新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年3月の訪日旅行者数は前年同月と比べ93%激減し、インバウンド業界に大きな衝撃を与えました。日本国内でも外出自粛や緊急事態宣言の発令が出され、各業界で売上の減少などダメージを受けています。
そのような中、老舗百貨店の伊勢丹を経営する三越伊勢丹ホールディングスが、VR空間で開催される「バーチャルマーケット」に初めて出店しました。
今回の記事では、先行きへの不安を打開する手がかりの1つとしての、バーチャルリアリティ(VR)について紹介します。
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伊勢丹が出店するバーチャルマーケットとは?
バーチャルマーケットは、来場者が会場に展示されたアバターなどの3Dアイテムや、リアル商品(洋服、PCなど)を売り買いできるイベントです。世界最大級のVR技術を用いたイベントとして注目を集めています。
バーチャル空間上で乗り物に乗ったり、映像を見たり、来場者間でコミュニケーションを楽しむことができます。
「バーチャルマーケット4」は、4月29日〜5月10日の期間で開催されました。同イベントでは、バーチャル上の会場(ワールド)で企業や個人(サークル)が、3Dアバターや、PC、VR機材、衣類、文具、各種キャラクターグッズ、音楽、イラストなど、様々商品を販売・宣伝ました。
そのうち、東京をモチーフにした「パラリアルトーキョー」会場では、伊勢丹やWEGO、ネットフリックスなど様々な企業が出店しています。
今回のイベントは2019年と比べてさらに規模を拡大し、オンライン上の来場者は100万人になる見通しが伝えられていました。
新型コロナウイルスの影響で外出自粛が求められ店舗集客が苦しい状況の中、VRを利用した打開策となるのではと注目されています。
2020年12月19日から2021年1月10日には「バーチャルマーケット5」の開催が予定されています。
百貨店に大打撃、新型コロナが「対面」での価値提供シーンを奪う
日本百貨店協会が先月24日に発表した3月の全国百貨店売上高によると、全国の百貨店(74社・205店)の売上総額は3,403億円に下回り、前年同月比33.4%減少しました。
これは新型コロナウイルスによる営業時間短縮や臨時休業、及びインバウンドの激減で、6ヶ月連続マイナス、過去最大のマイナス幅となりました。
4月7日の緊急事態宣言発令以降、臨時休業や営業時間短縮の動きはさらに全国に広がっており、4月は3月以上の落ち込みが予想されています。
百貨店のほか、対面サービスを提供しているインバウンド関連業界も封じられ、先行きへの不安と苦戦しています。
VR×観光がウィズコロナ時代の旅行者に届ける新しい価値
新型コロナウイルスの震源地となった中国では、VR技術の導入が進んでおり、医療現場では診察や面会の場面で活用されたそうです。
医療現場だけでなく、観光業界でもVR技術を応用したサービスを開始しています。
「雲旅遊(クラウド旅行)」と呼ばれている中国国内の観光地のオンライン映像にはVRコンテンツが用意され、中には武漢を紹介するコンテンツもあります。
日本でも似たような動きが見られます。緊急事態宣言を受け、9割の旅館が臨時休業している有馬温泉では、旅館の若手有志が温泉の疑似体験ができるVR映像を製作し、YouTubeで配信しています。
有馬温泉の癒しの力を外出自粛で疲れている全世界の人々に届けたいという思いが込められています。今後は有馬に留まらず、日本全国に視野を入れていくと、同企画を推進している有志団体は表明しています。
まとめ
新型コロナウイルスの収束の兆しが見えない現在ですが、海外・国内ではVRによる様々な取り組みを行われています。
新たなテクノロジーの導入は、前例がなく難しさを感じることも少なくありません。しかしVRでは、すでに国内外で観光業とリンクした事例も増えてきています。
テクノロジーはこれまでになかった体験を可能にします。新型コロナウイルスの流行で、インバウンド業界含め様々な業界で「対面」の機会が多く奪われていますが、そんな時だからこそ、消費者も新しい消費や体験の形を求める気持ちが高まると考えられます。
こうした消費意欲を受け止められるサービスが今後は求められているといえるのではないでしょうか。
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<参照>
WWD:世界最大級のVRイベント「バーチャルマーケット」に伊勢丹新宿や「ウィゴー」が出店
PRTIMES:本日スタート!100万人が集うイベント「バーチャルマーケット4」新型コロナウイルス感染防止に向け、GWはお家のPCから参加できる世界最大のVRマーケットフェスティバルを楽しもう!
Engadget:コロナ危機下の中国は「VR」をいかに活用したか(山谷剛史)
日本経済新聞:全国百貨店売上高、新型コロナで下落率最大 3月33.4%減
毎日新聞:VR使い自宅で「いい湯だな」 有馬温泉が動画配信へ 神戸
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