日本は10万円給付、世界では?新型コロナ対策の経済支援を比較

公開日:2020年04月21日

新型コロナウイルスの流行により、世界の経済活動が著しく停滞しています。

日本では4月16日に全国へ緊急事態宣言の対象が拡大され、多くの飲食店や娯楽施設が自主休業や営業時間の短縮を実施しています。これにより、各事業者の収益は大幅に減少しており、一部の企業では休業補償を支給した上で従業員を一時帰休させるなど、未曾有の事態への対応に迫られています。

そんな中、緊急経済対策として、日本政府は一人あたり10万円を現金給付することを発表しています。

世界各国でも現金給付がすでに実施されていますが、その内容は国により異なります。

今回は、世界各国で実施されている新型コロナウイルス対策の給付金について、背景事情と共に紹介します。また、現金給付により消費が増大すると予想される業界と、そうでない業界についても解説します。

※以下は2020年4月執筆時点での情報です。
※2020年9月29日追記:7月には、現金10万円の一律給付について、海外で暮らす日本人にも同様給付するよう、有志グループが外務省に要望していますが、実現にはいたっていません。給付金は、2020年4月27日時点で住民基本台帳に記録されている人を対象としています。

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目次

日本では一人あたり10万円の給付が決定

日本では新型コロナウイルス対策として、経済の復興を促すべく一人あたり10万円が現金で給付される見通しとなりました。

給付金を受け取るには申請が必要ですが、申請は郵送を基本とし、マイナンバーカードの保持者に限りオンラインでの申請も受け付けるそうです。

政府は申請を受け付けた後、5月中に給付を始めるべく準備を進めています。

国籍問わず、住民基本台帳に記載のある人全員が対象

10万円の給付が受けられる対象者は、住民基本台帳に記載のある人全員となります。この場合、出生届を提出したばかりの新生児や収監中の受刑者を含めた全ての国民が対象となります。

また、住民基本台帳には在留カードの交付を受けている中長期在留者や特別永住者も登録されているため、これらに該当する外国人も給付金の受け取りを申請できます。

世帯ごとの給付

給付金は、市区町村などの自治体から送付される申請書に口座番号などの必要事項を記入し返送するか、マイナンバーカードを用いればインターネット経由で申請できます。

申請は世帯ごとに受け付けており、給付金も世帯ごとにまとめて振り込まれます。

ただし、虐待や家庭崩壊など諸般の事情により離れて暮らしている人については、事情を聞いた上で個別に給付される予定です。

世界の新型コロナ対策給付金事情を解説

日本では一人あたり10万円が給付される見通しになりましたが、世界各国でも現金の給付をはじめとする各種の支援政策が発表されています。

新型コロナウイルスの流行発生地でもある中国・武漢では、総額約350億円が電子マネーで配布される予定だそうです。香港では一人約14万円、マカオでは一人約20万円が支給されます。

ここでは、中国、香港、マカオそして欧米諸国の給付金について、各国の事情と共に解説します。

中国:武漢で電子マネー総額約350億円の「商品券」を配布

新型コロナウイルスの流行が最初に始まった中国・武漢では、4月8日に都市封鎖(ロックダウン)が解除され、日常生活に戻りつつあります。

公式発表によると、武漢ではこれまでに5万333人が新型コロナウイルスに感染し、うち3,869人が死亡しました。公式発表の数値は過小報告されていたこともあり、一部からは信憑性に疑問の声が出ていますが、現時点で新たな感染爆発(パンデミック)は発生していないようです。

都市封鎖が解除されたばかりの武漢では、疲弊した経済を立て直すため、政府と各電子マネー事業者により23億元(約350億円)が拠出され、AlipayWeChat Payなどの電子決済プラットフォームで、武漢在住の市民にのみ取得可能な形で配布されました。

電子商品券は買い物、食事、旅行など使える用途が限られており、この商品券は4月19日から5月末までの期間、毎週木曜の正午、合計6回配布される予定です。

香港は一人約14万円、マカオは一人約20万円

香港では、一人あたり1,300USドル(約14万円)の現金給付が実施される見通しです。当初は比較的早い段階での給付が予想されていましたが、実際の給付は7月から9月頃までずれ込む見通しとなりました。

カジノで有名なマカオでも、今回の新型ウイルス流行で大きな打撃を受けています。高所得者や公務員以外の就労者一人あたり1万5,000パタカ(約20万円)を支給することが決まっています。同時に一人あたり5,000パタカ(約6万7,000円)の電子商品券を配布し、消費の喚起を狙っています。

同じくアジアで中国からの観光客も多い台湾ですが、今回の新型コロナウイルスについては比較的早期に抑えることに成功したといわれており、航空業界や観光業界など一部を除いて現在でも普段通りの経済活動が続いています。

こうした背景からか、香港やマカオのような大型の現金給付政策は実施されませんが、一人あたり毎月最大1,000台湾ドル(約3,600円)を上限にクーポン券を発行する予定です。企業に対しては、従業員に支払う月給の最大4割を助成するなど、総計1兆500億台湾ドル(約3兆7,600億円)の支援を実施する方針です。

欧米では?アメリカは一人約13万円、ドイツではフリーランスへの支援も

4月18日時点の新型コロナウイルスの感染者は、アメリカでは71万人超え、ドイツでは14万人超え、イギリスでは10万人超えとなっており、非常に厳しい状況になっています。

アメリカでは、大人一人あたり最大1,200米ドル(約13万円)、子供一人あたり500米ドル(約5万5,000円)の現金給付が決定しています。

給付は銀行口座に振り込まれるか小切手として送付されます。所得が年間約810万円を超える場合には減額があり、また一定の額を超えると支給されません。

首都ベルリンで3月22日からロックダウンが実施されているドイツの場合、ロックダウン翌日の3月23日に中小企業支援策を発表しています。これには企業や事業者に最大9,000ユーロ(約106万円)の支給が含まれます。

またベルリンではフリーランスに対する5,000ユーロ(約59万円)の支給が決まり、ドイツではフリーランスビザで滞在中の外国人も給付の対象に含まれており、ウェブサイトでの申請から2日程度で口座に振り込まれるそうです。

イギリスではフリーランスに対する現金給付は実施されず、予想所得の最大8割を休業補償として補填されることを決定しています。

現金給付の恩恵、消費意欲の増大を各業界はどう取り込むべきか

アメリカやドイツなど、一部の国では既に現金の給付が始まっていますが、現金の支給を受けた人々はどのような業界で消費活動を展開するのでしょうか。

日本では、現金給付が決定したことを受けてTwitter上で「#給付される10万円どう使う」というハッシュタグが人気となっており、多くのユーザーが10万円の使い道について議論を繰り広げていました。

ここでは、今回の現金給付政策により、消費が増大する業界と、消費取り込みに工夫が必要となる業界について整理します。

ECプラットフォームは売上に期待:家電や家具に商機の可能性も

現金給付が実施されても、新型コロナウイルスの感染拡散がまだ収束しない地域も多くなっています。アメリカでもニューヨーク州などはいまだに都市封鎖が続きます。

このような状態で現金の給付を受けた場合、最も手軽な消費先はネットショッピングなどのECです。

オンラインショッピングサイトであれば外出することなく必要なものが手に入り、都市封鎖の中でも買い物が楽しめます。そのため、現状最も恩恵を受けられるのはECプラットフォームであるといえるでしょう。

中国では感染拡大時、拼多多が割引キャンペーンの対象商品に「感染予防品」を加えるなど、今売れるであろう商品を見極め、販売を強化しています。また、アリババが違反商品の自動パトロールなどの機能を活かして不正販売されていたマスクを販売停止したり、京東が無人配送技術を活用し医療物資の配送に貢献したりと、これまで構築してきた強みを発揮する機会にもなっているようです。

日本でもマスク、消毒用品の品薄や高額転売、配送の遅れなどが起こっています。中国の対策を参考にしつつ、需要に供給が追い付くような態勢づくりに努めるべきでしょう。

また、この時期だからこそ売れるものを見極め、準備することも大切です。自宅にいる時間が増えており、インテリアやエクステリア、家電、調理関連の領域に関心が高まっていると考えられます。こうしたアイテムと合わせて、自社商品をどのように訴求していくか戦略を練るべきタイミングともいえます。

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観光業界や外食業界はどのように戦う?

観光業界や外食業界など、外出を伴う形での消費が一般的な業界は、現金給付の恩恵をすぐには受けられないと考えられます。

新型コロナウイルスの流行後、世界の航空路線は大幅に減便されています。多くの国が外国人の入国禁止や入国後の隔離措置を求めている現在、海外旅行は事実上不可能です。また同時に国内旅行の需要も大幅に縮小しています。

旅行のみならず普段の外出も自粛が叫ばれている中では、観光に行くだけでなく近所のレストランで食事をすることも難しい状況です。多くの飲食店も持ち帰りのみの営業に切り替えており、たとえ消費者が現金給付を受けても、観光業界と外食業界に大きな利益が出ることは期待できません。

ただし、飲食店は食品のテイクアウトやデリバリーという形で商品の販売を継続する道もあります。どのようなシーンで購入してもらえるか、現状に即した提案をしていくとよいでしょう。

観光施設においても、直接足を運んでもらう以外の形で商品を展開する道をみつけだせれば、今回の現金給付による消費拡大の恩恵を受けることができるはずです。

5月から順次給付、オンライン化で消費意欲を取り込む

現金給付を実施する国や休業補償などの政策に留まった国など、新型コロナウイルスに関する政策は各国で異なりますが、日本では現金給付が5月から始まる見通しです。

緊急事態宣言は5月6日まで続く予定ですが、今後の状況によってはさらに延長される可能性もあります。外出自粛の中でどのように消費需要が変化するか、またそのニーズをどのように満たしていくか、事業者には発想の転換や決定力が問われています。

今後は助成金や融資を活用しつつ、サービスのオンライン化といった時世に即した対応を早急に進めていくことが、今回の現金給付による消費意欲の拡大を効率的に取り込むための第一歩となるでしょう。

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<参照>

AFP:https://www.afpbb.com/articles/-/3278569

Bloomberg:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-06/Q8CIF1DWRGG801

FNN:https://www.fnn.jp/articles/-/33355

HUFFPOST:https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e990aafc5b63639081bf712

HUFFPOST:https://www.huffingtonpost.jp/entry/story-germany-freelance_jp_5e96c524c5b6ead14004eb96

NHK:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200418/k10012393961000.html

中央通訊社:https://www.cna.com.tw/news/firstnews/202004025003.aspx

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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