ウィズコロナ時代の観光地発「顧客にささる情報発信」3つの事例:ニュージーランド政府観光局・台湾阿里山・サンリオピューロランド

公開日:2020年08月13日

全世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、国内外ともに渡航制限が続いています。

ウィズコロナ時代において、観光情報を国内外の市場へ届けるためには、従来の常識にとらわれず、多様な取り組みを検討する必要があるでしょう。

本記事では、観光情報を効果的に発信している国内外のPR戦略の実例を紹介します。


1. ニュージーランド政府観光局:発信を絶やさない

ニュージーランドは1970年代より観光立国を目指し、オーストラリア、イギリス・ヨーロッパ、アメリカ、アジア全域と並んで、日本も入れた主要5地域をメインターゲットとして観光PRに長期的に取り組んできました。

観光PRが功を奏し順調だった観光産業ですが、2001年9月11日のアメリカでの同時多発テロの頃には、アメリカのテロとは直接関係のないニュージーランドへの日本からの修学旅行を含めた観光客のキャンセルが相次ぎ、入国者が激減しました。

その状態を打開するためにニュージーランドの観光局は、当時のニュージーランド首相だったヘレン・クラーク氏の写真とサイン入りで「ニュージーランドは平和です」というメッセージを、日本の大手新聞の全国版へ全面広告を打ち出しました。この宣伝広告は前代未聞のものとして話題となり、その後日本からの観光客数はV字回復となりました。

今回の新型コロナウイルスの影響を受けて、ニュージーランドへの日本人の入国者数は、2020年2月は12,940人(前年比+10.8%)、3月は3,420人(前年比-73.5%)、4月は4人(前年比-99.9%)と激減しています。

そのような逆境においても、ニュージーランド政府観光局では、ソーシャルメディアを活用した積極的な情報発信を行っています。同局が運営する日本向けのTwitterアカウントは、約5万人のフォロワーを擁し、7月29日にツイートされた、ニュージーランドの人々からのメッセージ動画は、8月4日時点までに250回以上リツイートされました。

この他にも日本のテレビで自国について取り上げられることを知らせたり、星の名所として知られる「レイク・テカポ」の星空ライブを配信するなど、フォロワーとこまめなコミュニケーションを取っています。


2. 台湾の阿里山:顧客目線

7月17日、台湾の阿里山国家風景区管理処は、人気観光地である阿里山のPR映像「神話の大地」をYouTube上で公開しました。

この動画は台湾で活躍する日本人写真家の小林賢伍さんが手がけたもので、美しい映像と音楽にのせて、先住民ツォウ族の神話や、山の生態系の美しさなどを紹介しています。日本人の目線で発信しているため、日本人にとって分かりやすく、親しみやすい内容となっています。


台湾の林佳龍交通部長は、新型コロナウイルス収束後の最初の海外旅行先として、日本人に森林鉄道や先住民文化などの日本の歴史との接点がある強みを生かしてアピールしたいと意欲を見せています。 

阿里山がある台湾南部・嘉義県の翁章梁県長は、日本人と阿里山は日本統治時代に、特に産業を通じて深くかかわり合っており、ツォウ族の高齢者は今でも日本語を話すと紹介し、この映像をきっかけに阿里山を訪れたくなる日本人が増えることを願っているとのことです

3. サンリオピューロランド:営業再開の「感謝」

日本の人気テーマパークのサンリオピューロランドは、新型コロナウイルスの感染拡大防止により、2月22日から臨時休館していましたが、7月20日から一般営業を再開しました。

ピューロランド公式Twitterアカウントでは、営業再開に際し、顧客への感謝を伝えています。このツイートは、8月4日時点までに9千以上のリツイートと、2万以上の「いいね」を獲得しています。

この公式アカウントは24万人以上のフォロワーを擁しており、臨時休館期間中もほぼ毎日Twitter上で情報発信を続けてきました。

サンリオピューロランドでは休館中、ソーシャルメディアやライブ配信サービスを活用して、ミュージカルや施設の様子などのコンテンツを定期的にオンライン配信してきました。これはオンライン配信に対する顧客の反応を見てもらって、従業員のモチベーションを保つ狙いもあったとのことです。

また、サンリオが運営するYouTubeチャンネル「HELLO KITTY CHANNEL」では、サンリオピューロランドの目玉の1つとなるパレード「Miracle Gift Parade」や、臨時休館中に上映する予定だった、期間限定ショー「ハローキティのイルミネーションショー『SPARKLE!!~Sweet Lights~』」など、休館中の施設内の様子が配信され、コロナ禍で自宅育児を余儀なくされたファミリー層から喜ばれています。


キャラクターが1分半以上にわたって「後ろ姿でお尻をふりふり」するだけの、マニア向けのシュールな動画がサンリオのコアファンの心をつかみ、公開後約2週間で10万回以上再生されるなど、幅広い層からの支持を獲得することに成功しています。

新型コロナウイルスの影響で臨時休館を余儀なくされても、営業再開に向けてソーシャルメディアを有効に活用するなどして付加価値を生み出してきたサンリオおよびサンリオピューロランドの攻めの姿勢は、多くの事業者にとっても参考にできる点が多いと考えられます。


<参照>

トラベルボイス:観光客減少時のアプローチ技法を、ニュージーランドの成功事例から学ぶ

JTB総合研究所:アウトバウンド 日本人海外旅行動向

フォーカス台湾:阿里山、コロナ後の海外旅行先に名乗り 日本人目線の映像でアピール/台湾

東洋経済オンライン:休館中サンリオピューロランドが話題沸騰の訳

日経XTECH:サンリオピューロランド再開、苦渋の休館を越え小巻社長が描くテーマパーク像は?

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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