遠いからこそ日本を堪能したい!欧米豪インバウンドの実際をデータから解読:消費額トップの豪・4人に1人が「動画サイト」を参考にする米など

公開日:2020年02月21日

2019年の訪日外国人を国籍別に見てみると、最も多かったのは中国人観光客でした。その次に韓国、台湾、香港と、東アジアからの観光客が多くを占めています。一方、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア諸国こと欧米豪からの観光客も年々増加しており、インバウンド対策を実施する際には無視できない存在となっています。

そこで今回は、インバウンド調査報告書2020に掲載されている最新のデータをもとに欧米豪からの訪日外国人について解説するとともに、中でも最も大きな市場である訪日アメリカ人に向けたインバウンド対策について紹介します。

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インバウンド欧米豪の概要

2018年、欧米豪からの観光客は合計約429万人となり、訪日外国人全体の約13.8%を占めました。

また、同じく2018年の欧米豪からの観光客による消費金額総額約7,379億円を記録しており、訪日外国人全体の約16.3%になっています。

訪日者数は11.7%増、東南アジア超えのシェア

▲[欧米豪訪日客数]:インバウンド調査報告書2020
▲[欧米豪訪日客数]:インバウンド調査報告書2020

2019年上半期の欧米豪からの観光客数は約230万人です。前年同期と比べて約11.7%増加し、訪日外国人全体の約12.2%を占めました。

この中でも訪日アメリカ人が最も大きな割合を占めており、欧米豪市場の観光客全体のうち、42.6%訪日アメリカ人です。

また、同じく2019年上半期の欧米豪からの観光客による消費金額総額約4,020億円に達しました。これは訪日外国人全体の約15.9%で、前年同期比で10.9%増加しました。

経済成長による可処分所得の増加や、地理的に近いという条件から、東南アジア市場は近年インバウンド市場での存在感が大きくなっています。また欧米豪からは日本までは、航空便を利用したとしても東南アジアとは比較にならないほど時間がかかります。

それでもなお、欧米豪市場の観光客数は、東南アジアからのそれを超えています。また、消費金額に至っては東南アジア系訪日外国人約1.4倍です。

なぜ今”欧米豪”なのかがよく分かる5つポイント:訪日旅行トレンドから読み解く欧米豪インバウンドの集客・誘致のポイントとは?

ここ最近のインバウンド業界ではターゲットが細分化されてきています。以前であれば、訪日中国人観光客を中心として東アジア出身の訪日外国人観光客が最も大きなターゲットでしたが、最近ではLCC増便やビザの要件緩和の影響で客数の伸びが急激であり、ミレニアル世代が多いことで知られる東南アジアなどもインバウンド魅力的なターゲットとなっています。欧米豪圏も近年のインバウンド市場において注目度が増している市場 として知られていますが、欧米豪出身の訪日外国人観光客を集客・誘致する際にはどのようなことを頭に入れ...


消費金額TOP3はオーストラリア、イギリス、フランス

▲[欧米豪一人あたり消費金額の割合]:インバウンド調査報告書2020
▲[欧米豪一人あたり消費金額の割合]:インバウンド調査報告書2020

続いて、欧米豪市場の消費金額について詳細を見ていきます。上のグラフでは、欧米豪エリアからの観光客による消費金額を国籍別に分けています。

グラフによると、最も消費金額の割合が大きかったのは訪日オーストラリア人で、次に訪日イギリス人、訪日フランス人と続いています。

オーストラリア、イギリス、フランスはそれぞれ日本から飛行機で10時間以上かかる遠距離に位置するため、一度の日本滞在に多くの日数を割く傾向にあります。そのため、滞在中の消費金額も必然的に大きくなり、このような結果となっていると考えられるでしょう。

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人気訪問地は「東京」、地方への誘客が課題に

▲[欧米豪人気訪問地・宿泊地]:インバウンド調査報告書2020
▲[欧米豪人気訪問地・宿泊地]:インバウンド調査報告書2020

欧米豪からの観光客に人気の訪問地と宿泊地を見てみると、1位は全て東京都が独占しています。

また、2位以下も京都府、大阪府などの大都市圏や、千葉県、神奈川県などの都市近郊に人気が集まっており、全体的にはゴールデンルート上の都府県がよく見られます。

一方、ゴールデンルートから離れた地方県は、広島県や石川県といった一部を除き、欧米豪のどの市場でも今ひとつ存在感がありません。今後の欧米豪市場の成長は、地方への誘客が鍵を握っているようです。

地方誘致の秘訣

インバウンド誘致は地方創生の切り札としても注目 されており、全国の観光協会や自治体などは訪日外国人観光客の受け入れ環境整備に乗り出しています。こうした背景から、DMOが設立されるケースが増えてきており、現在では日本国内で 123ものDMOが存在 するに至っています。国内のDMOでは、具体的にどのようにして訪日外国人観光客を誘致しているのでしょうか。 日本政策投資銀行の資料をもとにNPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構の取り組みをご紹介します。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもら...


イースター休暇が来日のピーク

▲[欧米豪訪日者数推移]:インバウンド調査報告書2020
▲[欧米豪訪日者数推移]:インバウンド調査報告書2020

欧米豪からの観光客が増える時期を見てみると、3月と4月に客数の大幅な増加が見られます。

中でも4月の上旬には多くの欧米豪諸国でイースター(復活祭)の休暇がもうけられており、国によっては3連休や4連休になることもあります。

欧米豪からの観光客は、この時期を使って日本を訪れることが多いようです。

2019年・2020年のイースター休暇はいつ?欧米圏からの訪日観光市場との関係を解説

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最大シェア、アメリカ市場を狙うには

欧米豪諸国の中でも最も大きな市場となっているのがアメリカ合衆国です。

2019年上半期訪日アメリカ人87万5,124人となり、前年同期と比べて約13.0%増加しました。

2019年4月1日からは日本の関西国際空港とアメリカのシアトル・タコマ国際空港間にてデルタ航空が定期便を就航させており、このことも訪日アメリカ人が増加した一因と見られています。

インバウンドアメリカ市場の傾向

アメリカ人に最も人気のある観光地は東京都で、次に千葉県、京都府、大阪府、神奈川県と続いています。このようにドラゴンルート上に位置する都府県は安定した人気を持っていますが、合わせて広島県や北海道が上位10位以内に入っていることも特徴です。

また、日本滞在中は日本食を最も楽しんでおり、他にも繁華街の街歩きや日本酒を飲むこと、ショッピングなどを楽しんでいます。これらのアクティビティに対する満足度はどれも95%を超えており、多くの訪日アメリカ人が日本での滞在に満足していると分かります。

合わせて、次回訪日時には日本食を食べたり自然や景勝地を観光することを期待しており、日本への旅行を計画する際にはトリップアドバイザーなどの口コミサイト日本在住の親族または知人、YouTubeなどの動画サイトから情報を得ています。

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動画コンテンツを情報源にする人が増加

▲[訪日アメリカ人 日本の情報源TOP10]:インバウンド調査報告書2020
▲[訪日アメリカ人 日本の情報源TOP10]:インバウンド調査報告書2020

日本への旅行を計画する際に参考にしている情報源として、第3位にYouTubeなどの動画サイトが挙げられています。

動画サイトを参考にした人の割合は前年の18.31%から今年の25.98%と際立って上昇しており、YouTubeやSNSを活用したプロモーションやインフルエンサーマーケティングを実施することで、高い効果が得られる可能性を示しています。

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訪日アメリカ人の消費傾向

▲[訪日アメリカ人 消費対象の割合と1人あたり消費金額]:インバウンド調査報告書2020
▲[訪日アメリカ人 消費対象の割合と1人あたり消費金額]:インバウンド調査報告書2020

訪日アメリカ人の消費傾向は前年とほぼ変わっておらず、宿泊費と食費が消費金額全体の約70%を占めています。宿泊を楽しむ、食事を楽しむといったコト消費の傾向が見られるため、飲食や宿泊のアクティビティをプロモーションすればある程度の効果が望めると言えます。

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訪問先によって消費金額に大きな差が

▲[訪日アメリカ人 訪問先都道府県別1人あたり消費金額]:インバウンド調査報告書2020
▲[訪日アメリカ人 訪問先都道府県別1人あたり消費金額]:インバウンド調査報告書2020

一方で消費金額そのものを見てみると、訪問先の都道府県ごとに大きな差が出ています。

最も消費金額が少なかったのは千葉県となっており、東京の隣かつ成田空港やディズニーランドを抱えているにもかかわらず消費金額が低迷しているのは訴求不足が原因とも考えられます。

都心部と連携した周遊ルートを上手く構築し、より多くの訪日外国人に地方を旅してもらうことが全体の消費金額の向上にもつながるでしょう。

【農泊】年350万円の売上事例も/コト消費&地方創生でインバウンドで注目急上昇の農泊の4つのメリットを紹介

近年、「コト消費」のなかで世界中から注目を集めているのが、農村や漁村に宿泊して日本の生活を体験する「農泊」です。農林水産省の調べによると、2016年には農村漁村地域への宿泊者数は1,126万人と前年比27万人の増加となっており、訪日外国人観光客も増えているのだと言います。政府は、2020年までに訪日外国人観光客を4,000万人にまで増やすことを目標に掲げており、その施策のひとつとして「農泊」を推進しています。というのも、訪日外国人観光客からも関心の高い「農泊」を打ち出すことによって、地方の...


インバウンド調査報告書2020で欧米豪へのインバウンド対策を

一見アジア系の観光客が多くを占めているように見られる訪日外国人市場ですが、欧米豪からの観光客も非常に大きなマーケットを形成しています。

今回は訪日アメリカ人を中心に欧米豪からの観光客について紹介しましたが、インバウンド調査報告書2020ではカナダ、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、ロシア、オーストラリア各国のインバウンド事情を最新のデータを用いてに解説しています。

インバウンド戦略の策定には、インバウンド調査報告書2020をぜひご活用ください。

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本調査報告書について

本調査報告書は「訪日ラボ」が、2018年上期から2019年上期にかけてのインバウンド市場を徹底的に分析することで、2020年上期のインバウンド市場を展望する内容となっております。

本報告書の制作にあたり、観光庁やJNTOなどが提供する公的なデータ、株式会社ナビタイムジャパンからのデータ協力、そして自社メディアにて集積した膨大なデータを基に分析しており、変化の激しいインバウンド業界の方にとって価値のある情報を提供することを目的としています。

構成・各章の概要は以下の通り。

  • 第1章「市場全体データから分析するインバウンドの現在」
    • 訪日者数や消費金額総額等のマクロデータに加え、業界を支える事業者へのアンケートも交え、インバウンドの現在の趨勢についてまとめています。
  • 第2章「都道府県別インバウンドデータに見る トレンドと課題」
    • 全国47都道府県を9エリアに分け、県別に各種の公的データを集計。また、NAVITIME提供のインバウンドGPSデータによる宿泊者数や移動データも収録し、外国人訪問者の動向と消費の詳細が分かるデータとしてまとめています。
  • 第3章「国・地域別インバウンドデータに見る トレンドと課題」
    • 政府の指定する重点市場20か国について各種データを集計し、各国の訪問動向と消費内訳をまとめています。どの月にどの県へ訪問、宿泊がなされ、なにを期待して訪日したのか。またどの品目により多くの消費がなされたのか。次にインバウンド対策として打つべき手についてデータを分析しています。
  • 第4章「業界別インバウンド市場ニュースと事例」
    • 2019年1月-6月期において訪日ラボの人気記事を業界ごとにリストアップし、それらをPVの大きかった順に並べ、キーワードを抽出しています。メーカー、交通、宿泊、小売、そして地方自治体のニュースの記事が注目を集め、話題となったのか。業界ごとに分析・解説しています。
  • 第5章「インバウンド対策ソリューション企業一覧」
    • インバウンド向けに受け入れ対応したい・プロモーションしたい事業者をサポートする、インバウンド対策サービスをまとめ、リストアップしています。

書籍情報

書名:インバウンド調査報告書2020[2019年上期のデータから2020年上期を展望する]

著者:訪日ラボ

発行所:株式会社インプレス

発売日:2019年12月24日(火)

価格:CD(PDF)版、ダウンロード版90,000円(税別)CD(PDF)+冊子版100,000円(税別)

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!