外国人にも給付10万円は特別なケース?海外と比較・インバウンド市場への影響

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

4月20日、日本政府は新型コロナウイルスの流行により疲弊した日本経済を活性化させるための経済政策として、全国民に一律10万円を給付することを発表しました。

給付の対象には高所得者、新生児、受刑者、更には日本で暮らしている外国人も含まれるのかどうかが焦点となりましたが、最終的には住民基本台帳に記載されている人全員に給付されることとなったため、高所得者、新生児、受刑者はもちろん、外国人でも在留カードを持っていれば給付金を受け取れることになりました。

一方、世界では多くの国で同様の個人や世帯に対する給付金の支給が実施されていますが、その対象は自国民のみに配布とする国と、外国人も含めた全員に給付とする国で対応が分かれています。

外国人も対象となった今回の給付金は、実はインバウンド回復の鍵を握る争点にもなり得ます。この記事では、給付金の詳細や世界各国の対応について詳しく解説します。


インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)

給付金支給に在留外国人は不安の声

10万円の給付金が決定した当初、外国人でも受け取れるかどうかは発表されていなかったため、日本に居留している外国人からは不安の声も上がっていました。

その後、住民基本台帳に登録されている人は全員が給付の対象となる旨が告知されたため、住民基本台帳に登録のある中長期滞在の外国人や永住権を持つ外国人は給付の対象となりましたが、一部からは短期滞在中など住民基本台帳に登録のない外国人でも給付金を受け取れるよう求める声も上がっています。

住民基本台帳の登録者は全員支給対象に

日本在住の日本国民は、全員が住民基本台帳に登録されており、新生児から高齢者まで年齢を問わず、また生活保護受給者から高所得者まで所得を問わず、更には収監中などの特殊な状況下にある人でも等しく給付金を申請する権利があることになりました。

また、外国人であっても中長期滞在者や永住者など、在留カードの交付を受けている外国人であれば同じく住民基本台帳に登録されているため、国籍にかかわらず給付金を受け取れることになりました。

一方、在留カードの交付を受けていない短期滞在中の外国人や、在留期間を超過して不法滞在している外国人に関しては、今回の給付金は受け取れません。

日本の10万円給付と各国の「新型コロナ対策給付金」現金給付、各業界はどう活かす?

新型コロナウイルスの流行により、世界の経済活動が著しく停滞しています。日本では4月16日に全国へ緊急事態宣言の対象が拡大され、多くの飲食店や娯楽施設が自主休業や営業時間の短縮を実施しています。これにより、各事業者の収益は大幅に減少しており、一部の企業では休業補償を支給した上で従業員を一時帰休させるなど、未曾有の事態への対応に迫られています。そんな中、緊急経済対策として、日本政府は一人あたり10万円を現金給付することを発表しています。世界各国でも現金給付がすでに実施されていますが、その内容は...


SNSではさまざまな意見が交わされている

SNSでは給付金の支給が決まった時点から、外国人滞在者に対する給付の有無が焦点となり、さまざまな意見が交わされていました。

外国人滞在者に対する給付を求めるユーザーは「#外国籍・無国籍市民にも一律給付を」というハッシュタグで意見を述べており、日本で納税している外国人であれば給付金を受け取ってしかるべきという意見や、全国で外出自粛などを要請するからには、日本に居る人全員が給付金を受け取れるようにするべきという意見が見受けられました。

一方、外国人滞在者に対する給付に反対するユーザーからは、日本に居ようとも外国籍であれば国籍のある国がその人を守る責任を持っているという意見も出ていました。

【注意】コロナウイルスは「生物兵器」「日本人は感染しない」のデマ情報がSNSで拡散中

29日に政府が派遣したチャーター機で中国湖北省武漢から206人が帰国したのを皮切りに、第2便、第3便と武漢に在留している日本人が続々と帰国しています。29日の便で帰国した206人の中から3人が新型コロナウイルス(COVID-19)に感染していると発表があり、動揺が広がっています。検査は国立国際医療研究センターで行われました。その結果3人のうち1人は発熱などの症状がありますが、2人には発熱や咳などの症状は確認されていないということです。無症状で新型コロナウイルス(COVID-19)が確認され...

新型コロナ補償、国によって外国人の待遇異なる

外国人に対する支給の有無が争点となっている今回の給付金問題ですが、海外でも国によって外国人に対する経済政策の有無は異なります。

その国の経済への打撃の大きさや外国人の置かれる状況なども補償範囲を決定する要因となっているようです。

アメリカでは不法滞在者も補償対象に

アメリカ・ニューヨーク州は、不法滞在者に対しても1人あたり400ドル(約4万3,000円)の現金給付を実施すると発表しました。これらの不法滞在者は身分証明として用いられる社会保障番号を持っておらず、アメリカ合衆国連邦政府が実施する給付金は受け取れません。

ニューヨーク州には約74万人の不法滞在者が居住しており、接客業、運送業、医療関係など、新型コロナウイルス対策に必要なさまざまな業務にも不法滞在者は従事しているため、これらの重要性に鑑み今回の支給を決定しました。

台湾も外国人対象の給付金を用意

台湾は各国の中でもいち早く新型コロナウイルスの対策に着手しており、国内における感染はほぼ抑え込みに成功しています。そのため経済が受けた打撃も比較的少なく、各国のような一律の現金給付は実施されていません。

しかし、台湾では入国者と帰国者に対し14日間の在宅隔離を命じており、この期間は人と会ったり外出することは許されません。これに対する補償として、政府は在宅隔離の対象となった人に対し1万4,000元(約5万円)の補償金を支給しています。

在宅隔離は台湾人と外国人に等しく求められているため、在宅隔離を命じられた人は国籍を問わず補償金を受け取れます。一方、在宅隔離期間中に許可なく外出した場合、最大で100万元(約360万円)の罰金が科されます。

台湾版「マスクマップ」で混乱を鎮静化:IT大臣の「神対応」でマスク在庫が丸わかり

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、マスクの需要が急激に高まったため、薬局などの店頭でマスクが品薄となっています。同じくマスク不足の台湾では、政府によりマスクの供給が規制され、1人が購入できるマスクを週3枚までとする制限が施行されました。これに伴い、台湾のIT大臣こと唐鳳氏をはじめとする政府役員が各薬局のマスクの在庫をインターネット上に公開しました。この情報を活用して台湾の各エンジニアによりわずか数日で製作された「リアルタイムマスクマップ」は台湾中に普及しており、更に世...


香港は自国民と永住者にのみ給付金を支給

一方、香港でも経済政策として1万香港ドル(約14万円)が支給されることになりました。こちらの給付対象は香港市民か香港に永住権を持つ外国人となっており、香港に長期滞在し身分証を持っている外国人でも、永住権を持たない場合は支給の対象外となります。

香港では、合法的に香港に7年以上居住した外国人に限り永住権の申請ができるため、留学や就職で香港に香港に滞在している外国人の多くは給付金の支給対象からは外れます。

日本はコロナ終息後に行きたい国1位、訪日香港人のニーズは「日本食・買い物・観光」

新型コロナウイルスの感染拡大には、未だ有効な対策がみつからず、各国政府の31日までの発表によれば、全世界の感染者数は50万人を超えています。感染者数ではアメリカが多く、死亡者数ではイタリア、スペインでそれぞれ1万人超、7,000人超と深刻な状況となっています。各国は対策に乗り出し、アジアを含めた多くの国で、外国人の入国や自国民の出国の制限を行っています。観光、ビジネス、親族訪問といった目的のいかんを問わず対象となるため、日本のインバウンド業界も大きなダメージを受けています。全世界で今、経済...


日本政府のコロナ対応が世界での評価を左右

新型コロナウイルスに対する日本政府の対応については、完璧なものではなかったとの声が国内外問わず多く見られています。早期に入国制限を実施しなかったことや、給付金を巡る動きが二転三転していたことなどが、一部からの批判を招いているようです。

一方、10万円の給付金については、住民基本台帳に登録されていれば外国人も含め一律で支給されることになりました。中には不法滞在者も含め全員に支給すべきだ、という意見もありますが、基本的には外国人に対する支給問題は解決されたといえるでしょう。

緊急事態宣言発令の遅さに対する批判も

3月には多くの国が緊急事態宣言を発令した中、日本政府が緊急事態宣言を発令したのは4月7日と時期としては遅れていました。

緊急事態宣言の内容としては外出自粛や店舗の営業時間短縮や営業自粛が含まれていたため、3月の時点で緊急事態宣言を発令していれば現在のような感染拡大は招かなかった、という意見も出ています。

また、当初は大都市圏にのみ緊急事態宣言を発令し、後に全国へと拡大させたことも、混乱を招いたとして批判の対象となっています。

緊急事態宣言が全国に拡大!事業者はどうなる?中小企業には200万、フリーランス・個人事業主には100万円の現金給付

本日4月17日午後6時ごろ、安倍首相は記者会見を行い、緊急事態宣言の範囲を7都府県から全国へと広げた経緯を説明しました。さらに個人や事業者への支援についても言及しました。この記事では、記者会見で言及された支援対策についてご紹介します。目次全国に緊急事態宣言拡大、5月6日まで個人に一律10万円の現金給付事業者には100万から200万円の現金給付全国に緊急事態宣言拡大、5月6日まで安倍首相は、緊急事態宣言の対象区域を当初の7都府県から全国へと範囲を広げました。人の移動については渋谷周辺では約6...


支援物資を送る例などもイメージを左右する

日本は緊急事態宣言発令の遅さなど、新型コロナウイルスの流行に対する対応の遅さで一部からの批判を受けていることは事実ですが、日本の新型コロナウイルスに対する対応は非難されてばかりかというとそうでもありません。

1月29日、武漢に滞在している日本人を帰国させるため、日本政府はチャーター機を武漢へと派遣しました。その中には救援物資としてマスクなどの医療用品が積載されており、これらは無事に武漢の関係者へと届けられました。

また、現在日本の専門家は抗インフルエンザ薬「アビガン」の新型コロナウイルスに対する効果を検証しており、更なる検証が必要とされているものの、現段階で一定の効果を示していることが報道されています。今後アビガンの有用性が証明された場合、現状治療薬が存在しない新型コロナウイルスの治療は大きく前進すると見られており、国際社会からも強く期待されています。

【海外の反応】日本からの支援物資に中国で感謝の声|新型コロナウイルスめぐり

2019年12月29日に政府が派遣したチャーター機で中国湖北省武漢から206人が帰国しました。このチャーター機の往路にて、日本政府からの支援物資として中国国内で品薄状態となっているマスクを運んだといいます。日本各地からも支援物資の提供がすすみつつありますが、それに対し、中国ではSNS上で感謝の声が上がっています。今回は速報として中国SNS上での反応をスクリーンショットでご紹介します。関連記事韓国版「マスクマップ」登場!アメリカ、フランスのディズニーも続々閉鎖!【速報】WHO「新型コロナウイ...

 

コロナ対応がインバウンド回復の鍵を握る

日本政府が発表した一人あたり10万円の給付金は、当初外国人に対する支給の有無が争点となりましたが、最終的には住民基本台帳に登録されていれば国籍を問わず受給できる形となりました。

一方、海外では国により外国人に対する給付の有無は異なっており、アメリカ・ニューヨーク州のように不法滞在者を含めた全ての市民へ給付金を支給する所もあれば、香港のように自国民と永住者のみに給付金を支給する所もあります。

日本政府の対応は一部から批判も浴びていますが、外国人に対する給付を決めたことや中国をはじめとする各国に支援物資を提供していることは、多くの国々から賞賛されてもいます。

今後の在日外国人に対する政策によっては、日本は外国人に対しても自国民と変わらないサポートをする国として国際社会におけるイメージアップにもつながるかもしれません。

あるいは日本で生活する同胞に対して尽くしてくれたとして、在日外国人の出身国の親族や友人が、ぜひ日本を訪れたいと考えるようになるかもしれません。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という非常時だからこそ、民間、政府とわず様々な行動が強く印象に残るタイミングです。今後の政府の対応も、中長期的な観点でインバウンド回復の鍵を握るといえるでしょう。


2025年最新版!インバウンド×デジタルマーケティング戦略【訪日ラボトレンドLIVE スペシャルver.】


2024年も残りわずかとなりました。来年2025年は大阪・関西万博が開催されるほか、中国市場の回復などもあり、今年以上の盛り上がりが予想されています。2025年に向けて、訪日旅行者へ向けたマーケティング戦略を強化していきたいと考えている事業者の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、株式会社movが毎月開催している「訪日ラボトレンドLIVE」をスペシャルver.としてお届け。今こそ知っておきたい「インバウンド×デジタルマーケティング戦略」を徹底解説します!

<本セミナーのポイント>

  • 観光・インバウンドに詳しい専門家3名が登壇!
  • 2025年に向けた「インバウンド×デジタルマーケティング」の戦略や施策について、「深掘り」した情報を「いち早く」「無料で」学べる!
  • 質疑応答の時間もご用意。インバウンドに関する疑問・お悩みについて、専門家から直接「ヒント」を得られる!

詳しくはこちらをご覧ください。

2025年最新版!インバウンド×デジタルマーケティング戦略【訪日ラボトレンドLIVE スペシャルver.】

【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに