日本に観光をしたいと考えている外国人は増加傾向にあり、中でも昨今では、海外の若い世代からの日本文化への強い関心が注目されています。
「ミレニアル世代」とはそんな若い世代、つまり2000年代になってから成人、社会人になった世代の人たちを指す言葉として用いられています。
この年代の人々の特徴は、生まれたときからデジタルな文化に触れ、スマホやパソコンをはじめとした電子機器を困難なく操ることのできる「デジタルネイティブ」とも呼ばれています。
そんな、「ミレニアル世代」の外国人が、日本観光で求めているものとはなんなのでしょうか。この記事では、その年代にターゲットを絞り、興味の傾向をご紹介します。
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アジア新興国の中核を担うミレニアル世代
出生率の高い国におけるミレニアル世代は、その国の中核を担う、勢いのある世代ともいえます。この項目では、アジア新興国のミレニアル世代について触れていきます。
ミレニアル世代以下の世界人口が全体の半分を占める
少子化が問題となっている日本とは異なり、世界では、若い世代が大きなウエイトを占めつつます。
US Census Bureauによれば、2015年におけるミレニアル世代とそれ以下の世代が労働人口を占める割合は約50%にのぼり、2025年には約75%を占めるといわれています。
お隣の国であり、日本のインバウンド消費の大きな割合を占めている中国では、20~30代の世帯年収が最も高い水準にあります。今後中国以外のアジアの新興国でも、同様に若い世代に経済的余裕ができることが予想できます。
そのため、この「ミレニアル世代」の訪日外国人旅行客が増える可能性があります。
「デジタルネイティブ」である:SNSを使った情報収集・発信が得意
先述した通り、この「ミレニアル世代」特徴の一つは、「デジタルネイティブ」であるという点です。
SNSなどを通した情報収集・発信に幼いころから触れてきたため、流行に敏感になっていることや、広告よりもインフルエンサーの発言を信じる傾向があります。
さらに、わからないことがあったときも周囲の人に相談するのではなく、ネットを巧みに駆使し、必要な情報にたどり着ける人が多い世代です。
「モノ」より「コト」重視
その他、「ミレニアル世代」にはお金の使い道についても特徴があります。
それは、「モノ消費」よりも「コト消費」を重視している点です。
同じようにお金を使うなら、何かを買って消費するよりも、イベントへの参加などの体験をしたいと考えている傾向が強いようです。
さらに、社会問題への関心の高さや、「ソーシャルグッド」と呼ばれる環境や地域への貢献活動に敏感な傾向もあります。
ミレニアル世代がターゲットの「HOTEL TAVINOS」
では、これらの「ミレニアル世代」をターゲットとして呼び込みを行うためには、どのような施策が必要なのでしょうか。この項目では、その例の一つとして東京の浜松町・浅草に展開するトラベルハブホテル「HOTEL TAVINOS」での取り組みをご紹介します。
ポイント1:写真を撮りたくなる内装
まず、この「ミレニアル世代」の呼び込みのキーワードの一つともなるのが「写真」です。
SNSが発達した時代に大人になったこの世代にとっては、写真を撮って公開、発信していくというのは、非常に身近なアクションです。
そのため、「日本に旅行に来ている」ことがわかりやすく表現されている写真を撮れることは、彼らにとって魅力的に映る可能性があります。
この「HOTEL TAVINOS」では、至るところに「漫画」を取り入れることで、ミレニアル世代の観光客が写真を撮りたくなるような内装が意識されています。
ポイント2:コンパクトで手のとどく価格
もう一つの「ミレニアル世代」の傾向としては、宿時代にお金をかけて過ごすというよりも、外での観光を目いっぱい楽しみ、宿は寝るための場所と考えている人が多いことが挙げられます。
そのため、宿泊先には必要最低限の設備だけを用意し、その分価格を一泊一万円台に設定することで、若い世代に気軽に足を運んでもらえるような環境を目指しています。
ポイント3:情報収集のしやすさ
また、情報収集のしやすい環境を作るために、他の観光客とも交流がしやすいロビーの設置が目指されています。共用スペースにはドリンクや無料の朝食を用意しておくことで、気軽に立ち寄り、宿泊客同士での会話が生まれるように工夫されています。
その他、日本語、英語、中国語などの多言語に対応したAIコンシェルジュ「タビノシオリ(TAVINOSHIORI)」を設置し、近隣情報を取得しやすい環境を整えました。
ミレニアル世代にささるプロモーション・環境の整備
では、具体的にどのようにすればこの「ミレニアル世代」の目を引くことができるのでしょうか。この項目では、「ミレニアル世代」への効果的なプロモーション方法や、「ミレニアル世代」が行きたいと感じるような旅行を作るための方法をご紹介します。
SNSでの宣伝
「ミレニアル世代」への宣伝を検討している人にとっては、最も重要なのは、インターネット上での広告です。
特に、SNS上でつながっている友達やインフルエンサーの情報をキャッチすることで、アクションにつながる可能性が高いといえます。そのため、まずは、誰かが「発信したい」と感じるような情報を作り上げることが重要であるといえます。
SNSを用いた宣伝事例として挙げられるのは、千葉県にある「マザー牧場」です。マザー牧場では、SNSでも人気のカテゴリーにあたる「動物」コンテンツを有していることもあり、多くのフォロワーを抱え、宣伝に繋がっています。
特に、Facebook、Instagram、Twitterといった大手SNSのそれぞれの特徴を捉え、文字数や投稿する内容、文面などを適応させている点も参考になります。
例えば、長文投稿や詳細情報の発信に向いているFacebookではイベント情報などを積極的に流し、Twitterでは簡潔な文章と写真を、Instagramではさらに写真にフォーカスした投稿が意識されています。
Webサイトを用いた観光誘致の例としては、「うどん県」を前面に打ち出した香川県のサイトが挙げられます。 あくまで他県から香川に足を運ぶことを想定し、「大阪から何分」「東京から何分」など、調べている人に寄り添う形で情報がまとめられています。
また、トリップアドバイザーへのリンクが細かくされていることから、気になる情報に関してはすぐにゲットすることができ、地元でも観光消費の促進にもつながっています。
体験型観光の整備
もう一つの「ミレニアル世代」の「モノ」より「コト」消費を重視するという特徴は、インバウンドの呼び込みにおいても重要なポイントになります。
これは観光に置き換えると、ショッピングにお金を使う人よりも、「体験」にお金を使う人が多い傾向にあるということです。
つまり、日本の魅力、日本らしさをアピールするようなアクティビティを積極的に取り入れることで、若い世代の観光への誘致につながる可能性があります。
日本の伝統的な文化に加え、漫画やゲームなどの大衆文化をきっかけに日本に関心を持つ人は増加傾向にあるため、ミレニアル世代の呼び込みにはポップカルチャーのアクティビティによるアプローチも効果的と考えられます。
また、欧米やオーストラリアを中心に、エコへの関心の高まりから、自然とのふれあいや環境問題への取り組みができるエコツーリズムへの注目も高まっています。
エコツーリズムの課題と事例
近年、自然環境の悪化から世界中で注目されているのが「エコツーリズム」です。環境保全の観点から、自然に優しく、その土地の文化や歴史を学ぶ新しいスタイルの観光形態を取り入れる国や自治体も多くなっています。しかし、環境保全と観光を両立させるには難しい部分もあり、エコツーリズムには課題が多く残ります。エコツーリズムの抱える課題と、解決に向けた取り組み例をご紹介します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応...
インバウンドの大きな市場を占めつつあるミレニアル世代
このように、世界の中でも大きな割合を占める「ミレニアル世代」の関心事をいち早くキャッチし、それらを上手く観光客誘致に応用していくことは、重要な視点の一つであるといえます。
特に、今後はこの世代の割合が世界的に増加していくこともあり、インバウンド消費を促すためには、ターゲットにすべき層であるともいえます。
彼らが「デジタルネイティブ」であること、「モノ消費」より「コト消費」を重視することなどを念頭に、情報の発信方法の導入、集客力のあるイベント・アクティビティの開催などを積極的に行っていくことが大切といえるでしょう。
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