鹿児島県のインバウンド対策|外国人観光客の現状・県による取り組み・観光地における事例

公開日:2020年04月27日

鹿児島県は日本の南の玄関口であり、韓国や中国、台湾といった近隣の国々からの訪日外国人を多く受け入れています。

雄大な自然や個性ある文化をもつ鹿児島県では、「観光立県かごしま」として県を挙げた観光振興が推し進められており多くの観光客を取り入れる動きを行っています。

この記事では、鹿児島県におけるインバウンドの現状や事業者のインバウンド対策と事例について紹介します。


鹿児島県におけるインバウンドの現状

まずは、鹿児島県におけるインバウンド受入れ状況について、現状を数字から振り返りターゲットとなる国籍やインバウンド消費の傾向を押さえます。鹿児島県には近隣国からの顧客が多く訪れる傾向にあります。

鹿児島県のインバウンド需要

九州最南端で温暖な気候の鹿児島県は、桜島や屋久島など豊かな自然を求めて国内外から観光客が訪れます。

近年はインバウンド需要が大きく伸びており、2015年に214,810人であった延べ外国人宿泊者数は2018年には4倍弱の830,540人にまで伸びて全国20位、平均宿泊日数は3.6泊となりました。また、1人が1回当たりに旅行で消費する金額は52,807円で全国第12位です。

鹿児島県のインバウンド需要

訪日外国人の訪問率、訪問数、およびインバウンド宿泊人泊数などは全体的に全国平均と近しい、またはそれ以上のインバウンド需要をもつ鹿児島県。

前年比21.4%増

訪日外国人観光客に人気の旅行先は、以前であればゴールデンルートに偏っていましたが、最近では 地方にもスポットライトが当たり始めています。 このような状況の中、訪日外国人観光客は、何を目当てに地方を訪問しているのでしょうか。日本政策投資銀行では、2017年6月に南九州(宮崎県・鹿児島県)に関するインバウンド観光レポートDBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(南九州版)をリリースしており、南九州(宮崎県・鹿児島県)を訪れる訪日外国人観光客の実態を紹介しています。本資料をも...


国・地域別の訪問率

2018年の鹿児島県の国・地域別の訪問率は多い順に韓国30.01%、香港24.87%、台湾18.54%、中国10.68%と並び、この上位4か国で訪問者の約85%を占めます。

いずれの国籍も前年度より延べ宿泊者数が増加しており、鹿児島県は韓国・香港・台湾の各国からの空路が増便されたことや、中国の個人旅行需要の盛り上がりが要因となって訪鹿につながっていると分析しています。

特に韓国からの旅行者は、2017年に80,360人であったものが2018年には173,050人と前年比215%と大きな伸びを見せており、2017年11月にイースター航空が就航したことを受けたものとみられます。

インバウンド対応状況

インバウンド向け施設の充実度合いの観点からみると、Japan Free Wi-Fiが1,684施設で全国34位、外国人観光案内所が13施設で全国38位と、他の都道府県と比べ高いとは言えません。

一方で、おもてなし事業者登録件数は327件(全国23位)、免税店舗数も473店舗(全国20位)と民間事業者のインバウンド対応は比較的進んでいる状況です。なお、鹿児島県では「観光立県かごしま」のもとに観光施策に力を割いており、今後の対応状況は向上すると考えられます。

「観光立県かごしま」の実現へ向けた取り組み

ここからは、具体的な取り組み事例を紹介します。まずは行政が主導する観光施策です。県では「観光立県かごしま」と題し、観光の促進を通じて県の活性化を目指し、多くの取組みを展開しています。

「観光立県かごしま」とは

鹿児島県では「観光立県かごしま」を掲げています。この施策は、すそ野の広い観光産業の盛り上がりを通じ、県下の経済や暮らしへの好循環をもたらしたい考えをもとに作成されており、観光を通じた地域振興を目指しています。

鹿児島県が直面する過疎化や高齢化の問題に対し、雄大な自然や豊かな文化といった県の持つ強みを活かし「住んでよし、訪れてよし」の地域への変革を進めます。

そのために宿泊者数を伸ばすことや、観光客の満足度アップ 、リピーターを増加させることを目的とし、様々なプランが策定されています。

県が掲げるインバウンド対策

鹿児島県はインバウンド対策に前向きな取り組みを続けており、「観光立県かごしま」を実現するにあたり、増加する訪日客を取り込むことは重要な位置づけととらえています。

特に経済成長の著しいアジア地域を中心ターゲットとして鹿児島県の魅力を発信し、外国人観光客対象の誘客活動を展開しています。

あわせて滞在体験の向上にも努め、「おもてなし先進県鹿児島」づくりを推進します。これは、観光地のインフラの充実、鹿児島の魅力を語れる人材や観光ボランティアガイドなどの育成などが主な施策です。

【補助金】上限30万 外国語表記やWi

鹿児島県では、海外観光客の受入体制の充実を図るため、外国語表記や公衆無線LANなどの環境整備を支援しており、こうした環境整備のために、海外観光客の受入体制整備の助成制度を設けています。今回はこの、鹿児島県の「海外観光客受入体制整備費助成事業」についてご紹介しましょう。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的なインバウンドプロモーションの資料を無料でダウンロードする「インバウンド動画プロモーション」の資料を無料でダウンロードする「インフルエンサープロモーション」の資料を...

実際の取り組み

鹿児島県は2009年に制定した「観光立県かごしま条例」にもとづき、鹿児島県の魅力を高める各種取組みを継続してきました。

世界遺産登録もそのひとつです。2015年には鹿児島県に存在する明治期の製鉄・製鋼、造船、石炭産業遺産群が「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録されました。

また、鹿児島県が2009年に県の活性化を目指し制定した「観光立県かごしま条例」にはインバウンドの強化も含まれ、県全体の魅力向上とあわせて海外の誘客事業を継続してきました。

鹿児島県は2016年度まで展開してきた外国人受入れ体制整備事業「YÔKOSO!KAGOSHIMA事業」に引き続き、2017年より「外国人観光客受入体制整備事業」と題してさらに訪日外国人の受け入れを進めています。

英語版のパンフレット作成や、多言語対応の観光情報アプリを開発して情報を発信することで、外国人にも県内の観光地の魅力を簡単に得られるよう、発信力の強化を図っています。

誘客面では、韓国、中国、香港、台湾での現地セールスやアジア主要都市との交流会議を設けるなど、特にアジア圏を対象としたPRに注力しています。

あわせて、包括的に訪日外国人受入れ環境の向上に向け、観光案内板の設置、県内の観光事業者対象の研修、接客マニュアルの作成・配布などが展開されています。

鹿児島県におけるインバウンド対策事例

続いては、鹿児島県内の事業者等によるインバウンド事例を紹介します。県内トップ3にランクインする観光地である桜島や仙厳園には外国人観光客が多く訪れます。これらのスポットでは外国人目線でのマーケティングやコンテンツ開発により、魅力の向上がはかられています。

外国人に人気の観光地3選と、訪日香港人に人気「鹿児島水族館」

鹿児島市観光消費額調査によると、鹿児島県で外国人の注目を集めるのが、桜島、城山展望台、仙厳園であり、訪問先のトップ3に輝きます。

特に桜島は国籍を問わず人気で、外国人観光客全体の訪問率は8割近くにのぼるとのデータもあります。また城山展望台、仙厳園にはそれぞれ外国人観光客の4割以上が訪れているそうです。

訪問先第4位のかごしま水族館は、香港からの観光客やリピーターによく支持され、鹿児島を訪れる香港人の4割近くが訪問しているといいます。

また、県内を周遊する場合には鹿児島市内+指宿、霧島のルートを巡るケースも多数見られるそうです。

桜島におけるインバウンド対策

桜島は鹿児島県で最も外国人観光客の人気を集めるスポットです。噴煙が立ち上る様子は鹿児島市内からも近くに望めます。

桜島の強みは、なんといっても活動中の火山でありながら、都市のそばにありフェリーで15分とアクセス良好であることです。

桜島の旅行会社では香港のブロガーを対象にモニターツアーの受け入れており、中でも温泉掘り体験が好評です。温泉掘り体験は、温泉が湧くポイントに赴き自らの手で温泉を掘り当てるもので、体験の印象深さと写真映えの双方を満たせることが人気の理由です。

一般の観光客向けにも、タオルとスコップ、周辺地図の温泉掘りセットを販売しています。ガイドなしで体験でき、事前予約不要で価格も手ごろなことから外国人から人気を集めています。

島全体でも外国人受入れの充実が図られており、島内の観光に便利な周遊バスのパンフレットは英語版と中国語版が用意されています。

火山観光には噴火の危険がつきまといます。鹿児島市などが実施する大規模噴火を想定した防災訓練においては、外国人被災者が発生することを前提とし、英語・中国語・韓国語でも防災無線の避難指示を放送しています。

仙厳園におけるインバウンド対策

江戸時代に島津家によって築かれた仙厳園は、世界遺産のひとつであり日本を代表する大名庭園です。別邸や迎賓館として利用された御殿が現存し、桜島を望む庭園に点在する日本の近代化遺産も見どころです。

2019年、ワールドトラベルマーケット主催の世界最大級の旅行祭典のひとつ「International Travel & Tourism Awards」において、仙厳園は 「Best Attraction」(ベストアトラクション)部門の銀賞を受賞しました。

仙厳園では英国人広報マネージャーが主導し、外国人のニーズを汲んだ施策が展開されています。日本史に詳しくない外国人にも興味を持てるよう切り口を変え、”本物”を背景込みで楽しめるよう工夫を凝らしています。

「観光立県かごしま」の実現へ

鹿児島県において観光産業は地域振興のカンフル剤として期待されています。特に外国人観光客数は急増しており、韓国・香港・台湾・中国といった東アジア諸国からの旅行者が多くなっています。

県行政は「観光立県かごしま」を掲げ、観光プロモーションや受け入れ態勢づくりが進められています。各観光地においても外国人目線でのコンテンツ開発が展開され、高く評価されています。

鹿児島県には2つの世界遺産をはじめ、豊かな食や温泉など個性的な観光資源にあふれています。増加するインバウンド需要を県全体で享受するためにも、最前線となる個々の事業者における魅力の再発見や見せ方の工夫が重要であると考えられます。

今後も世界遺産の活用や観光地の充実が図られる見込みで、鹿児島県のインバウンド市場の成長が期待されます。


<参照>

鹿児島県:観光統計

鹿児島県PR・観光戦略部観光課:平成30年鹿児島県の観光の動向~鹿児島県観光統計~

PRTIMES:鹿児島の「仙巌園」世界Best Attraction Award銀賞受賞

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!