Amazon日本で中国人が出品する中国の商品をよく見かけるようになりました。安くて面白そうな製品もあるけれど、クオリティは大丈夫なのかというのが悩ましいところ。
ひとつの見分け方としては、中国の淘宝網(タオバオ)での買い物の仕方と同様に、商品の星の数で判定するだけでなく、ネイティブの日本語レビューの中身を見て判定するといったところでしょうか。
日本に中国人が出品する商品が多いということは、販売業者も多いことを意味します。また怪しげな日本語の商品や、微妙な商品がよく見つかるということは、それだけ日本が魅力的な市場なのです。
![▲[中国人が出品したと思われるSDカード]:筆者キャプチャ ▲[中国人が出品したと思われるSDカード]:筆者キャプチャ](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5822/main_main_image.png?auto=format)
インバウンド対策サービスを探している方必見!無料で資料DLできる「訪日コム」を見てみる
EC市場に眠る可能性、サクセスストーリーもたくさん
最近「日本のAmazonへの出店で一儲けしないか」といった相談を昔からの中国の知人から持ち掛けられるようになりました。実際中国によく行かれる方、中国在住中国人のお友達がいる方の中には、一緒にECサイトで販売しないかと声をかけられたこともあるのではないでしょうか。
「一儲けしないか」の話の続きには、ネットで見たであろう様々なサクセスストーリーが続きます。海外に出店したらスタッフ3人で1000万円儲かった、月収が数万元になった、そんなうまい話が探せばどんどん出てきます。友人らはそうした話を見て相談してきました。
中国から日本へ…「逆越境EC」
つまりは今までと逆の流れの中国から海外への越境EC(便宜上「逆越境EC」とします)が注目されています。
日本市場に注目が集まっているだけではありません。日本に足を踏み入れた中国人が日本人に声をかけるのですから、当然日本市場向けにやらないかと声をかけてくるわけですが、世界中のECサイトをターゲットとしています。
欧米や日本市場が従来注目を集めていましたが、最近では急激にECが普及する東南アジア各国においても注目されています。実際いろんな国でECサイトの広告をみるようになりました。ASEAN各国で普及する「Lazada」や「Shopee」の各国版に出品するわけです。
![▲[タイのECサイトShopeeの広告]:タイ国内にて、筆者撮影 ▲[タイのECサイトShopeeの広告]:タイ国内にて、筆者撮影](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5828/main_image.png?auto=format)
もっとも、数年前から広東省のモノづくり企業の中には、海外EC市場をターゲットとしている企業はありました。
私が見たスマートフォン用スピーカーを生産販売する企業では、全世界向けに販売していて、社内の島ごとに、日本、アメリカ、イギリスなどとわかれていて、そこで各地の言葉がそれなりにわかるスタッフが、Amazon各国版での在庫管理やアフターサービスや商品の登録などを行っていました。
中国の若者が熱視線
近年は中国人の若者にとって、逆越境ECがより身近になったようです。今年1月に越境EC業者の「連連跨境支付(LianLianPay)」は、9000人弱を対象にした逆越境ECについてのアンケート結果「2019年中国越境EC従業者生存報告」を発表しました。
これによると、逆越境ECの経験年数は、1年以下が13.3%、1~3年が42.7%、3~5年が31.8%となっていて、5年以下が9割弱を占めます。
逆越境EC業者の年齢でみると、1995~99年生まれの「95後」が36.5%、1990年~94年生まれの「90後」が32.8%、1985~89年生まれの「85後」が20.3%であり、1985年以降の30代前半までで全体の9割を占めます。
中国EC市場や越境EC市場と比べても、歴史は浅く、プレーヤーは若いです。実際越境ECで成功し、武勇伝を語る記事においても、3年以下の人をよく見ます。
![▲[中国の若者が一攫千金を狙う]:2019年中国越境EC従業者生存報告(連連跨境支付) ▲[中国の若者が一攫千金を狙う]:2019年中国越境EC従業者生存報告(連連跨境支付)](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5813/main_image.png?auto=format)
楽しいだけじゃない、越境ECの業務が過酷なワケ
EC業界は残業は当たり前です。調査結果では、終業時間は夜8時が15.1%、夜10時が37.6%、深夜0時が27.6%、徹夜作業は15.7%となっています。
それもそのはず、ECサイトはオンラインで質問にすぐに答えるなど、待機しなければならないのに加え時差があります。例えば東南アジアの国々は、多くが中国より1時間マイナスした時間となります。向こうの人々のライフスタイルのペースで働くなら、中国より1時間遅くまで働かなければならないのです。
逆に日本は中国より1時間プラスになり、日本が1時間早く夜を迎えるので、逆越境EC業者としては体にも少し優しめです。
とはいえやはり体力が要ります。逆越境ECに携わることによる体の問題について「睡眠不足(49.9%)」「ストレス太り(27.8%)」「常に風邪意味(25.9%)」「頚椎に問題(23.2%)」などといった回答となりました。
それでも3割弱が「稼げて時間もある」、4割超は「稼げるが時間がない」と答え、6割は「この仕事を続けたい」としてます。
中国業者にとって海外市場は中国国内に比べれば競争が激しくなく魅力的です。一方で日本人にとってはどこの国へ越境ECで販売するにしろ、Amazonに出品する中国業者と競争するようなことが起きることを意味します。今後より進出し競争が激しくなることは覚悟したほうがいいでしょう。
中国人越境EC業者が明かす日本EC市場
ところで中国人の逆越境ECの業者は日本市場でどう売るのでしょうか。逆越境ECサイトでは日本市場についてこう紹介しています。
日本はユニクロがあり、ダイソーをはじめとした100円ショップの商品があります。質のよいものが先進国の中ではトップクラスの安さで手に入ります。これらと競合はできない、としています。そこを回避した製品が売れる、としています。
季節性商品に商機?
3月4月であれば、桜の季節で、外にお出かけをする季節で、また新生活応援セールの時期であり、アマゾン日本で商品がよく売れるといいます。
お出かけ用に挙げているのが、コンパクトに畳める「アウトドア用テーブル」「保温性絨毯」「バーベキューセット」「クーラーボックス」などです。
デジタル製品であれば「スタビライザー(ジンバル)」「三脚」「レフ板」「カメラバッグ」「ヘッドフォン」「メモリーカード」など。新生活用では、「スティック型掃除機」「ロボット掃除機」ほか、部屋向けの「収納ケース」「椅子」「飾れる雑貨」「枕」「絨毯」や、キッチン用の「多機能鍋」「調味料入れ」「バーナー」などを挙げています。なるほどごもっとも。
商品を出品するなら、2、3か月前から準備をして、季節が変わる前に出品をする。商品名には半角カナを使わない、全角数字やアルファベットは使わない、そんなアドバイスも書かれています。
まとめ
中国の販売者がターゲットとしているのは、日本市場だけではありません。東南アジアに向けて出品する人向けに、東南アジア各国の売れ筋商品を紹介する中国語の記事も簡単に見つかります。
今後中国人の出品者が増えれば、日本をはじめとした世界の売れ筋商品の見つけ方や売り方について、競い合ってWEBサイトや微博(Weibo)や微信(WeChat)に情報が出てくると考えられます。
日本に商品を展開するための情報であれば、中国企業と日本へのローカライズで手を組む参考になるでしょう。また日本以外で販売するための情報であれば、各国へ越境ECを進出する際の参考になるはずです。外国人の視点で日本を見ると、新たな発見があるかもしれません。
![▲[外国人視点の日本市場] ▲[外国人視点の日本市場]](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5811/main_image.png?auto=format)
【6/11開催】欧米豪インバウンドに刺さる!“地域にどっぷり浸かる”ローカルイマーシブ観光とは?
本ウェビナーでは、株式会社movと株式会社大阪メトロ アドエラの共催により、欧米豪向けインバウンドをターゲットとした「ローカルイマーシブ “地域にどっぷり浸かる没入体験”の提供」をテーマに最新情報をお届けします。
2025年大阪・関西万博の開催を契機に、欧米豪を中心とした訪日外国人観光客が関西を中心に日本全国に訪れる機会が急増しています。
一方で、地域の受け入れ側には「英語対応が難しい」「どう関わればいいかわからない」「コンテンツや訴求方法がわからない」「対応できる人材がいない」といった課題も多く、せっかく外国人観光客が訪れても、地元に経済的な波及効果が十分届いていないのが現状です。
本セミナーでは、大阪メトロ アドエラが展開する欧米豪向けインバウンド事業「Osaka JOINER」をもとに“まち全体でインバウンド受け入れるスキーム”を通じた、インバウンドに関わる人と経済のパイを増やすための可能性を紹介します。
観光施策、まちづくりに携わる方にとって、明日から活かせるヒントが満載です。
<本セミナーのポイント>
- 欧米豪インバウンドに刺さる「ローカルイマーシブ観光」の実践例がわかる!
- 多様な人材や事業者を巻き込む”まち全体”に経済効果を波及させる仕組みがわかる!
- 旅行者目線を徹底し、英語対応が難しくても、無理なくインバウンドを受け入れる方法が学べる!
- 旅行者満足度を獲得することで、マーケティング・プロモーションなど、広がる可能性がわかる!
詳しくはこちらをご覧ください。
→欧米豪インバウンドに刺さる!“地域にどっぷり浸かる”ローカルイマーシブ観光とは?【6/11開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年5月後編】2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に5月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? / 2025年訪米旅行者支出「125億ドルの損失」予想 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年5月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!