日本の新型コロナ対策、10万円給付「外国人も対象」は世界の標準対応?国際社会でのイメージアップにつながるか

公開日:2020年04月28日

4月20日、日本政府は新型コロナウイルスの流行により疲弊した日本経済を活性化させるための経済政策として、全国民に一律10万円を給付することを発表しました。

給付の対象には高所得者、新生児、受刑者、更には日本で暮らしている外国人も含まれるのかどうかが焦点となりましたが、最終的には住民基本台帳に記載されている人全員に給付されることとなったため、高所得者、新生児、受刑者はもちろん、外国人でも在留カードを持っていれば給付金を受け取れることになりました。

一方、世界では多くの国で同様の個人や世帯に対する給付金の支給が実施されていますが、その対象は自国民のみに配布とする国と、外国人も含めた全員に給付とする国で対応が分かれています。

外国人も対象となった今回の給付金は、実はインバウンド回復の鍵を握る争点にもなり得ます。この記事では、給付金の詳細や世界各国の対応について詳しく解説します。


在留外国人の間では不安の声も上がっていた

10万円の給付金が決定した当初、外国人でも受け取れるかどうかは発表されていなかったため、日本に居留している外国人からは不安の声も上がっていました。

その後、住民基本台帳に登録されている人は全員が給付の対象となる旨が告知されたため、住民基本台帳に登録のある中長期滞在の外国人や永住権を持つ外国人は給付の対象となりましたが、一部からは短期滞在中など住民基本台帳に登録のない外国人でも給付金を受け取れるよう求める声も上がっています。

住民基本台帳の登録者は全員支給対象に

日本在住の日本国民は、全員が住民基本台帳に登録されており、新生児から高齢者まで年齢を問わず、また生活保護受給者から高所得者まで所得を問わず、更には収監中などの特殊な状況下にある人でも等しく給付金を申請する権利があることになりました。

また、外国人であっても中長期滞在者や永住者など、在留カードの交付を受けている外国人であれば同じく住民基本台帳に登録されているため、国籍にかかわらず給付金を受け取れることになりました。

一方、在留カードの交付を受けていない短期滞在中の外国人や、在留期間を超過して不法滞在している外国人に関しては、今回の給付金は受け取れません。

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SNSではさまざまな意見が交わされている

SNSでは給付金の支給が決まった時点から、外国人滞在者に対する給付の有無が焦点となり、さまざまな意見が交わされていました。

外国人滞在者に対する給付を求めるユーザーは「#外国籍・無国籍市民にも一律給付を」というハッシュタグで意見を述べており、日本で納税している外国人であれば給付金を受け取ってしかるべきという意見や、全国で外出自粛などを要請するからには、日本に居る人全員が給付金を受け取れるようにするべきという意見が見受けられました。

一方、外国人滞在者に対する給付に反対するユーザーからは、日本に居ようとも外国籍であれば国籍のある国がその人を守る責任を持っているという意見も出ていました。

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国によって異なる外国人への補償範囲

外国人に対する支給の有無が争点となっている今回の給付金問題ですが、海外でも国によって外国人に対する経済政策の有無は異なります。

その国の経済への打撃の大きさや外国人の置かれる状況なども補償範囲を決定する要因となっているようです。

アメリカでは不法滞在者も補償対象に

アメリカ・ニューヨーク州は、不法滞在者に対しても1人あたり400ドル(約4万3,000円)の現金給付を実施すると発表しました。これらの不法滞在者は身分証明として用いられる社会保障番号を持っておらず、アメリカ合衆国連邦政府が実施する給付金は受け取れません。

ニューヨーク州には約74万人の不法滞在者が居住しており、接客業、運送業、医療関係など、新型コロナウイルス対策に必要なさまざまな業務にも不法滞在者は従事しているため、これらの重要性に鑑み今回の支給を決定しました。

台湾も外国人対象の給付金を用意

台湾は各国の中でもいち早く新型コロナウイルスの対策に着手しており、国内における感染はほぼ抑え込みに成功しています。そのため経済が受けた打撃も比較的少なく、各国のような一律の現金給付は実施されていません。

しかし、台湾では入国者と帰国者に対し14日間の在宅隔離を命じており、この期間は人と会ったり外出することは許されません。これに対する補償として、政府は在宅隔離の対象となった人に対し1万4,000元(約5万円)の補償金を支給しています。

在宅隔離は台湾人と外国人に等しく求められているため、在宅隔離を命じられた人は国籍を問わず補償金を受け取れます。一方、在宅隔離期間中に許可なく外出した場合、最大で100万元(約360万円)の罰金が科されます。

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香港は自国民と永住者にのみ給付金を支給

一方、香港でも経済政策として1万香港ドル(約14万円)が支給されることになりました。こちらの給付対象は香港市民か香港に永住権を持つ外国人となっており、香港に長期滞在し身分証を持っている外国人でも、永住権を持たない場合は支給の対象外となります。

香港では、合法的に香港に7年以上居住した外国人に限り永住権の申請ができるため、留学や就職で香港に香港に滞在している外国人の多くは給付金の支給対象からは外れます。

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今後の日本政府の対応次第によって、世界からの見られ方が変わる

新型コロナウイルスに対する日本政府の対応については、完璧なものではなかったとの声が国内外問わず多く見られています。早期に入国制限を実施しなかったことや、給付金を巡る動きが二転三転していたことなどが、一部からの批判を招いているようです。

一方、10万円の給付金については、住民基本台帳に登録されていれば外国人も含め一律で支給されることになりました。中には不法滞在者も含め全員に支給すべきだ、という意見もありますが、基本的には外国人に対する支給問題は解決されたといえるでしょう。

緊急事態宣言発令の遅さに対する批判も

3月には多くの国が緊急事態宣言を発令した中、日本政府が緊急事態宣言を発令したのは4月7日と時期としては遅れていました。

緊急事態宣言の内容としては外出自粛や店舗の営業時間短縮や営業自粛が含まれていたため、3月の時点で緊急事態宣言を発令していれば現在のような感染拡大は招かなかった、という意見も出ています。

また、当初は大都市圏にのみ緊急事態宣言を発令し、後に全国へと拡大させたことも、混乱を招いたとして批判の対象となっています。

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支援物資を送る例などもイメージを左右する

日本は緊急事態宣言発令の遅さなど、新型コロナウイルスの流行に対する対応の遅さで一部からの批判を受けていることは事実ですが、日本の新型コロナウイルスに対する対応は非難されてばかりかというとそうでもありません。

1月29日、武漢に滞在している日本人を帰国させるため、日本政府はチャーター機を武漢へと派遣しました。その中には救援物資としてマスクなどの医療用品が積載されており、これらは無事に武漢の関係者へと届けられました。

また、現在日本の専門家は抗インフルエンザ薬「アビガン」の新型コロナウイルスに対する効果を検証しており、更なる検証が必要とされているものの、現段階で一定の効果を示していることが報道されています。今後アビガンの有用性が証明された場合、現状治療薬が存在しない新型コロナウイルスの治療は大きく前進すると見られており、国際社会からも強く期待されています。

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今後の対応がインバウンド回復の鍵を握る

日本政府が発表した一人あたり10万円の給付金は、当初外国人に対する支給の有無が争点となりましたが、最終的には住民基本台帳に登録されていれば国籍を問わず受給できる形となりました。

一方、海外では国により外国人に対する給付の有無は異なっており、アメリカ・ニューヨーク州のように不法滞在者を含めた全ての市民へ給付金を支給する所もあれば、香港のように自国民と永住者のみに給付金を支給する所もあります。

日本政府の対応は一部から批判も浴びていますが、外国人に対する給付を決めたことや中国をはじめとする各国に支援物資を提供していることは、多くの国々から賞賛されてもいます。

今後の在日外国人に対する政策によっては、日本は外国人に対しても自国民と変わらないサポートをする国として国際社会におけるイメージアップにもつながるかもしれません。

あるいは日本で生活する同胞に対して尽くしてくれたとして、在日外国人の出身国の親族や友人が、ぜひ日本を訪れたいと考えるようになるかもしれません。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という非常時だからこそ、民間、政府とわず様々な行動が強く印象に残るタイミングです。今後の政府の対応も、中長期的な観点でインバウンド回復の鍵を握るといえるでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!