日本国内では、新型コロナウイルスの影響でレジャーや外食といった活動を控えるような心理が生まれており、各業界は昨年までと異なる戦略への転換を迫られています。
一方、アジアの一部の国と地域では、旅行需要が盛り上がりを見せ始めています。
この記事では、中国、台湾、タイ、韓国の旅行需要の状況についてお伝えします。
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中国:観光収入が回復、ライブ配信がトレンド作る
中国では、旺盛な旅行需要に加え、大手旅行会社のユニークな施策などが奏功し、活気を見せています。
1. 6月「端午節」連休には年始水準に回復、トレンドはテーマ型・ラグジュアリー
中国では、国内旅行需要が急回復しています。大手旅行会社「Trip.com」が発表した旅行者動向によれば、今年2月以降、中国国内の観光収入と旅行件数は毎月増加傾向にあり、6月の宿泊予約数は1月の水準まで回復しているということです。
海外旅行の制約が続く中、国内旅行への需要が高まっており、航空券需要は前年同期比70%まで回復し、鉄道旅行も1月下旬の春節のピーク時以来の高水準を達成しています。
旅行トレンドとしては、旅行者の6割近くが、4つ星以上の高級ホテルを予約しているほか、キャンピングカーを利用した車中泊旅行や、農村ツアー、グルメツアーといったテーマ型旅行や、ラグジュアリーな家族旅行への関心が高まっているようです。
2. 夏休みは「一人旅」「安心旅」
同社は5~6月よりもピーク期間の長い、7~8月の夏休みの旅行動向についても、7月にレポートを公開しています。
その内容によれば、同じ省内や市内での旅行を計画する人が多く、7割が一人旅で、親子旅行は2割にも満たないとみられています。
また、家族や団体で利用する、車やガイドを専属として手配する「私家団」の予約数が昨年の2倍超となっており、人気が高まっています。他の旅行客と同乗しないもので、接触を回避することで感染に対する不安を軽減できる「安心旅」への志向がうかがえます。
さらに、人気ドラマ『隠秘的角落』の撮影地・湛江(広東省)は、7月上旬に6月上旬よりも3割多く検索されており、盛り上がりを見せています。&
2019年 春節トレンドは「カスタマイズプラン(私家団・私人定制)」と「ショートムービー映え(Douyin/ドウイン)」
こんにちは、クロスシー編集部です。本日は2月上旬に迎えた「春節」の長期休暇期間の中国人の旅行動向を振り返ります。目次4億人の国内旅行者と700万人の海外旅行者、Ctripを通じ5万人が日本へ。文化体験&親子旅行&カスタマイズ旅行が人気春節期間の海外旅行の傾向は? 文化理解に関心UP、日本には聖地巡礼と買い物を求める若者の姿も人気旅行先、タイとの勝負ポイントはビザの利便性とキャッシュレスまとめ 〜中国的SNS映えやキャッシュレスの需要理解でさらなる差別化を〜4億人の国内旅行者と700万人の海...
3. 携程/Trip.com(旧Ctrip)のCEOによる「ライブ配信」
携程/Trip.com(旧Ctrip)のCEO、梁建章氏は、3月末から毎週水曜日に様々な旅行先を紹介する「Bossのライブ配信」を配信しています。
各地の伝統的衣装や関連する歴史上の人物に扮して配信しており、17省45都市、5万キロメートルを移動したとされています。
梁氏が取り上げる旅行先には注目が集まり、連動して予約数が増加する現象が確認されています。
延べ4,000万のユーザが視聴し、1回のライブの最高PVは10万を記録し、15回の放送で6億元(約80億円)を売上げ、600強のホテルに売上増の恩恵をもたらしたということです。
7月1日には、初めて海外の旅行先として韓国を取り上げ、近く日本特集も予定されているということで、訪日旅行の需要喚起も期待できそうです。
台湾:宿泊補助とクーポン、9~10月の旅行需要も堅調
台湾では、国内旅行需要喚起のため、宿泊費補助やクーポン券の配布などの施策が行われています。
7月1日から、台湾本島で団体旅行に出発する場合は1日700台湾ドル(約2,500円)、金門、馬祖、澎湖などの離島で団体旅行に出発する場合は1日1,200台湾ドル(約4,400円)の補助金を受け取ることができます。
また、個人旅行の場合は台湾本島で1,000台湾ドル(約3,600円)、離島で2,000台湾ドル(約7,200円)の宿泊費補助を受けることができます。
さらに国内消費の刺激するため、1,000台湾ドル(約3,600円)で購入できる3,000台湾ドル(約11,000円)分のクーポン券が配布されています。
【世界のウィズコロナ】台湾・夏の国内観光、最大7,200円の宿泊補助で「離島」が人気:マスク・罰金・検温の「新しい日常」
新型コロナウイルスの感染者数は世界で700万人を突破し、日本でも1万7,000人以上が感染しています。東京では連日10人以上の新規感染者が報告されており、未だに緊張した状態が続いています。そんな中、台湾では6月7日時点で56日にわたり国内における新規感染者が報告されておらず、国内における新型コロナウイルスの流行の抑え込みに成功したともいえる状況が続いています。台湾では、政府による緊急事態宣言も発令されておらず、会社や学校はパンデミックの最中でも通常通りに運営されていました。これには、社会の...
こうした施策を背景に台湾域内では、それまで控えていた旅行を楽しむ「リベンジ旅行」と称して、旺盛な旅行意欲がみられています。
旅行会社の実際のプランは/社員旅行・家族旅行に需要
台湾の東南旅行社は7月17日から20日にかけての旅行博で、3,000元(45,000円)消費すると300元(4,500円)の割引が受けられるなどの優待を販売しました。
台湾域内の夏の旅行動向としては、海外気分も味わえる離島での滞在が人気を集めています。夏休み以降も、9月から10月にかけて社員旅行や家族旅行を計画する企業や個人も多いようです。
迫る海外旅行解禁、時期は検討中
台湾では10月1日から海外旅行が解禁となる見込みで、日本と台湾間で渡航の正常化が実現すれば、訪日需要が回復する可能性もありそうです。
6月に実施された台湾人の意識調査によれば、67.5%の回答者が、新型コロナウイルス収束後に「海外旅行に行きたい」と回答しています。
ただし、約8割の人が2020年内には訪日旅行は再開しないと回答するなど、時期については慎重な姿勢がうかがえます。
一方で4月に行われた別調査では、99%の人が訪日旅行に関する情報を求めており、新型コロナウイルス流行下にあっても訪日旅行への高い関心は失われていないようです。
台湾人の99%はコロナ禍でも「日本旅行の情報ほしい」/訪日回復はいつ?「すぐにでも日本に行きたい」「年内には行かない」意見分かれる
ウェブコンサルティング専門会社のペンシルは、2020年6月1日から5日間にわたり、台湾人の新型コロナウイルス流行収束後の訪日旅行について意識調査を実施しました。この調査では、台湾人の訪日旅行に対する意識の変化が明らかになっています。また、インバウンドサポートサービスを展開するアジア・インタラクション・サポートは、2020年4月15日から5日間にわたり、同社運営のWebサイト「歩歩日本(ブーブーニホン)」利用者を対象とした意識調査を実施しました。この調査では、台湾人が訪日旅行に関する情報で何...
タイ:ソンクラーン4連休と「ウィートラベルトゥギャザー」
7月22日、タイ政府は、新型コロナウイルス対策のため、非常事態宣言を8月末まで延長することを決定しました。非常事態宣言の延長はこれで4回目です。
4月に予定されていた旧正月(ソンクラーン)は、感染拡大防止のため7月に延期され、7月25日から28日まで4連休となりました。
ソンクラーンの4連休に先立って、7月15日には国内旅行促進キャンペーン「ウィー・トラベル・トゥギャザー」が始まりました。
タイ国籍の保有者が対象で、スマートフォンなどで登録し、居住地以外の都県に旅行すると、一部施設で宿泊費や交通費などの補助を受けられるというものです。
タイ政府は6月30日に、総額224億バーツ(約780億円)の国内旅行振興策を閣議で承認していました。
7月21日には無認可ホテルも「ウィー・トラベル・トゥギャザー」の参加が承認され、観光産業の回復に向けてテコ入れが行われています。
ただしキャンペーンに乗じて宿泊代を上乗せするホテルもあり、政府は不当な値上げがあった場合、キャンペーンの対象から除外すると警告しています。
政府の積極的な国内旅行振興策を背景に、ソンクラーンの4連休には、ビーチなどで休暇を楽しむ多くのタイ人観光客もみられました。
韓国:国内の観光需要を喚起する新・観光コンテンツ
韓国では国内の観光需要を喚起するため、ユニークな観光コンテンツを次々と打ち出しています。
国立公園パスポート旅行:スタンプラリーを楽しむ
韓国の環境部(環境省に相当)と国立公園公団は、「国立公園パスポート旅行」を7月15日から3年間実施すると発表しました。
漢拏山を除く全国の国立公園21カ所の探訪情報が含まれる「国立公園パスポート」は、公園入口の施設で先着順に1万冊が無料配布されます。
各公園の施設にある、各国立公園を代表する動物や文化財、景観などが刻まれている訪問認証スタンプを押すことができ、スタンプ10個以上でメダルなどの記念品を郵便で受け取ることができるなど、国立公園をいっそう楽しむことができます。
釜山のヨットクルーズ:「海の街」としての魅力を訴求
また、国内航空路線の新規就航が続く釜山では、ヨットクルーズをPRし「海の街」としての魅力を打ち出しています。
新型コロナウイルスの影響はヨットクルーズにも及んでおり、同市の「モドゥエヨット」では、利用客の25%を占めていた日本人観光客が、入国制限の影響により、ほぼゼロとなりました。
しかし韓国国内で感染対策のための規制が緩和された5月上旬以降、全ての乗客に対して検温や氏名・連絡先の記入などを求め、船内消毒も強化するなどの対策を行いながら、集客に努めてきました。
乗客数は前年の約6割に回復し、同社は新型コロナウイルス収束後の日本人観光客の誘致も見据えているとのことです。
<参照>
トラベルボイス:中国の国内旅行需要が急回復、大手旅行「Trip.com」が旅行予約動向を発表、6月の宿泊予約数は1月水準に
carnoc.com:“包邮区”旅客成暑期游先锋队 携程发布2020暑期旅行报告
jiemian.com:梁建章和携程“直播天团”:15场直播成交额6亿
日本経済新聞:中国ライブコマース、経営トップも参戦 600人売り子に
日本経済新聞:タイ、旧正月の祝日延期へ 新型コロナの拡散防止
NNA ASIA:国内旅行振興策を閣議承認、780億円規模
産経ニュース:観光立国のタイ、国内観光振興策開始 非常事態宣言は継続
NNA ASIA:無認可ホテルも振興策参加へ、閣議で承認
朝鮮日報:旅券を持って国立公園に!? 韓国国内21カ所でスタンプツアー実施
西日本新聞:「海の街・釜山」に新たな魅力 ヨット観光、国内の個人旅行客に人気
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今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
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