観光資源とは?言葉の定義、地域ブランディングに繋がった事例を紹介

公開日:2020年07月07日

「観光資源」とは、観光やレジャーといった需要に応えられるような要素を指す言葉です。

地域のブランディングは観光資源の掘り起こしや磨き上げに深く関わっており、観光地としての魅力を左右する要素といっても過言ではありません。

本記事では、遠方からの観光客だけではなく、地域の人にも魅力を感じてもらえるために必要な地域ブランディング観光資源の掘り起こし方を、具体的な事例を交えて詳しく紹介します。

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観光資源とは

観光客誘致には、地域の魅力をより輝かせる地域ブランディングが欠かせません。

そして地域ブランディングを成功させるためには、魅力ある観光資源の掘り起こしが必須です。そこでまずは、観光資源の定義や詳しい内容について解説します。

観光資源の定義

観光資源に該当するものは、歴史遺産に代表される文化資源から富士山といった天然物に属するものまで範囲が広く、長らく明確な定義づけがなされないまま広く使用されてきました。

そこで公益財団法人日本交通公社が2017年に「観光資源台帳」を作るにあたり、観光資源について「人々の観光活動のために利用可能なものであり、観光活動がもたらす感動の源泉となり得るもの、人々を誘引する源泉となり得るもの」と定義づけし、観光資源を次のように24の属性に分類しました。

  • 自然資源(山岳、高原・湿原・原野、湖沼、河川・峡谷、滝、海岸・岬、岩石・洞窟、動物・植物)
  • 人文資源(史跡、神社・寺院・教会、城跡・城郭・宮殿、集落・街、庭園・公園、建造物、動植物園・水族館、博物館・美術館、テーマ公園・テーマ施設、温泉・食・芸能・興行・イベント)

3つのランクに分けられる 

観光資源台帳では、観光資源の持つ価値に応じて「特A級資源」「A級資源」「特別観光資源」の3つのランクに分類しています。ランクの定義とそれに属する代表的な場所には、次のようなものがあります。

  • S:特A級資源 

日本を代表する観光資源であり、世界に対してもアピールできる価値があるもので、誰もが人生のうちで一度は訪れたい場所をさします。

例:黒部溪谷(富山)・広島平和記念公園(広島)・博多祇園山笠(福岡)など

  • A:A級資源

特A級に準じる価値があるものをさします。

例:地域釧路湿原(北海道)・立山のライチョウ・吉野ヶ里遺跡(佐賀)など

  • B:特別地域観光資源

都道府県や市町村を代表する観光資源であり、その土地を訪れた際やその土地の住人であればぜひ一度は立ち寄りたい場所

例:東京ジョイポリス(東京)・梅ケ枝餅(福岡)・出雲風流花踊り(京都)などを指します。

地域のブランディング事例を紹介

全国の自治体の中には、新たな視点で地域を見つめ直し、埋れた観光資源を発見し、地域のブランディングに成功しているケースがあります。

そこで、地域の観光資源を掘り起こして地域のブランディングに成功した3つの具体的な事例を紹介します。

農業体験・農家民泊などの体験:栃木県大田原市

栃木県大田原市では、農家に宿泊しながら農業体験を核に日本古来の生活、産業、歴史、文化等の体験ができるツアーを提供し、人気を集めています。

これは主に農漁村地域において、地域の手つかずの自然、文化、そして人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動である「グリーン・ツーリズム」事業を中心に旅行プランを提供している「大田原ツーリズム」が提唱した取り組みです。

農業従事者の減少や高齢化、そして観光資源の乏しさから観光客が誘致できないという2つの悩みを抱えていた同地域において、畑や水田しかないという環境を逆に観光の目玉とし、さらには農業の労働力の補充にもなるというまさに一挙両得の取り組みです。

現在では国内だけではなく、インバウンド誘致にも一役買う企画へと成長しています。

倉吉市レトロ&クールツーリズム:鳥取県倉吉市

鳥取県倉吉市は「山陰の小京都」と呼ばれ、重要伝統的建造物群保存地区である「白壁土蔵群」に代表されるレトロな町並みが観光客にも人気のエリアです。しかし観光客の滞在時間の短さや、白壁土蔵群以外の周辺エリアに観光客が足を運ばないといった課題を抱えていました。

そこで、市内に世界的にも有名なフィギュアメーカー「グッドスマイルカンパニー」の国内フィギュア生産拠点「楽月工場」があることや、物語に登場する町並みの様子から、ファンの間で倉吉市が舞台のモデルではないかと話題となったキャラクターバンドコンテンツ「ひなビタ♪」といったクールジャパンを象徴するコンテンツとの結びつきに着目し、「ひなビタ♪」に登場する架空の街と姉妹都市提携を結んで結コラボイベントなどを開催することで、若い年代層やインバウンドの取り込みに成功しています。

街並みを活用した歴史まちづくり:宮崎県日南市

宮崎県日南市・飫肥(おび)は、江戸時代に飫肥藩伊東家5万1千石の城下町として栄えた城下町です。江戸時代初期の地割が現在もほぼそのままの形で残り、当時武家屋敷だった街路に面した石垣、生垣、門なども当時の姿のまま残っていることから、1977年に九州で初となる重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。

日南市では保存地区に選定されたことを契機に町並み保存に対する地域の意識が一気に向上し、観光客誘致に向けて景観保存により力を入れるようになり、観光客が増加しました。

その後2015年には「まちなみ再生コーディネーター」を民間から公募し、空き家を改修して宿泊施設に再生するといった努力を重ね、地域住民の町に対する満足度の向上と観光客の誘致の両方を実現しました。

意外な観光資源の例

紹介した3例は、いずれも今まであまり着目されていなかった地域の魅力を再発見し、魅力的な観光資源として再生させた事例です。

そこで最後に「ない」ことを逆手にとって観光資源とした事例や、「人」に注目して観光資源を生み出した2つの事例をご紹介します。

「ない」ことを活かす:避粉地体験ツアー

春の訪れとともに多くの人を悩ます花粉症ですが、実はその治療は意外と簡単です。なぜなら花粉がひどい時期に、花粉の少ない地域で過ごせばいいからです。

この発想を活用して、北海道や沖縄の離島といったスギ花粉の少ない地域では近年「転地療法ツアー」「避粉ツアー」といった名称で花粉症から避難するツアーが考案され、話題となっています。

長崎県平戸市・的山(あづち)大島沖縄県・宮古島北海道・釧路などで実際に実施され、参加者からは「この時期にマスクを外して深呼吸できる!」といったコメントが寄せられて喜ばれており、まさに「ない」ことを逆手にとって観光資源とした事例だといえます。

当地出身者を観光資源に

観光資源の分類の中に「生物」がありますが、これは主に動物や植物を対象としています。しかし「人」に着目して観光資源化したのが、鳥取県・境港市の事例です。

「ゲゲゲの鬼太郎」の作者である水木しげる氏がご当地出身であったことから、1993年に境港駅から「水木しげる記念館」までの約800mの道を「水木しげるロード」と命名し、昭和レトロな面影を残す町並みに伸びる道の両側に177体の妖怪のブロンズ像を並べました。

さらに「境港妖怪検定」「妖怪川柳」「境港妖怪ジャズフェスティバル」「妖怪スタンプラリー」といったイベントも打ち出し、多くの観光客の誘致に成功しています。

地元の外にいる人からは観光資源に感じることも

地元の人にとっては毎日見ているがゆえに見慣れた風景の1コマになっている場所でも、外部から来た人には新鮮で、魅力的なものに映っていることは多いものです。

「避粉ツアー」のように“ない”ことが観光資源になることは、地元の人ほど気づきにくいものです。全国的の自治体で、「観光客を誘致したいが、これといった観光資源やアピールポイントがなくて厳しい」といった意見はよく上がります。しかし一度「外部の人の視点」で改めて地域を見渡してみると、素敵な観光資源が埋れているケースがきっとあるはずです。


<参照>

公益財団法人日本交通公社:観光資源台帳

国土交通省:観光地域づくり事例集~グッドプラクティス2018 第三章 地域資源の活用

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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