旅行会社48社の6月総取扱額92.9%減、しかし5月比では3倍に(観光庁「主要旅行業者の旅行取扱状況速報」2020年6月分)

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8月14日、観光庁は「主要旅行業者の旅行取扱状況速報」2020年6月分のデータを発表しました。

この調査では国内の主要旅行会社の商品取扱額を集計し、「日本人の海外旅行」「外国人の国内旅行」「日本人の国内旅行」の3つのカテゴリーに分けて公表しています。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、取扱額は3つの区分すべてで前年同月に比べ大幅に落ち込んでいるものの、5月分と比較するといずれの区分でも上昇しました。

《注目ポイント》

  1. 6月の旅行商品取扱額は全体で前年同月比92.9%減/一方で5月比3倍に
  2. 前年同月比ではインバウンド向け国内旅行商品が99.0%減で、3分類中最も落ち込んだ
  3. 日本人の国内旅行は5月の取扱額から約3.3倍増加

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国内旅行会社取扱額ランキング:前年同月比92.9%減

2020年6月の主要旅行業者の総取扱額は287.9億円で、前年同月比92.9%減となりました。前年同月と比較すると大幅に減少しているものの、前月5月分のデータ(95.7億円)と比較すると約3倍増加しています。

新型コロナウイルスの感染拡大による国内外を対象とした移動の自粛によって、「日本人の海外旅行」「外国人の国内旅行」「日本人の国内旅行」の3つの区分すべてで総取扱額が前年同月より落ち込んでいるものの、3つの区分すべてで5月よりも増加しました。

しかし依然として、調査対象の48業者のうち38業者で取扱額が9割以上落ち込んでおり、感染拡大による影響は甚大なものとなっています。

順位 旅行会社 取扱額 前年同月比

1位

JTBグループ10社 141.1億円 -89.7%

2位

日本旅行 32.1億円 -91.0%

3位

KNT-CTホールディングスグループ3社 17.3億円 -95.9%

4位

ANAセールス 15.2億円 -89.5%

5位

ジャルパック 12.7億円 -91.0%

日本人向け海外旅行商品の取扱額:前年同月比98.8%減

2020年6月の日本人向け海外旅行商品の総取扱額は19.0億円で、前年同月比98.8%減と大幅に落ち込みました。

一方で、新型コロナウイルスの影響で日本でも都道府県をまたいでの移動が制限され、各国でも渡航制限の動きが続いた前月5月(13.6億円)と比較すると、わずかながら取扱額が増加した結果となっています。

日本から海外への出国に関しては現在も自粛が要請されていますが、政府はベトナムとタイとの相互の入国制限緩和をすでに開始し、中国や韓国などアジア12か国・地域やオーストラリア、ニュージーランドとの協議も進めています。

いずれの場合も当面の間対象はビジネス目的の入国者や留学生に限られると予想されるものの、協議が進んだ8月以降の取扱額の回復が期待できるでしょう。

順位 旅行会社 取扱額 前年同月比

1位

JTBグループ10社 4.8億円 -99.0%

2位

エイチ・アイ・エスグループ6社 2.9億円 -99.0%

3位

KNT-CTホールディングスグループ13社 2.1億円 -98.5%

4位

日新航空サービス 1.4億円 -96.8%

5位

エムオーツーリスト 1.1億円 -96.8%

インバウンド向け国内旅行商品の取扱額:前年同月比99.0%減

2020年6月のインバウンド向け国内旅行商品の総取扱額は1.9億円で、前年同月比99.0%減となりました。一方で、前月5月の取扱額(0.3億円)と比較すると約4.9倍増加しています。

JNTOによると、6月の訪日外客数は2,600人で、5月の1,700人からわずかに増加しました。取扱額の増加はこれに起因するものと考えられます。

ただし、7月末にはベトナムやタイへの入国制限が一部緩和されたものの、8月現在も日本は146か国・地域からの入国を制限しているため、7月分や今後しばらくの取扱額についても大幅な回復は期待できないでしょう。

順位 旅行会社 取扱額 前年同月比

1位

JTBグループ10社

1億8206万円

-97.9%

2位

エイチ・アイ・エスグループ6社

334万円(0.03億円)

-99.9%

3位

WILLER

255万円(0.03億円)

-95.2%

4位

西鉄旅行

109万円(0.01億円)

-95.1%

5位

名鉄観光サービス

107万円(0.01億円)

-99.5%

日本人向け国内旅行商品の取扱額:前年同月比87.9%減

2020年6月の日本人向け国内旅行商品の取扱額は266.9億円で、前年同月比87.9%減となりました。

前年同月と比較すると大幅な減少がみられるものの、前年同月比96.6%減であった前月5月の取扱額(81.7億円)と比較すると約3.3倍増加する結果となりました。

5月14日に39県で、5月25日には全国で緊急事態宣言が解除され、6月19日にはようやく全国で都道府県をまたいでの移動が解禁されたことが今回の取扱額の増加につながったと考えられます。

7月22日にはGo To Travel キャンペーンも開始され、国内の旅行を推進する動きが活発化したことから、7月分以降の取扱額はさらなる回復がみられると期待されます。

順位 旅行会社 取扱額 前年同月比

1位

JTBグループ10社 134.5億円 -82.9%

2位

日本旅行 31.9億円 -85.3%

3位

ANAセールス 15.2億円 -87.8%

4位

KNT-CTホールディングスグループ13社 15.1億円 -94.2%

5位

ジャルパック 12.7億円 -87.7%

今後の見通し:夏休み期間の国内旅行回復に期待

7月にはベトナム、タイとの相互の入国制限緩和がスタートし、アジア・オセアニア圏の14か国・地域とも入国制限緩和の検討や協議が開始されています。

しかし、しばらくは渡航者をビジネス目的の客に限り、1日最大250人程度に入国者数を制限する方針を定めていることや、8月現在でも146か国・地域に対して入国制限の措置が講じられていることから、インバウンド向け国内旅行商品の取扱額の回復はまだ先になると考えられます。

国内旅行については、6月19日に全国での都道府県をまたぐ移動が解禁され、7月22日にはGo To Travel キャンペーンが開始されたことから、国内の観光・旅行需要の回復が促進されています。

また、7月から8月にかけては、学校の夏休み期間にあたります。今年は休校期間が長かったことにより夏休みが例年より短い学校も多いものの、期間中はGo To Travel キャンペーンとの相乗効果が期待されます。

一方で、首都圏や大都市圏での感染者数の増加や各地でのクラスターの発生が確認されています。東京発着の旅行がGo To Travel キャンペーンの対象から除外され、各都道府県の知事からは、近隣地域のみキャンペーンの実施を図る意向や特定の地域からの旅行者を断る意向も聞かれます。

しかし、ウィズコロナアフターコロナにおけるインバウンド需要の回復には、まず新型コロナウイルス感染の収束、次に国内旅行の振興によって「日本は"安全・安心"」であることを海外に示すPRが必要です。その意味でも、Go To Travel キャンペーンによる国内旅行の需要喚起は重要なものになってきます。

今後も、政府や自治体、観光地などによる国内全体での感染防止を図る取り組み、そして一人ひとりの意識改革や感染拡大への危機感の維持が必要といえるでしょう。

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<参照>

観光庁:旅行業者取扱額

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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