとは?
訪日中国人観光客を中心として東アジア出身の訪日外国人観光客が最も大きなターゲットでしたが、最近ではLCC増便やビザの要件緩和の影響で客数の伸びが急激であり、ミレニアル世代が多いことで知られる
消費金額TOP3はオーストラリア、イギリス、フランス
続いて、欧米豪市場の消費金額について詳細を見ていきます。上のグラフでは、欧米豪エリアからの観光客による消費金額を国籍別に分けています。
グラフによると、最も消費金額の割合が大きかったのは訪日オーストラリア人で、次に訪日イギリス人、訪日フランス人と続いています。
オーストラリア、イギリス、フランスはそれぞれ日本から飛行機で10時間以上かかる遠距離に位置するため、一度の日本滞在に多くの日数を割く傾向にあります。そのため、滞在中の消費金額も必然的に大きくなり、このような結果となっていると考えられるでしょう。
イギリス人は「お得感」ドイツ人は「情報の質・レビュー」を求めている:欧州インバウンド誘致のためにはどんな情報を発信するべき?ヨーロッパ向けの
前編でご紹介したように、ヨーロッパ出身の人々は「旅マエにはPC、旅ナカにはスマホ」で旅行先の観光情報を入手しています。欧州圏出身の外国人観光客にアプローチするには、旅マエ・旅ナカに分けて適切なデバイス向けにプロモーションをかけるのが得策です。ヨーロッパ出身の人々は、旅行地を選ぶ際に何を重要視しているのでしょうか。また、どのような広告・情報が役に立つと考えているのでしょうか。欧州圏の訪日主要国であるイギリス・ドイツ・フランスを中心に後編で解説していきます。Googleマップによる集客、うまく...
人気訪問地は「東京」、地方への誘客が課題に
欧米豪からの観光客に人気の訪問地と宿泊地を見てみると、1位は全て東京都が独占しています。
また、2位以下も京都府、大阪府などの大都市圏や、千葉県、神奈川県などの都市近郊に人気が集まっており、全体的にはゴールデンルート上の都府県がよく見られます。
一方、ゴールデンルートから離れた地方県は、広島県や石川県といった一部を除き、欧米豪のどの市場でも今ひとつ存在感がありません。今後の欧米豪市場の成長は、地方への誘客が鍵を握っているようです。
地方誘致の秘訣
インバウンド誘致は地方創生の切り札としても注目 されており、全国の観光協会や自治体などは訪日外国人観光客の受け入れ環境整備に乗り出しています。こうした背景から、DMOが設立されるケースが増えてきており、現在では日本国内で 123ものDMOが存在 するに至っています。国内のDMOでは、具体的にどのようにして訪日外国人観光客を誘致しているのでしょうか。 日本政策投資銀行の資料をもとにNPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構の取り組みをご紹介します。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもら...
イースター休暇が来日のピーク
欧米豪からの観光客が増える時期を見てみると、3月と4月に客数の大幅な増加が見られます。
中でも4月の上旬には多くの欧米豪諸国でイースター(復活祭)の休暇がもうけられており、国によっては3連休や4連休になることもあります。
欧米豪からの観光客は、この時期を使って日本を訪れることが多いようです。
イースター休暇とは
欧米圏のインバウンド市場について考えるときに、キリスト教徒にとって重要な聖日の「イースター」についての理解は欠かせません。日本ではあまり話題にならない「イースター」は日本語では「復活祭」を意味します。キリスト教徒の多い欧米人は、前後に休暇をとって1週間程度の長期休暇とするケースが多く、夏休みのバカンスの次に長い休暇である場合も少なくありません。この記事では、2019年・2019年のイースター休暇の日程や世界各国の過ごし方を紹介します。また、イースター休暇と欧米圏インバウンド市場との関係を解...
最大シェア、アメリカ市場を狙うには
欧米豪諸国の中でも最も大きな市場となっているのがアメリカ合衆国です。
2019年上半期の訪日アメリカ人は87万5,124人となり、前年同期と比べて約13.0%増加しました。
2019年4月1日からは日本の関西国際空港とアメリカのシアトル・タコマ国際空港間にてデルタ航空が定期便を就航させており、このことも訪日アメリカ人が増加した一因と見られています。
インバウンドアメリカ市場の傾向
アメリカ人に最も人気のある観光地は東京都で、次に千葉県、京都府、大阪府、神奈川県と続いています。このようにドラゴンルート上に位置する都府県は安定した人気を持っていますが、合わせて広島県や北海道が上位10位以内に入っていることも特徴です。
また、日本滞在中は日本食を最も楽しんでおり、他にも繁華街の街歩きや日本酒を飲むこと、ショッピングなどを楽しんでいます。これらのアクティビティに対する満足度はどれも95%を超えており、多くの訪日アメリカ人が日本での滞在に満足していると分かります。
合わせて、次回訪日時には日本食を食べたり自然や景勝地を観光することを期待しており、日本への旅行を計画する際にはトリップアドバイザーなどの口コミサイト、日本在住の親族または知人、YouTubeなどの動画サイトから情報を得ています。
アメリカで日本のテレビアニメが人気!14作品を紹介
海外では日本のアニメが人気で、ストーリーの奥深さや個性あるキャラクターはアメリカでも人気を博しています。今回はアメリカで人気がある日本のテレビアニメ作品や、その人気から派生したアニメツーリズムについて解説します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次アメリカで人気!日本のテレビアニメ14選1.ドラゴンボールZ2. DEATH NOTE3. ONE PIECE4. ...
動画コンテンツを情報源にする人が増加
日本への旅行を計画する際に参考にしている情報源として、第3位にYouTubeなどの動画サイトが挙げられています。
動画サイトを参考にした人の割合は前年の18.31%から今年の25.98%と際立って上昇しており、YouTubeやSNSを活用したプロモーションやインフルエンサーマーケティングを実施することで、高い効果が得られる可能性を示しています。
YouTuberがアメリカ人観光客を連れてくる:国別・インバウンドが旅行の参考にするSNSランキング!
外国人観光客が来日前に観光情報を入手する手段は、ガイドブックなどの紙媒体からインターネット上の情報まで多岐に渡ります。しかし、近年はSNSを利用した情報収集が盛んになっており、一方的な宣伝を行う広告よりも、体験に基づく口コミや評価を重視する傾向が強まっています。訪日外国人観光客のスムーズな集客に繋げるためには、各国の旅行客がどの媒体を使っているかを把握し、戦略的な宣伝を展開する必要があると言えます。目次公式情報から個人の口コミを重視する時代口コミ・評価獲得の重要性新規顧客やリピーターの取り...
訪日アメリカ人の消費傾向
訪日アメリカ人の消費傾向は前年とほぼ変わっておらず、宿泊費と食費が消費金額全体の約70%を占めています。宿泊を楽しむ、食事を楽しむといったコト消費の傾向が見られるため、飲食や宿泊のアクティビティをプロモーションすればある程度の効果が望めると言えます。
瞬間勝負のSNS・長期戦のYouTube:メディアによって最も響くインバウンド動画は違う!Facebook vs YouTubeで考察する
こんにちは。Ad Arch(アドアーチ)株式会社の白川です。今回は インバウンド動画において、最も響く展開媒体は何か? を考えてみたいと思います。目次外国人が動画を通して観てきた日本とは。動画の主戦場がウェブに。かつて海外TVや映画で展開されていた日本像とは。日本をピックアップした動画・インバウンド動画が増加。制作するだけではなく、展開が重要に。媒体の特性を知る。タイムライン上での瞬間勝負のFacebook、自ら情報を探し当てる長期戦YouTube。◆Nike: Thirty Years ...
訪問先によって消費金額に大きな差が
一方で消費金額そのものを見てみると、訪問先の都道府県ごとに大きな差が出ています。
最も消費金額が少なかったのは千葉県となっており、東京の隣かつ成田空港やディズニーランドを抱えているにもかかわらず消費金額が低迷しているのは訴求不足が原因とも考えられます。
都心部と連携した周遊ルートを上手く構築し、より多くの訪日外国人に地方を旅してもらうことが全体の消費金額の向上にもつながるでしょう。
【農泊】年350万円の売上事例も/コト消費&地方創生でインバウンドで注目急上昇の農泊の4つのメリットを紹介
近年、「コト消費」のなかで世界中から注目を集めているのが、農村や漁村に宿泊して日本の生活を体験する「農泊」です。農林水産省の調べによると、2016年には農村漁村地域への宿泊者数は1,126万人と前年比27万人の増加となっており、訪日外国人観光客も増えているのだと言います。政府は、2020年までに訪日外国人観光客を4,000万人にまで増やすことを目標に掲げており、その施策のひとつとして「農泊」を推進しています。というのも、訪日外国人観光客からも関心の高い「農泊」を打ち出すことによって、地方の...
インバウンド調査報告書2020で欧米豪へのインバウンド対策を
一見アジア系の観光客が多くを占めているように見られる訪日外国人市場ですが、欧米豪からの観光客も非常に大きなマーケットを形成しています。
今回は訪日アメリカ人を中心に欧米豪からの観光客について紹介しましたが、インバウンド調査報告書2020ではカナダ、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、ロシア、オーストラリア各国のインバウンド事情を最新のデータを用いてに解説しています。
インバウンド戦略の策定には、インバウンド調査報告書2020をぜひご活用ください。
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本調査報告書について
本調査報告書は「訪日ラボ」が、2018年上期から2019年上期にかけてのインバウンド市場を徹底的に分析することで、2020年上期のインバウンド市場を展望する内容となっております。
本報告書の制作にあたり、観光庁やJNTOなどが提供する公的なデータ、株式会社ナビタイムジャパンからのデータ協力、そして自社メディアにて集積した膨大なデータを基に分析しており、変化の激しいインバウンド業界の方にとって価値のある情報を提供することを目的としています。
構成・各章の概要は以下の通り。
- 第1章「市場全体データから分析するインバウンドの現在」
- 訪日者数や消費金額総額等のマクロデータに加え、業界を支える事業者へのアンケートも交え、インバウンドの現在の趨勢についてまとめています。
- 第2章「都道府県別インバウンドデータに見る トレンドと課題」
- 全国47都道府県を9エリアに分け、県別に各種の公的データを集計。また、NAVITIME提供のインバウンドGPSデータによる宿泊者数や移動データも収録し、外国人訪問者の動向と消費の詳細が分かるデータとしてまとめています。
- 第3章「国・地域別インバウンドデータに見る トレンドと課題」
- 政府の指定する重点市場20か国について各種データを集計し、各国の訪問動向と消費内訳をまとめています。どの月にどの県へ訪問、宿泊がなされ、なにを期待して訪日したのか。またどの品目により多くの消費がなされたのか。次にインバウンド対策として打つべき手についてデータを分析しています。
- 第4章「業界別インバウンド市場ニュースと事例」
- 2019年1月-6月期において訪日ラボの人気記事を業界ごとにリストアップし、それらをPVの大きかった順に並べ、キーワードを抽出しています。メーカー、交通、宿泊、小売、そして地方自治体のニュースの記事が注目を集め、話題となったのか。業界ごとに分析・解説しています。
- 第5章「インバウンド対策ソリューション企業一覧」
- インバウンド向けに受け入れ対応したい・プロモーションしたい事業者をサポートする、インバウンド対策サービスをまとめ、リストアップしています。
書籍情報
書名:インバウンド調査報告書2020[2019年上期のデータから2020年上期を展望する]
著者:訪日ラボ
発行所:株式会社インプレス
発売日:2019年12月24日(火)
価格:CD(PDF)版、ダウンロード版90,000円(税別)CD(PDF)+冊子版100,000円(税別)
中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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