SNSの普及とともに、インフルエンサーやマイクロインフルエンサーという言葉がマーケティング業界で多く聞かれるようになってきました。
マイクロインフルエンサーを活用してマーケティングを実施する場合は、各インフルエンサーのフォロワー数や専門分野を把握した上で、自社のブランドや商品サービスに応じたマイクロインフルエンサーを選定し、マーケティングゴールを設定する必要があります。
今回はマイクロインフルエンサーの概要、起用時のポイント、事例を紹介します。
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マイクロインフルエンサーとは
ブランディングやマーケティングにおいて、特定の分野やコミュニティに影響力があるマイクロインフルエンサーを起用する施策が注目されつつあります。
フォロワー数が少ないマイクロインフルエンサー
マイクロインフルエンサーは、SNSマーケティングで近年よく使用される言葉ですが、実は明確な定義は定まっていません。
一般的には、消費者の意思決定に影響を与えるインフルエンサーの中でも、特有のコミュニティで強い影響力を持つ人のことを指します。
SNSのフォロワー数はインフルエンサーより少なく、広告会社やマーケティング会社によると、そのフォロワー数の上限は1万人程度と定義されているようです。
インフルエンサーとの違い
SNSが世の中に普及してきたと同時に、WebやSNSで発信力や宣伝力が強い人を示すインフルエンサーという用語が浸透してきました。
SNSにおいて、一般ユーザーよりも多くの人に情報を拡散することができ、マスメディアや広告に頼らず、商品PRやプロモーションをできる人たちのことを呼びます。
マイクロインフルエンサーはインフルエンサーと比較すると、ニッチな市場に影響力を持っている人です。「深く、狭い」影響力を持つともいえます。
インフルエンサーはその知名度の大きさだけでフォローする人もいますが、あまり知られていないマイクロインフルエンサーをフォローする人はその人に本当に興味があるからです。そのため、マイクロインフルエンサーが発信する内容にも強く影響されます。
マイクロインフルエンサーに商品やサービスを紹介されると、リーチはそこまで広がらなくても、特定の人から大きな反響を得られる可能性が高いでしょう。
インフルエンサーよりエンゲージメントが高い
インフルエンサー・マーケティング・プラットフォームのマーカリーが200万人のインフルエンサーを対象に、投稿に対するいいねの割合を調査したところ、フォロワー数が1,000人未満のアカウントのいいねの割合は8%でしたが、1000〜1万人のアカウントでは4%と減少傾向になることが明らかになりました。
さらに、フォロワー数が1万人~10万人のインフルエンサーの「いいね!」率は2.4%なのに対し、100万~1,000万および1000万以上となっているインフルエンサーでは1.7%と、フォロワー数に反比例していいね率は下がっていくことが判明したそうです。
コメント率でも同様の傾向がみられ、このことからフォロワー数が多いアカウントに商品やサービスが紹介されても、投稿内容に対する反応率が低い傾向であることがわかります。
そのため、マイクロインフルエンサーによる発信では莫大なフォロワー数をもつインフルエンサーの発信よりも、フォロワーからの大きな反応が期待できます。
また、マイクロインフルエンサーの大きな特徴として、消費者の共感を呼ぶことがあげられます。
消費者にとっては自分と遠い存在の芸能人や有名人の宣伝よりも、自分と近い価値観や趣味をもったマイクロインフルエンサーによる情報発信に信頼性を感じるため、企業にとっては自然なプロモーションが可能となるでしょう。
マイクロインフルエンサーを起用するには
インフルエンサーと比較すると、コストを抑えた上でターゲットユーザーに対し高いエンゲージメントを獲得できるマイクロインフルエンサーを起用した施策を実行する場合、自社の広告予算や人的リソースを考慮した上で、適切な依頼方法を検討することが大切です。
マイクロインフルエンサーマーケティングのメリット
マイクロインフルエンサーを活用したマーケティングにおけるメリットとしては、まず、テーマや専門分野を絞ることによりリーチ力が高まることです。
上述したようにマイクロインフルエンサーは特定の分野やコミュニティにおいて強い影響力をもっていることが多いため、自社の商品に合ったマイクロインフルエンサーを起用することで、ターゲットに刺さるプロモーションができると考えられます。
次に、広告コストを抑えられることです。依頼するマイクロインフルエンサーにもよりますが、100万人以上のフォロワーがいるインフルエンサーと比較するとマイクロインフルエンサーの方が約1/4程度費用を抑えられるといわれています。
さらに、高いエンゲージメント率を期待できることもあげられます。
マイクロインフルエンサーは送付されるメッセージに対して丁寧に対応し、フォロワーと信頼関係を構築していることが多いです。
フォロワーと築いた関係性により、投稿や発言に対しても信頼度が増し、高いエンゲージメントを獲得できる可能性があります。
依頼方法
マイクロインフルエンサーにマーケティングを依頼する場合、3つの方法があります。
SNSのダイレクトメッセージやメールを送付する方法、インフルエンサーマーケティング各社が提供しているインフルエンサープラットフォームツールを使用する方法、あるいは、インフルエンサーキャスティング会社からマイクロインフルエンサーを紹介してもらうという方法です。
マイクロインフルエンサーと直接やりとりする場合は、仲介会社をはさまないため、手数料がとられずスムーズに施策をすすめることができます。懸念点としては施策のすり合わせや投稿内容の確認、効果分析などを自社で行わなければならないため工数が多くなることが予想されます。
マーケティング会社やキャスティング会社を活用する場合は、ビックデータやAIを活用した分析ツールを使用することができる、また、インフルエンサーの選定から投稿の分析まで一気通貫して対応してくれるなどのメリットがあります。一方で、委託内容によっては費用がかさむ場合やツールを使用しても自社の工数が比較的かかることなどが注意点としてあげられます。
自社の広告予算や人的リソースを考慮し、適した方法で依頼することが重要です。
円満なパートナーシップを築くためには
マイクロインフルエンサーと円滑な関係性を築くためには、過剰な要求や無理な制約を設けず、お互いにメリットがある状況をつくることが大切です。
自社が目指すターゲットや売上、その他指標を共有し積極的にコミュニケーションをとり、対等なパートナーとして位置づけることで信頼関係が構築できます。
また、依頼内容の縛りを強くせず、マイクロインフルエンサーの意向を尊重することも重要です。
マイクロインフルエンサーはクリエイターでもあり、SNSによるフォロワーの反応でPDCAをまわしつつ、自己表現をしています。
そのため、依頼内容に余白を設け、マイクロインフルエンサーとして培った独自のスキルを発揮してもらうことで、より高い認知度やエンゲージメント率を獲得できると考えられます。
マイクロインフルエンサーを活用したマーケティング事例を紹介
実際に、Daniel Wellington社やTom’s Maine社はマイクロインフルエンサーを起用した施策を実施しており、ブランドや商品と親和性の高いフォロワー数の獲得やマスメディアよりも低予算でのブランド露出など自社の目標を達成しています。
時計ブランド「Daniel Wellington」の事例
時計ブランドのDaniel Wellington社はスタートアップ企業時に、限られた予算内で可能なマーケティング手法を考慮した結果、マイクロインフルエンサーによるプロモーションを実行しました。
当時のマーケティング担当者はインフルエンサーに対して、時計のサンプルを無料で配布し、インスタグラムを通じて発信しました。
その際、分析ができるよう固有の割引クーポンを発行し、各インフルエンサーのフォロワーがどのくらい購入に寄与しているかもわかるように工夫しました。
一般的なブランドは、知名度が高いインフルエンサーによる情報発信を望みますが、Daniel Wellington社はマイクロインフルエンサーと協同することで、ブランドに適したターゲットに訴求でき、今日の成功に繋がっています。
消費財ブランド「Tom’s Maine」の事例
自然派消費財を扱う米国のブランドであるTom’s Maine社もマイクロインフルエンサーによるマーケティングを実施しています。
地球環境保全に関心が強いフォロワーをもち、信頼関係のあるマイクロインフルエンサーと協同することで、広告コストを抑え、効率的に商品をPRする試みでした。
この施策でTom’s of Maine社は、マイクロインフルエンサーに自社商品のはみがきを使用した写真の投稿を依頼したり、Tom’s Maine社員にも任意で写真投稿の協力をあおいだことで、消費者にブランドへの親和性を訴えました。
その結果、マーケティングを開始した2週間で目標の2倍である1,000人のフォロワーを新たに獲得し、この施策で顧客のニーズや意向も把握することができました。
自社に合うインフルエンサーを選択
マイクロインフルエンサーを含め、SNSを運用するインフルエンサーは、フォロワー数、専門分野などによって多様なタイプに分かれ、起用のメリットも異なります。
より多くのユーザーに認知を広げたい場合は、フォロワー数の多いインフルエンサーと協同する、エンゲージメント率を高めたい場合や広告コストを抑えたい場合は、マイクロインフルエンサーを起用するなど、マーケティングの施策段階で、自社の広告コストやどのような効果を期待するのかを検討し、目標や指標に合った、効率の高いインフルエンサーを起用することが重要です。
また、協同したインフルエンサーとは長期的な視野で関係を構築し、PDCAを継続的にまわすことがマーケティング成功の鍵といえるでしょう。
<参照>
Markerly:Instagram Marketing: Does Influencer Size Matter?
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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