オンライン宿泊、オンラインバスツアーガイド、オンライン酒造見学など、ここ最近でオンラインを媒体としたサービスが幅広く知られるようになりました。
既存のツアーガイドにおける新規事業として注目される一方で、「自分のサービスとは相性が悪い」「始めてみたけど思う様に楽しんでもらえない」といった声を聞きます。
今回はオンラインツアーを実施する中で、ゲストをより良くおもてなしするために注意すべきポイントをまとめます。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
オンラインツアー実施時に心がけるべきポイント
「観光地の良さ」「観光コンテンツの魅力」をオンラインで伝え、また参加者の満足を得るためには、「伝え方」が重要になってきます。
1. 情報提供よりもゲストと打ち解けることを優先
オンラインツアーでは、ただ観光スポットやアピールしたいポイントのみに触れて進行すると参加者と打ち解けることがとても難しくなります。
というのも、実地のツアーでは、観光スポット以外にも移動時間やちょっとしたスキマ時間にゲストとのコミュニケーションが生まれ、そこで打ち解けることが多々あるからです。
一方のオンラインツアーでは効率のみを重視しようとするとなぜか楽しんでもらえない、、というのはここの違いが原因です。
そのため、型にハマった内容をなぞる前に、まずはしっかりと時間をとって参加者との雑談を楽しむことをオススメします。
「今日はどんな国から参加しているのか」「どうしてこの体験に参加したのか」「日本に来たことはあるか」「やってみたいこと・興味のあることはないか」
なんでも構いません、雑談を繰り返すことでゲストの知られざる要望や特徴が見えてくることでしょう。
2. 一方的に話すのではなく、会話のキャッチボールを
ゲストの五感全てに対して魅力をアピールできるオフラインツアーと異なり、オンラインツアーにおいてはあなたが画面越しに紹介する内容だけが頼りです。
そのため、いくら価値のある情報が詰まったツアーだとしても、ホストがただ一方的に話し続けていたのでは彼らの興味はすぐに失われてしまうことでしょう。
次から次へと話し続けるのではなく、話題を変える都度ゲストへ質問を投げかけたり、「ここまでで分からないことはありますか?」と進捗を確認する姿勢を見せて興味を維持することが重要です。
3. 「次は実際に観光したい」と思わせる:オンラインツアーは「代わり」
オンラインツアーに参加するゲストは「実際に観光地へ行けないから仕方なくオンラインツアーに参加する」という気持ちで参加するのがほとんどです。
体験紹介ページで「この体験を通して得られるもの」を明示することはもちろんですが、それだけでなく「この体験に参加したお陰で思いも寄らない収穫が得られた」とお得感を感じてもらえるようなお土産(モノではなくデータや情報など)を準備する意識も必要です。
たとえば「現地に暮らすガイドが勧める飲食店」「現地の宿泊所やショップで使えるクーポン」などを提供することができれば、ゲストに思いがけない収穫を得たと感じてもらうことができ、お得感演出につながります。
実際に、1時間のオンラインツアーで提供している内容を初紹介
以上のポイントを踏まえ、私のオンライン秋葉原ツアーで紹介している大まかな流れが以下になります。
1. アイスブレイク(10-15分)
![▲[オンラインツアーでのアイスブレイクの様子]:筆者提供 Zoomの画面に、アキバオンラインツアーガイドと参加者が並んでいる様子](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7334/main_01c447f610c26ee5d3f7a97523ea5b2e.png?auto=format)
前述の通り、オンラインルームに入室してもらってもすぐには本題へ移さずに自己紹介や近況についての情報交換をする時間を長めに取っています。
ちなみにZoom会議をする前にアンケートフォームの回答をお願いしているので、主催者である自分はゲストについてのある程度の情報(出身・年齢・趣味や興味のあること)を知ったうえで、雑談のための準備ができます。
2.秋葉原の歴史や文化紹介(10分)
アイスブレイクが終わったところで本題のアキバ紹介へ。事前の雑談が弾むほど、ゲストは興味を持って聞き入ってくれます。
3.アニメ分野のクイズ出題(10分)
前のパートで少し長めに話をしたので、ここでゲストの興味を引き出すためにアニメのクイズを出題します。若年層のゲストほどこれが効果的で、積極的に回答や質問がされます。
4.秋葉原での観光tips紹介(10分)
興味維持をしたところで再び秋葉原に関する情報提供に移ります。
交流→情報提供→交流→情報提供と小刻みに繰り返すことで飽きなく聞いてもらえる土壌を作ります。
5.まとめ、質疑応答、雑談(10分)
最後に今回のオンラインツアー体験への感想吸い上げや、してほしいことが無いかを確認することで満足度の底上げを図ります。![▲[オンラインツアー終了時ゲストとの記念撮影風景]:筆者提供 Zoomで海外のゲストと日本にいるホストが記念撮影をする様子](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7335/main_zoom_endbreak.jpg?auto=format)
まとめ:重要なのは「雑談力」
以上が私のツアーの基本的な流れですが、場合によっては情報提供よりも雑談がメインになることも多々あります。
だからといって評価が下がることはなく、むしろゲストの要望に応じた話題や話をして楽しませられる分高評価を頂く傾向が強いです。
冒頭で詳細に述べましたが、以下の3点が、オンラインで提供する体験コンテンツに対する、参加者からの評価を左右します。
- 雑談を重視しいち早くゲストと打ち解けて
- 自分本位の話をしすぎないよう、会話のキャッチボールを心がける
- そして観光地とホストに興味を持ってもらい、実際に訪れてみたいと思わせる
オンラインコンテンツ提供の際は、この観点を外さなければ、満足度アップやリピーターの獲得といった結果につながるはずです。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

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