東京オリンピックの開会式は2021年7月23日(金)に予定されています。
オリンピックの開会式・閉会式では、開催地の魅力をアピールするパフォーマンスや、オリンピックの理念である平和をイメージした演出が施されてきました。
東京オリンピックでは、「平和」「共生」をはじめとする8つのメッセージが式典のコンセプトに決定しており、狂言師の野村萬斎氏ら専門家やアーティストからなる「東京2020 開会式・閉会式 4式典総合プランニングチーム」が演出に携わります。
多くの芸術家が携わる東京オリンピックの開会式・閉会式では、上記のコンセプトがどのように反映されるのでしょうか。
本記事では、東京オリンピックの意義や見どころ、スケジュールなどをお伝えします。
※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年程度の延期が決定しました。
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オリンピック開会式・閉会式の概要/「平和の祭典」表現する役割担う
オリンピックの開会式・閉会式は、IOCが採択した「オリンピック憲章」の規定に沿って実施されます。
オリンピック憲章に記されている規定は、「オリンピズム」と呼ばれる概念に基づいて制定されたものです。オリンピズムとは、「文化や教育・スポーツを一つのまとまりとして捉える考え方」を指します。
このオリンピズムという概念は、スポーツを通して文化・国籍などの差異を超え、平和でよりよい社会作りに貢献するという目的のもとに提唱されました。
オリンピズムの概念に基づいて実施される開会式・閉会式は、大会の開始と終了を宣言するだけでなく、オリンピック大会が持つ「平和の祭典」の側面を表現するための役割も担っています。
東京オリンピックの開会式・閉会式のコンセプト
東京オリンピックでは、大会全体のビジョンと開会式・閉会式におけるコンセプトがそれぞれ設定されています。
この項目では、東京オリンピックそのものの開催意義やビジョン、そして開会式・閉会式におけるコンセプトをご紹介します。
歴史的意義、社会的意義
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が、2017年末に発表した「東京2020年大会開会式・閉会式に関する基本コンセプト最終報告」では、東京オリンピックの開催意義として、「歴史的意義」「社会的意義」が挙げられています。
「歴史的意義」には、物質的な豊かさから精神的な豊かさを求める社会の実現や持続可能な社会の実現に向け、変わる価値観や文化の遷移を象徴する大会にしたいといったねらいが込められています。
上記の意義を掲げる理由として、経済的に成熟した日本は他国より早くさまざまな課題に直面しているため、国際社会に先立って解決策を掲示する責任があるという背景が紹介されています。
いっぽう、東京オリンピックを開催する「社会的意義」としては、国籍や障がいの有無などの立場を問わず、あらゆる人の参加意識を高めること、そして世界平和の実現に貢献することなどが挙げられています。
また、日本だけではなくアジアの発展のために、世界にメッセージを発信していくことも社会的意義だと説明されています。
なお、同報告書には、東京オリンピックが目指す大会全体を通してのビジョンもまとめられています。
同報告書によると、2021年東京五輪のビジョンは、「すべての人が自己ベストを目指し(全員が自己ベスト)」、「一人ひとりが互いを認め合い(多様性と調和)」、「そして、未来につなげよう(未来への継承)」の3つです。
開会式・閉会式の位置づけ
東京オリンピック・パラリンピックの開会式・閉会式は、起承転結を参考にした4部作として構成されています。
オリンピック開会式は起承転結の「起」の部分にあたり、大会の歴史的意義・社会的意義やビジョンをアピールしつつ、オリンピック幕開けの式典として世界から集うアスリートや観客を迎えます。
オリンピック閉会式の位置付けは「承」にあたり、競技を終えた選手たちを称えます。閉会式の観客も巻き込んで会場の一体感を盛り上げること、そして次の世代に受け継いでいくべき価値を示すことも目的に含まれています。
また、オリンピック閉会式には、会場の熱気・興奮をパラリンピック開会式の「転」につなげるというねらいもあります。
パラリンピック閉会式では4部作を締めくくる「結」の役割が与えられており、オリンピック・パラリンピックの式典をあわせて「起承転結」と考える構成です。
開会式・閉会式のコンセプト
東京オリンピックの開会式・閉会式のコンセプトは、「平和」「共生」「復興」「未来」「日本・東京」「アスリート」「参画」「ワクワク感・ドキドキ感」の8つです。
上記のコンセプトは大会の意義やビジョンを踏まえた上で打ち出され、専門家や国民の意見も踏まえて決定しました。
「東京2020大会開会式・閉会式に関する基本コンセプト最終報告」によると、それぞれのコンセプトがもつメッセージは下記のように定義されています。
- 平和:和を尊ぶ考え方が、分断や対立を超えた世界につながること。
- 共生:多様な違いを認め合い、支え合い、活かし合うことで、新しい価値を生み出す共生社会を目指すこと。
- 復興:自然災害を乗り越え、諦めることなく次代を創ろうとする姿を示し、世界の人々への勇気へとつなげる。
- 未来:持続可能で、人間性豊かな、新しい時代のスタートラインとする。
- 日本・東京:歴史の中で培われ、今も生きる日本・東京の美しい感性を大切にする。
- アスリート:スポーツの祭典として、主役のアスリートが安心して参加できる式典を目指す。
- 参画:多くの人々が自分も式典に関わっていると感じられるような、みんなでつくる式典を目指す。
- ワクワク感・ドキドキ感:熱気や興奮が感じられ、一生に一度の体験となるような機会とする。
東京オリンピック開会式・閉会式の見どころ
東京オリンピック開会式・閉会式の見どころは、式典の演出とメッセージ性です。式典の演出を総合統括するのは、狂言師の野村萬斎氏です。伝統芸能とゆかりのある野村氏が演出を担当するため、パフォーマンスには日本の伝統芸能が盛り込まれるのではないかとも期待されています。
開会式と閉会式の演出を手掛ける「東京2020 開会式・閉会式 4式典総合プランニングチーム」には、野村氏のほか、「ALWAYS 三丁目の夕日」などで知られる映画監督・山崎貴氏や歌手の椎名林檎氏、「Perfume(パフューム)」の振り付けを手がける演出振付家・MIKIKO氏ら計7名が参画しています。
多くの芸術家が携わる式典のパフォーマンスで、「平和」「共生」「復興」をはじめとする8つの開会式・閉会式のコンセプトがどのように盛り込まれるかが見どころといえるでしょう。
東京オリンピック開会式・閉会式のスケジュール
東京オリンピック開会式は2020年7月24日(金)に、開会式は8月9日(日)に実施される予定でした。
開催延期により、開会式は2021年7月23日(金)に、閉会式は8月8日(日)に実施されます。
開会式・閉会式の開催時刻はいずれも20時〜23時です。
開催場所には、陸上競技の開催にも利用される、東京都新宿区にある新国立競技場(オリンピックスタジアム)を使用する予定です。
東京オリンピック延期でチケットは払い戻し受け付けの方向 希望者対象、開始は秋以降の方針
2020年3月24日夜、安倍首相と国際オリンピック委員会(IOC)バッハ会長の間で電話会談が開かれ、2020年東京オリンピック、パラリンピックを1年程度延期する方針で一致したことが伝えられました。新型コロナウイルスの世界的感染拡大は収束が見えず、3月24日時点で合計33万1,129人が感染、1万4,462人の死亡が伝えられています。こうした状況を受け、両大会延期の方針となりました。2020年7月17日と8月3日にはそれぞれ、延期された東京オリンピック、パラリンピックの日程が発表されました。...
オリンピック大会を盛り上げ、世界にメッセージを発信していく開会式・閉会式
オリンピックの開会式・閉会式には、大会の開始と終了を宣言する役割があるだけではなく、オリンピックの基本概念である「オリンピズム」を象徴する意義もあります。
過去に開催されたオリンピックの式典では、オリンピズムの概念に沿った上で、各開催地がオリジナリティに溢れるパフォーマンスを披露してきました。
東京オリンピックで披露される式典の演出には、伝統芸能・映画・音楽など様々な方面で活躍する専門家が携わっていることもあり、開会式・閉会式のパフォーマンス内容にも期待が高まっています。
今回のオリンピックでは、オリンピック全体を通してのコンセプトである「平和」や、開催国である日本らしさがどのように伝えられるのか、注目です。
<参考>
日本オリンピック委員会:オリンピック憲章
OLYMPIC CHANNEL:オリンピックの歴史を彩った10の開会式~IOCオリンピック公式チャンネル日本語版編集部が厳選~
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会:東京2020大会開会式・閉会式に関する基本コンセプト最終報告
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会:開会式・閉会式
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会:開会式・閉会式 スケジュール
OLYMPIC CHANNEL:17日間の祭典・東京オリンピック 開閉式の演出にも注目! 各競技日程も決定
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